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第1回プロローグ〜地域の原風景

時代を越えて、暮らしと結びつく

「無くすことなく、次の世代に引き継がれていくことが大事」と話す蘇理さん


〝ピーヒャラ、ドンドン〞と鳴り響くおはやしや太鼓の音、人の熱気―。

日本の原風景ともいえる〝祭り〞は、地域の安泰や五穀豊穣(ほうじょう)、無病息災を願って、親から子、子から孫へと受け継がれてきました。その祭りで使われる道具の一つ「山・鉾(ほこ)・屋台行事」が昨年末、ユネスコ無形文化遺産に登録。子どもから大人まで、年齢を問わず、にぎやかに笑い、楽しめるのも魅力の一つです。今後、ますます熱くなる祭りから目が離せません。

今週号から隔月で連載する「祭りびより」は、和歌山県内の祭りを取り上げ、紹介します。

第1回は、和歌山県文化遺産課の蘇理(そり)剛志さんに県内の祭りについて話を聞きます。

和歌山県の祭りといえば、ユネスコ無形文化遺産「那智の田楽」や「紀州三大祭り(和歌祭、粉河祭、田辺祭)」などが知られていますが、各地域の神社や寺院で行われている祭りは数知れず。そのうちの約150件が現在、国や県・市町村の無形民俗文化財に指定されています。

蘇理さんは「昔から祭りは神さまとのコミュニケーションの手段とされてきました。踊りや歌、山車(だし)などでにぎやかにし、神さまに喜んでもらい、願い事をきいてもらうというものです。また、準備や練習を通じて地域の人たちが集まり、協力して行われるので、絆が深まります」と話します。

和歌山の祭りの特色は、神社と寺院の両方に関わるもの、バリエーションに富んだ獅子舞、古い形の傘ほこ、船の祭りなどが挙げられます。同じ道具を使っていても、紀北、紀中、紀南など、さらに地区によって違い、一つ一つをひも解くことで、その土地の歴史や文化、暮らしの営みを知ることができます。

蘇理さんは「当時からの衣装や芸能、料理などが残っているのは、その土地の歴史や文化が現代へと大切に引き継がれてきた証。子どもの頃から毎年繰り返される祭りを楽しみに過ごすなど、私たちの暮らしと深く結びついているとも考えられます。祭りは、他では感じられないような喜びと温もりを持っているのではないでしょうか」と話します。

過疎化や後継者不足が理由で中止や休止が増える一方、さまざまな人の協力で復活した祭りも多々。子どもたちに伝えるために、運動会の演目に取り入れられることも。工夫を凝らし、新たな伝承のかたちも生まれています。

次回7月の掲載からは、傘ほこ、馬、獅子舞など、テーマ別に地域の人の息吹や祭りに対する思いを伝えます。

那智の扇祭り


和歌祭

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