知ることから始まる防災・減災
南海トラフ地震の備えは大丈夫?

近い将来に起こるとされている「南海トラフ地震」。和歌山県は南海トラフ地震の震源域に近いため、地震・津波で大きな被害を受けると予測されています。東日本大震災から今年で10年。改めて、地震や自分が住む地域の被害予測などについて知り、防災について考えてみませんか。

教えて!守脇さん

和歌山県防災企画課
守脇真司さん

東海・東南海・南海3連動地震と
南海トラフ巨大地震

南海トラフ沿いの3領域(東海・東南海・南海)では、約90~150年周期で繰り返し津波を伴う地震が起きてきました。3つの地震が同時に起こることを「東海・東南海・南海3連動地震」といい、大きな被害が想定されます。3連動地震より、さらに広域の震源域で地震が連動した場合が「南海トラフ巨大地震」。実際に起こったことを示す記録は見つからず、繰り返し起きている大地震(南海地震など)と比べ発生頻度は極めて低いけれど、発生すれば甚大な被害が想定されます。

震源地と震源の深さ

地震は地下の岩盤の破壊現象で、最初に破壊が始まった点を「震源」、震源の真上の地表点を「震央(震源地)」、その深さを「震源の深さ」と呼びます。地表での揺れの大きさは、地表付近の地盤状況によって変わります。一般的に地表付近の地盤が軟弱な場所では、硬い地盤の場所に比べて大きな揺れになります。また、地下深い地盤の構造によって、地震の揺れが大きくなることもあります。

 

海抜、浸水深、津波高

「海抜」は海水面から測った陸地までの高さで、「浸水深」は陸地から水面までの深さ。「津波高」は津波がない場合の潮位と津波によって上昇した海面との高さの差を表します。的確に避難できるよう地域で看板や標識などが設置されています。日頃から、自宅近隣やよく通る道の特性を知っておきましょう。

マグニチュード(M)と震度

「M」は地震そのものの大きさ(規模)を表します。Mが1大きくなると地震規模は約32倍、2大きくなると約1000倍に。一方、「震度」は場所ごとの揺れの強さを表します。震源からの距離や地盤の揺れやすさなどで、震度の大きさは変わってきます。日本では震度の値を0~7の数字で決めています。

地震と津波

南海トラフ地震は海溝型地震で、海側プレートが陸側プレートの下に沈み込み、両プレート境界が固着して陸側プレートが地下に引き込まれて「ひずみ」が蓄積し、限界に達して跳ね上がり地震が発生します。南海トラフ地震はこの状態が繰り返し起こり、海溝型地震の震央は海の中が多いため津波への警戒が必要です。

避難場所、避難所、 福祉避難所

「避難場所」は災害が起こったとき、一時的に身を守るために逃げる場所で、「避難所」は災害により一定期間避難生活する施設。「福祉避難所」は一般の避難所での生活が困難で、特別な配慮を必要とする人が避難生活を送れるよう、一般の避難所とは別に開設する施設です。

巨大地震が起これば想像を絶する被害に…
防災・減災に向けた準備が大切

地球の表面はいくつもの巨大な岩盤「プレート」で覆われており、地震はそれらのプレートが移動し、押し合ったときに起こる衝撃が原因で発生します。日本列島は4つの大きなプレートの上に位置し、そのうちの2つ、陸側のユーラシアプレートと、海側のフィリピン海プレートの境界にできた溝(トラフ)を「南海トラフ」と呼びます。

南海トラフ沿いでは、今後30年以内にマグニチュード8~9クラスの地震が70~80%の確率で発生すると予測されています。和歌山県は南海トラフに近く、大きな地震が起これば、家屋の倒壊はもちろん、海沿いの地域は短時間で津波が到達するなど、想像を絶する被害に…。命を守るためには、地域の被害予測を知り、もしものときを想像しながら防災・減災に向けた準備をしておくことが大切です。

2011年3月11日の東日本大震災発生から丸10年。さまざまな情報や知識が手に入りやすくなった今、改めて地震について基礎から知り、そして考えてみませんか。

地震に関する言葉の意味や弊紙配布エリアの被害予測などを、和歌山県防災企画課・守脇真司さんに聞きました。また、和歌山市と岩出市に完成する災害支援拠点も紹介します。

“もしものとき”を想定して行動へ!

知る

想定される震度と津波

想定される震度(2014年10月、県公表)

震度と揺れの状況

■ 震度6弱
・立っていることが困難
・固定していない家具の大半が移動、倒れるものも
・壁のタイルや窓ガラスが破損や落下することも
・耐震性の低い木造建物は傾きや壊れるものも

■ 震度6強
・はわないと動けない、飛ばされることもある
・固定していない家具のほとんどが移動、転倒が増加
・大きな地割れや大規模な地すべりが生じる可能性

■ 震度7
・はわないと動けない、飛ばされることもある
・固定していない家具のほとんどが移動、転倒が増加
・大きな地割れや大規模な地すべりが生じる可能性

想定される津波の最大津波高・平均浸水深・到達時間(2013年3月、県公表)

備える

和歌山県防災ナビ

大規模災害時に的確な避難を促すためのスマートフォン用アプリ。避難先・経路の検索、警報・注意報などのプッシュ通知、家族間などで避難した場所の確認ができる他、もしものときに備えた避難トレーニングもできます。下記からダウンロードを!
和歌山県防災ナビ https://wakayama.bousai.linksmart.jp/contents/redirect.html

家具の転倒防止と住宅の耐震化

地震が起こると、家電製品が飛んだり、タンスが倒れたりして、けがをするだけでなく、避難通路をふさぐことも…。置き場所や置き方に注意する他、固定具で家具の転倒や家電製品の落下・移動を防ぎましょう。また、自宅の耐震性を確認し、必要に応じて耐震補強を! 和歌山県は耐震診断~耐震改修を支援。相談は各市町村の耐震相談窓口へ。

まもなく
完成

和歌山市消防活動センター

今夏、和歌山南SIC近くに、大規模災害が発生したとき、和歌山市内各地に駆け付ける緊急消防援助隊の拠点となる施設が完成します。通常の耐震基準以上の強度の鉄筋コンクリート造の建物は、自家給油設備と自家発電設備を持つ他、災害時は緊急消防援助隊の宿泊や会議に利用。普段は東消防署岡崎分署(仮称)として使われます。

岩出市防災公園

岩出市交通公園内(同市堀口)の市民プール跡地に、防災公園が完成予定。備蓄倉庫にはテントなどの資機材、河川の氾濫に対応する排水ポンプ車、自家発電設備(LPガス)を完備。炊き出し用のかまどベンチや、マンホールトイレの他、周囲に幕を張れば応急救護所などにも使用できる東屋(あずまや)も。平常時は地域の人たちが集う公園として、災害時は避難場所として機能します。

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