講義内容
地域に精通した研究者ならではの講座により、和歌山の歴史や文化を深く学べます。
菊川 恵三(和歌山大学 教育学部 教授、和歌山大学附属小学校 校長)
紀州を訪れた万葉の歌人たち
都が奈良盆地に置かれた時代、紀ノ川を下るルートで紀伊国を訪問しました。豊かに流れる川を下れば、青い海と白い波、そして陽光。万葉の旅人が見た風景を体感しながら、秀歌を鑑賞してみたいと思います。そこには、単に風景賞美だけではなく、政治的陰謀も見え隠れするのです。有間皇子と中大兄、山部赤人と聖武天皇を中心に進めていきます。
中島 敦司(和歌山大学 システム工学部 環境システム学科 教授)
誰も知らない裏熊野
熊楠も愛した“怪し”の熊野
熊野の神秘的な自然は、温暖多雨な気候と,人々が自然と上手につきあってきたことと関係が深い。本フィールドワークでは、「妖怪」「伝承」をキーワードに、南方熊楠によって「自然保護」が日本で最初に提唱された熊野の暖帯雨林がもたらした特徴ある自然と人々の営みについて和歌山市から熊野古道の地、中辺路に向けてバスで移動しながら解説する。「果てがない」と言われる山並みの連続は、熊野ならではの風景。神秘の自然、雄大な風景は、参加者の心を打つことに違いないだろう。
※フィールドワークを伴うため、散策できる服装でご参加ください。
海津 一朗(和歌山大学 教育学部 教授)
雑賀惣国と鈴木孫一
中世の紀伊半島の人々が日本列島の各地とつながり、歴史の節目で重要な役割を果たしたことはよく知られている。最近、異国人たちが戦国紀州雑賀と日高と熊野を「I dos ladrois」と呼んでいる事が判明した。ladrois(ラドロイス)とは何か?知られざる世界の中の紀州惣国にご案内したい。
鈴木 裕範(和歌山大学 経済学部 准教授)
紀州和歌山と和菓子文化
和菓子は、花鳥風月を色や形にする。日本人の美意識がみられるのが和菓子である。社寺や祭り、年中行事、暮らしの中から生まれた菓子もある。日本の文化であり、地域文化が和菓子である。では、紀州徳川家の城下町、高野・熊野を有する和歌山の和菓子文化は、どのような特色をもっているか。甘い世界を訪ね、和菓子文化を地域資源として再評価し、まちづくりに活かす可能性を考える。
古賀 庸憲(和歌山大学 教育学部 教授)
和歌の浦干潟
その優れた景観から万葉の御世より歌に詠まれた和歌の浦干潟であるが、景観だけでなく干潟生物の多様性の高さにおいても卓抜している。他の干潟では絶滅した種類が、和歌の浦干潟には多数種生息している。干潟はそこに住む生き物の生の営みによって、その価値をより高めている。本講義ではそれらの生き様を中心に紹介する(食う、食われるの関係、摂食行動、求愛行動など)。生き物たちが如何に人間と同じように生活しているかを理解し、その存在を身近に感じてもらえれば幸いである。
山陰 加春夫(高野山大学 名誉教授)
弘法大師空海の高野山開創
奈良末〜平安初期の日本が生んだ巨星、弘法大師空海。けれども三十一歳までは、まったく無名の青年であった。世俗の栄達を約束された大学寮を中退し、貧しい身なりながらも不屈の志をもって厳しい修行に専心する日々。血のにじむような努力は、やがて大輪の花を咲かせる。その帰結となる事業が高野山開創であった。若き日の苦悩に重点をおいて大師伝を語る。
山陰 加春夫(高野山大学 名誉教授)
『三人法師』と高野山
高野山を舞台として展開される男女の機微、親子の情愛――このモチーフは、中世、数多くの物語を育んできた。御伽草子中の白眉と評される『三人法師』は、その集大成とも言える作品である。晩出家の僧三人が語る遁世の動機。それぞれの話を聴くうちに次第に明らかになる高野山の魅力。作品の解説を通して、高野山がどのような意味における聖地なのかを探る。
山陰 加春夫(高野山大学 名誉教授)
一心院谷と五之室谷をめぐる
生身の化仏と賞讃された行勝上人が創建し、貞暁上人(源頼朝の子)が後を継いだ一心院の故地、一心院谷。仁和寺御室の高野参籠のための宿所、光台院が立つ五之室谷。本フィールドワークでは、高野山内の仁和寺エリアとも言える二つの谷をめぐり、同山の多面的な構造の一端を体感します。頼朝・実朝・政子の供養塔、快慶の傑作、阿弥陀三尊像は必見です。