干潟で遊ぼう レッドデータブックの生き物

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6月は環境月間。楽しみながら自然と触れ合える“干潟遊び”に注目しませんか。近畿地方最大級の和歌浦干潟(和歌山市和歌浦中)は、絶滅危惧種をはじめとする珍しい生き物の宝庫。干潟の魅力を探るとともに、その役割について学んでみましょう。

東京ドーム12個分!
近畿地方最大級の和歌浦干潟

干潟とは、潮の満ち引きで現れたり隠れたりする泥や砂でできた平らな浜辺のこと。さまざまな種類の生き物が生息しているため、複雑な生態系が形成されています。昔は全国各地にありましたが、埋め立てや環境の変化に伴い、干潟の数は徐々に減少。しかし現在、生態系の保護や環境保全の観点から、干潟の役割が見直されています。

和歌山県には、和歌浦、有田川河口、田辺湾の内之浦周辺など、大小さまざまな干潟があります。中でも、和歌浦干潟は近畿地方最大クラス。片男波と和歌川河口のすぐ先の名草ノ浜を合わせると、面積は約47ヘクタール、東京ドーム12個分の大きさに相当します。すんでいる生き物は約300種類といわれていて、レッドデータブック(環境省が作成する絶滅の恐れがある動植物のリスト)に載っている絶滅危惧種などの貴重な生き物は、約40種類。種類の豊富さでいえば全国屈指だとか。近畿地方の多くの干潟で絶滅、または減少した生き物の“最後の楽園”と呼ばれるほど、普段は見ることができない珍しいものがたくさんすんでいます。

干潟の役割やそこにすむ生き物たちについて、和歌山大学教育学部生物学教室教授・古賀庸憲さんに聞きました。

干潟にすむ珍しい生き物たちに親しもう

たくさんの命を育む
守るべき自然環境

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和歌浦干潟には、面白い生き物がたくさん。注目したいのが、「ハクセンシオマネキ」というカニ。オスは、6月になるとメスに向けて巨大なハサミを振る求愛ダンスを見せます。また、全国的にも珍しいのが「イボウミニナ」という巻き貝。和歌浦では他の干潟に比べて多く見られます。「当たり前のようにイボウミニナがいる場所は和歌浦干潟だけ」と古賀さん。私たちにとって身近な貝の「ハマグリ」は、環境の変化などによって、個体数が激減。食用として販売されているものの多くは、外来種の「シナハマグリ」です。現在、日本のハマグリが絶滅危惧種に指定されていることを知らない人が多いのでは。人にとって危険な生き物はめったにいませんが、水中に生きる「ゴンズイ」や「アカエイ」などを見つけたときは、毒があるので触らないように注意しましょう。

和歌山大学教育学部生物学教室 教授・古賀庸憲さん

和歌山大学教育学部生物学教室 教授・古賀庸憲さん

古賀さんは「干潟にはそれぞれ〝顔〞がある」と言います。場所によって異なる植物や生き物が見られるのも、干潟の面白いところ。和歌浦をはじめ、有田川河口、日高川河口など、和歌山県にある干潟の多くはラムサール条約の登録候補地として選ばれています。同条約は、国際的に重要な湿地を選び、守ることを義務付けるもの。「和歌浦干潟は、生物の多様性、景観の美しさから見ても、登録されるだけの価値は十分にあります」

干潟の生き物による
海の水質浄化システム

紙芝居を披露する和歌山語り部クラブの服部さん

紙芝居を披露する和歌山語り部クラブの服部さん

特有の生き物の生息場所としてのほかに、干潟の重要な役割は水質の浄化作用。川の上流から海へ流れていく水の中には、人間の生活排水などが含まれています。それらの中に残る栄養素や有機物を、干潟の植物が吸収したり、生き物が分解したりします。干潟には、海の水をきれいに保つ大きな浄化システムとしての働きがあるのです。しかし、干潟の許容量を越える汚水や、ビニールなどの人工的なゴミ、埋め立てによる干潟の減少などによって、海は汚染されてしまいます。

私たちにとっても重要な役割を持つ干潟を残すためにすべきことは、まず知ること。〝干潟遊び〞は、環境教育としても役立ちます。古賀さんは、和歌山大学教育学部生物学教室が年に数回開催する「干潟観察会」で、講師として指導。5月16日に開かれた観察会では、同生物学教室・美術教室、わかのうらひがた倶楽部が共同で制作した紙芝居が、和歌山語り部クラブの服部薫さんが読み手となり初披露されました。ハクセンシオマネキがガイドとなり、和歌浦干潟について説明する内容で、ゴミをなくして干潟を守っていこうというメッセージが込められています。子どもから大人まで、真剣な様子で聞き入っていました。

