家族で考える終活シリーズ② 認知症に備える“家族信託”

高齢化の進行と共に、認知症が社会問題になりつつある昨今。終活シリーズの第2弾は、認知症から資産を守るための一つの方法として、今注目を集めている「家族信託」について、専門家に解説してもらいます。

高齢者の5人に1人が認知症になる時代
家族に財産を託して管理承継を

家族信託普及協会会員・ 家族信託専門士
つなぐ司法書士法人・代表司法書士
西本 晋也さん

政府の「高齢社会白書」によると、2015年の65歳以上の認知症患者数は約525万人。30年には最大830万人まで増え、高齢者の5人に1人が認知症を患うと予測されています。「皆さん、認知症などで判断能力を失うと、資産が凍結されることはご存じですか? 『資産の凍結』とは、家族であっても預貯金の引き出しや有価証券の売却、不動産の売却などができなくなってしまうことを意味します」と話すのは、「家族信託普及協会」(事務局=東京都千代田区)の和歌山市内で唯一の会員、つなぐ司法書士法人(和歌山市五番丁)の代表・西本晋也さん。親や家族の資産が凍結状態になれば、介護のために使うこともできず、自分たちの生活を圧迫しかねません。

そうした中、認知症による資産凍結を防ぐ一つの方法として、最近話題になっているのが「家族信託」。「金融機関ではなく、信頼する家族に財産を託して管理承継する方法で『民事信託』とも言います。06年に信託法が改正され、“信託”という制度が使いやすくなりました」と西本さん。

家族信託で財産管理・遺言代用

財産を凍結させないために
元気なうちに老後や相続を考えて

「介護が必要になったときは施設へ…」と、親から頼まれている読者も多いのでは。しかし、どれくらいの資産があり、その後の生活費をどうするか、具体的に話し合ったことはありますか?

成年後見制度より柔軟に財産管理
2次相続以降も指定が可能

施設に入居すると、利用料に医療費や雑費を含め、一般的に年間200万~300万円(入所一時金は除く)がかかるといわれています。厚生労働省の統計データによると、2017年度の厚生年金の平均月額は約14万5000円(全体)、国民年金の平均支給月額は約5万5000円と発表されていて、介護費用を年金だけでまかなっていくのは厳しいですよね。

そうなると、親から“伝言”されている親名義の定期預金を解約したり、不動産を売却して介護費用にと、行動に移すことになりますが…。認知症などで本人の意思確認ができないと西本さんの説明にあったように、資産が凍結してしまいます。

「こういう状況になった際、これまでは成年後見制度が利用されてきました。成年後見制度は、意思判断能力が十分でない人の法律行為や財産の管理を、家庭裁判所が選任した後見人が本人に代わって行う制度ですが、家族が後見人になれるケースは3割未満(図1参照)。多くは、弁護士・司法書士などの専門家が選ばれ、資産を維持することが原則にあるため、使途が制限されることもあります」と言います。

一方、「家族信託」は、老後や相続に備えて、財産の管理・処分の権限を信頼できる家族に託す制度で、判断能力が衰えても、本人の希望に沿ったかたちで円滑な管理が継続できたり、財産の組み替えなどもできます。

「家族信託には『財産管理』と『遺言代用』の2つの機能があります。金融資産は民事信託用の口座を作り、収入と支出を管理。自宅などの不動産は名義変更をすることで受託者(管理を託された人)の判断で売ったり人に貸したりできます(図2参照)。これが「財産管理機能」ですが、名義は受託者に変更されるものの、実質的な権利を持つのは、財産を託した人のままです(ほとんどの家族信託は委託者=受益者であるため)」と西本さん。さらにこう続けます。 「もう一つの『遺言代用機能』は、財産を託した人(委託者)に相続が発生したときのことを想定して、財産の承継者を指定することができます。遺言書では、1代までしか承継先を指定できませんが、家族信託であれば、2代先、3代先まで指定できます」と。

子から親に「財産」「相続」といった話題はなかなか切り出しにくいですが、家族の〝今〟と〝これから〟について、一度、話し合ってみては。

4月26日(金)までつなぐ司法書士法人で、家族信託無料相談会を開催中。

お問い合わせ 073(488)8228

 

 

母(80代)は夫の亡き後、和歌山市内の一軒家に一人暮らし。私(長男60代)も妹(長女50代)も所帯を持ち、私や義弟名義の家に住んでいます。母は1人で暮らすのは大変だからと、高齢者施設に入居することを決めました。年金と貯蓄で当面の施設代はなんとかなるみたいですが、この先、何年入居するかわかりません。母は貯蓄が底をついたら家を売却して費用にと言っていますが、歳も歳なので認知症のことも不安です。

 

お母さんが元気なうちに、長男(もしくは長女)と「家族信託」を結んでおくことで、認知症になったとしても、自宅の売却処分を託された長男が進めることができます。売却代金は、長男の管理のもと高齢者施設の費用支払いなどに使え、お母さんが亡くなった後は、例えば「長男と長女で半分ずつ」など、お母さんの希望を家族信託の内容でかなえることもできます。

 

私たち(70代)には、長男(50代)と次男(50代)がいます。長男夫婦には子どもが1人いて、次男夫婦には子どもがいません。私たちが他界すると、法定相続にのっとり、長男、次男に資産が承継されます。それは問題ないのですが、承継した次男が他界すると、その財産は次男の嫁に、さらに次男の嫁が他界すると、その財産は次男の嫁の一族に相続されます。それなら、血のつながったかわいい孫(長男の子ども)に相続させたいのですが…。

 

遺言など、従来の資産承継方法では、自分の相続の後の承継者を指定することはできませんでしたが、「家族信託」を利用することで承継者を何代か先まで指定することが可能になりました。直系血族に資産を承継させたい希望や、障がいを持つ子どものいるご家庭の「親なきあと問題」への対策など、家族の希望する資産承継を設計することができます。

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