“アワビ”を名乗る高級キノコ クロアワビタケ

リビング和歌山2月10日号

今週号の特集は、“Good Life(上質な暮らし)”を提案。キノコの一種「クロアワビタケ」はご存じですか? 恐らく国内では自生していない繊細なキノコの生産に、「和島興産」が着手しました。

 

“紀州のエジソン”がこよなく愛す
高温多湿を好む繊細なキノコ

収穫期を迎えたクロアワビタケ。室内は多湿でカビの繁殖に細心の注意を払っています

収穫期を迎えたクロアワビタケ。室内は多湿でカビの繁殖に細心の注意を払っています

クロアワビタケは、ヒラタケ科・ヒラタケ属の食用キノコで、ヒラタケやエリンギの仲間。もともとは、中国南部や台湾など高温多湿の亜熱帯地域でとれ、それらがわが国に持ち込まれて、近年、日本でも栽培されるようになりました。

国内では長野県、山梨県、滋賀県、沖縄県のごく限られた地域で、菌床(きんしょう)に種菌(たねきん)を繁殖させる「菌床栽培」でつくられていて、和歌山県にも、長年育てていた生産農家が有田川町にありましたが、廃業。非常に繊細なキノコのため栽培が難しく、他の菌が混入すると全滅してしまうケースもあるのだとか。

そうした中、複合商業施設「フォルテワジマ」やゴルフ場、リゾートホテルを展開する「和島興産」(本社=和歌山市本町)が、岩出市に「あわび茸(たけ)ファーム」を新たに建設し、2017年10月からクロアワビタケの生産を開始。同ファームの藤原勝所長は、「(和島興産の梅田千景社長の父で、島精機製作所の)島正博会長が、大変クロアワビタケを気に入っておられて、もっと多くの人にその味を知ってもらいたいと、栽培に乗り出しました」と説明します。

知る人ぞ知るクロアワビタケ。さてさてどのような味わいなのか…。

“温室育ち”ながら、和洋中能食材

年間生産量は60トンが目標
和歌山から関西・関東市場へ

工場内の生産工程はほぼ機械で行いますが、収穫と選別、包装は手作業で

工場内の生産工程はほぼ機械で行いますが、収穫と選別、包装は手作業で

皆さん、“貝の王様”と呼ばれるアワビは好きですか? 一般的に食べられているアワビには、「クロアワビ」「エゾアワビ」「マダカアワビ」「メガイアワビ」とあり、中でも、「クロアワビ」は最高級といわれています。  そう、クロアワビタケはかさが黒いことと、コリコリした食感がアワビに似ていることから“クロアワビタケ”と呼ばれるようになったそう。また、桁(けた)は違いますが、“高級食材”という点でも共通しています。

「あわび茸ファーム」で生産されたクロアワビタケは、1パック540円(約100グラム)で販売。インターネット通販などに出ているその他の産地のものも市場価格は500円オーバーで、キノコ類にしては結構なお値段。それもそのはず、亜熱帯地域で育つものを温帯の日本で人工的に栽培しているわけですから、流通量はごくわずかで、まだまだ希少な食材。「和歌山の環境に適した生産方法を試行錯誤しながら、現在も研究中です」と、藤原所長は言います。

同ファームでは、培地の調整から、種菌の接種、培養、発生、収穫まで約50日間の工程で生産(左下参照)。「種菌を提供してもらっている業者に、生産施設・設備機器をはじめ、栽培の指導をしてもらいながら、ようやく出荷できるまでになりました。温度、湿度の管理がすごく難しくて、同じ条件で育てているのにその時々によって出来が違うんですよね。発生過程でかさが重なってしまうと、その部分が傷んでしまうということも分かってきて…」と、なかなかの“温室育ち”っぷりですが、週に2度2000本を仕込んで、収穫できるのは1度に200キログラム程度。

「3月になればもう少し仕込む量を増やす予定ですが、それでも年間生産量は30トンくらいでしょうか。工場の生産能力は年間60トンですので、生産量の拡大と安定供給は課題ですが、品質にもこだわっていきたい。関西、関東市場への流通が目標です」と藤原所長。

 

低カロリーで、淡白な味わい
油との相性が良く、揚げ物・炒め物に

では、繊細なクロアワビタケは、どう調理して食すのがおすすめなのでしょうか? 「他のキノコ類と同様に低カロリーで、ビタミン、食物繊維、ベータグルカンが豊富。味わいは淡白で、香りにクセは無く、熱を加えても縮みや煮崩れが少ないのが特徴です。油との相性が良いので、焼き物や揚げ物、炒め物などさまざまな料理に使ってみてください。“和洋中”何にでも合います」とのこと。

ちなみに、“紀州のエジソン”こと島会長は天ぷらがお好きで、藤原所長は炊き込みご飯がお気に入りだとか。

あわび茸ファーム 藤原勝所長

あわび茸ファーム
藤原勝所長

 

 

クロアワビタケの生産工程(約50日)
1. 培地かくはん
水、粉砕したトウモロコシの芯、小麦の表皮
2. 容器充てん
3. 殺菌
4. 冷却
5. 種菌接種
6. 培養培養
培養室で培養させると、培地が茶色から白色に変化します
7. 菌かき菌かき
菌床の外側を削り、刺激を与えて発芽させます
8. 発生
9. 収穫・出荷
クロアワビタケの調理例オイスター炒め

  1. クロアワビタケとブロッコリーを一口大に切り、ブロッコリーは少し固めにゆでます
  2. 豚肉は5cmに切ります
  3. フライパンで油を熱し、溶き卵を入れ大きく箸で混ぜ、一度取り出します
  4. フライパンに豚肉を入れ、色が変わったら(1)を加え、油がまわり少し柔らかくなったところで(3)を戻し、【A】を加えます
  5. 最後にオイスターソースを加えて全体になじませます

炊き込みご飯

  1. お米を洗ってザルにあげておきます(約30分)
  2. クロアワビタケは食べやすい大きさに切り、ニンジンと油抜きをした油揚げは大きさをそろえて細切りにします
  3. 炊飯器に(1)(水は米と同量)と(2)、Aを入れて軽く混ぜてスイッチをオン

アヒージョ

  1. エビは殻をむいて背わたをとり、水気を切って塩をふっておきます
  2. スキレット鍋を強火で熱し、適量のオリーブオイル(あればホットオイル)を入れ、クロアワビタケに焼き目をつけます
  3. (2)を一度取り出して弱火に落とし、オリーブオイルと、種を取り除いて小口切りにしたタカノツメ、刻んだニンニクを投入してしばらく加熱(ニンニクを焦がさないように注意)
  4. (3)にエビと塩を加え、エビに火が通ったら(2)を入れます
  5. しばらくして火を止め、お好みでミニトマトやブロッコリーなどを加えると色目がよくなります
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