6月は環境月間。珍しい生き物を発見して楽しむのはもちろんのこと、和歌山の海をとりまく自然と、そこにすむ生き物と触れ合い、私たち人間もさまざまな生物と共生しているということを、今一度考えてみませんか。

和歌浦にいる生き物

オスは片方のはさみが大きいのが特徴。名前の由来は、繁殖期に大きなはさみを振る様子が白扇(はくせん)に見えることから。準絶滅危惧種

オスは片方のはさみが大きいのが特徴。名前の由来は、繁殖期に大きなはさみを振る様子が白扇(はくせん)に見えることから。準絶滅危惧種


左のはさみ脚だけが大きいヤドカリ。砂にもぐり、触覚をクルクルと動かして引っかかったエサを食べます。準絶滅危惧種

左のはさみ脚だけが大きいヤドカリ。砂にもぐり、触覚をクルクルと動かして引っかかったエサを食べます。準絶滅危惧種


飛び出た目が特徴のハゼ。潮が引いた干潟の表面を、胸ビレを使ってはったり、ピョンピョンと跳ねて移動します。準絶滅危惧種

飛び出た目が特徴のハゼ。潮が引いた干潟の表面を、胸ビレを使ってはったり、ピョンピョンと跳ねて移動します。準絶滅危惧種


光沢のある厚い殻を持った二枚貝。環境が悪化して数が激減していますが、和歌浦では比較的よく見られます。絶滅危惧Ⅱ類

光沢のある厚い殻を持った二枚貝。環境が悪化して数が激減していますが、和歌浦では比較的よく見られます。絶滅危惧Ⅱ類


巻き貝の一種。ゴツゴツした質感。環境の変化に弱く、海洋汚染や埋め立てなどによって、全国的に生息地が減少。絶滅危惧Ⅱ類

巻き貝の一種。ゴツゴツした質感。環境の変化に弱く、海洋汚染や埋め立てなどによって、全国的に生息地が減少。絶滅危惧Ⅱ類

危険な生き物

和歌浦ではめったに見ることはありませんが、もし見つけたときは注意を!(主に水中で活動しています)

尾の付け根に、毒を含む鋭いとげがあります。誤って踏みつけたりすると危険

尾の付け根に、毒を含む鋭いとげがあります。誤って踏みつけたりすると危険


背びれと胸びれのとげに毒が。集団で泳ぐ習性があり、その様子は「ゴンズイ玉」といわれています

背びれと胸びれのとげに毒が。集団で泳ぐ習性があり、その様子は「ゴンズイ玉」といわれています

観察会に参加しよう!

きのくに野外博物館 干潟の生物観察会

日時 7月4日(土)午前10時~午後1時※雨天中止
場所 内之浦干潟親水公園(田辺市新町庄)
※現地集合、現地解散
定員 小学生以上一般、20人(応募者多数の場合抽選)
費用 参加無料
持ち物 タオル、軍手、採集道具(たも網、バケツなど)、弁当、水筒、日焼け止め
※帽子を着用、ズック、長靴などの濡れてもいい安全な履き物で
申し込み・問い合わせ 073(483)1777
和歌山県立自然博物館
参加希望者は、6月20日(土)までに申し込みを
ホームページ https://s-kantan.com/pref-wakayama-u/
※申し込みはホームページでも受け付け

有田川河口干潟観察会

日時 7月19日(日)午後1時から ※雨天中止(小雨決行)
場所 有田川河口(有田市箕島)
※開始10分前に有田箕島中学校南側の川沿いの駐車場に集合

和歌の浦干潟観察会

日時 9月13日(日)正午から ※雨天中止(小雨決行)
場所 和歌浦干潟
※開始10分前に観海閣前に集合
主催 和歌山大学生物学教室・わかのうらひがた倶楽部
ホームページ https://wakanourahigata.wordpress.com/

費用 参加無料[服装]汚れても良い服装。
持ち物 タオル、軍手、スコップ、バケツ、飲みもの、着替えなど※帽子と長靴を必ず着用(サンダルは禁止)
講師 和歌山大学教育学部生物学教室教授・古賀さん
申し込み・問い合わせ 090(4499)3157古賀さん、
073(457)7334和歌山大学生物学教室





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