紀の国わかやま文化祭 未来へつなぐ人 vol.10
舞台の裏側で支える人 年代関係なく、写真を通した出会い

「どんな作品でも“認める”、それが私たちの仕事」と話す田中さん

「どんな作品でも“認める”、それが私たちの仕事」と話す田中さん

県内各地で開催中の「紀の国わかやま文化祭2021」、その舞台の裏側で支えている人たちにもさまざまなストーリ―があります。和歌山県立近代美術館の特別展「和歌山の近現代美術の精華」(12月19日まで)で初公開された写真家・島村逢紅の作品。2011年の発見以来、その検証に携わってきた一人が、カメラ好きが集う場「紙一枚工房」(和歌山市和歌浦中)の田中公康さん(写真)です。「保存状態も良く、すばらしい作品ばかり。戦災で焼失せず、残っていたのは奇跡。日本の宝ですよ」と、声を弾ませます。
田中さんは、大学の写真学科を卒業後、カメラマンへの道には進まず、大阪市内のギャラリーに勤務。建築家の安藤忠雄や渡辺豊和、俳優で絵本作家の米倉斉加年(まさかね)など、あらゆる分野の芸術家と出会い、関わってきました。「いろいろな人の考えを学び、今の私の原点になっています」と話します。

1981年、29歳のとき、和歌山の老舗写真店に入社。退職後、同僚だった、であいのりこさんと紙一枚工房を立ち上げました。工房には10代~90代と幅広い年代の人が訪れます。写真作品を持ってアドバイスをもらうために来る人もいれば、ふらっと立ち寄るだけの人も。年齢性別関係なく、そこで出会った初対面の人同士が「写真」を通してつながっていきます。

田中さんは「大学の卒業制作で、人に見せるのは恥ずかしいけれど、自分の心に残った旅の写真を提出したら、評価してもらいました。うれしかったですね」と自身を振り返り、「本人が“上手く撮れなかった”という写真。その中に、その人の気持ちが写っていることがあります。そういった写真を見つけられるようサポートできれば」と笑顔を見せています。 (完)

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