思い描いていた未来が実現!? 近未来ワカヤマ

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約25年前に公開され、大ヒットした映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー・パート2」で描かれた「2015年」がやって来ました。映画に出てきたような“近未来のテクノロジー”を感じさせる発明品が、和歌山に登場していることを知っていましたか。かつて想像していた未来が、現実になりつつあります。

新型エネルギーにロボット
最新鋭の技術が和歌山に

平成元年に公開され、世界中で人気を博した映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー・パート2」。主人公のマーティと天才科学者ドクが、車型のタイムマシン〝デロリアン〞に乗りこみ、「2015年」へタイムスリップするというストーリーです。そして今年、ついに現実世界の2015年が到来 !「まだまだ映画の世界には追いついていない」と思っていませんか。実は、私たちの身近な所にも〝未来的〞な技術や発明品が登場しているのです。

1つ目は、和歌山大学が研究している着るロボット「パワーアシストスーツ」。人間の動作をサポートするロボットの研究は世界中でされていますが、農業用に特化したものでは最先端といわれています。現在、和歌山を含めた6県で試用実験中。今年、全国規模で本格的な実験がスタートします。

2つ目は、近畿大学が開発した新型燃料「バイオコークス」を使って作られている、同大学のオリジナルマンゴー「愛紅」。近畿大学附属湯浅農場(有田郡湯浅町)で、栽培が進められています。

これらの発明と和歌山の未来予想について、それぞれの研究者に聞きました。

和歌山から発信されるテクノロジーたち

和歌山から発信される技術や発明品を紹介します。また、映画は25年先の想像上の未来が描かれていました。
現在から25年後の「2040年」はどのような世界になっているでしょうか。それぞれの研究者に未来予想を聞きました。

パワーアシストスーツ

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重い荷物もらくらく運べる
装着型ロボット

重いコンテナもらくらく―。和歌山大学で、着るロボット「パワーアシストスーツ」の開発が進められています。同大学産学連携・研究支援センター特任教授の八木栄一さん、特任助教の佐藤元伸さんに聞きました。

元々、民間企業で産業用ロボットの研究をしていた八木さんは、平成17年に和歌山大学へ。〝10年後の社会に役立つような、人間と力を合わせて共存できるロボットを作りたい〞という思いのもとで研究を開始。農業が盛んな和歌山で、農作業の力仕事で体を痛めてしまう人が多いことから、体にかかる負担を軽減するパワーアシストスーツを開発しました。

スーツがサポートしてくれるのは、①持ち上げ動作②中腰の姿勢を維持③傾斜面などでの歩行の3点。最大で10キログラムのアシストが可能です。荷物の重さが20キロなら、10キロの荷物を持ち上げるのと同じ力で済み、腰への負担が軽くなります。さらに、股関節も支えるので、坂道も楽に歩けます。

センサー内蔵の中敷きを入れた靴と手袋

センサー内蔵の中敷きを入れた靴と手袋

スーツは、リュックサックを背負うような感覚で装着。靴に、動きを感知するためのセンサーが付いた中敷きを入れて履き、同様にセンサーが内蔵された手袋をはめます。開発当初は40キロもの重さがありましたが、腰を中心としたアシストに絞り、軽量化を実現。本体とバッテリーを合わせて7キロの軽さに。「素材をアルミから樹脂に変えるなど工夫して、今年中に6キロ、最終的には5キロ程度の重さを目指しています」と八木さんは言います。「着たままラジオ体操もできますよ」と佐藤さん。装着したままトラックを運転するなど、動き回ることも可能です。稼働時間は約2時間で充電式(バッテリーの充電時間は1時間程度)。

一般発売は来年で、価格は100万円を予定しているとか。「ゆくゆくは生産量を増やして、安価で販売することが目標です」と八木さん。現在普及している「電動アシスト自転車」のように、人の生活をサポートするツールとして、一般の人が手に入れやすく、なおかつ機能性が高いスーツを目指しています。将来的には、農作業だけでなく、物流や介護の業界でも活躍が期待できそうです。

ワカヤマ未来予想

ワカヤマ未来予想

バイオコークス×近大マンゴー

地球にやさしい新型燃料と
日本初のマンゴー新品種

20150328front001昨年12月、近畿大学附属湯浅農場に、「近大マンゴー・愛紅」を栽培する大型フィルムハウスが完成しました。ハウスを暖めるために使われているのが、同大学が開発した新型燃料「バイオコークス」。近畿大学バイオコークス研究所・所長の井田民男さん、副所長の澤井徹さんに聞きました。

バイオコークスの原料は、乾燥させた植物性資源。茶かすやコーヒーかす、廃棄される野菜や果物、間伐林といった、いわゆる〝ごみ〞からできています。「茶かすからできているものはお茶の、梅干しの種からできているものは梅の香りがしますよ」と井田さん。

廃菌床からできたバイオコークス

廃菌床からできたバイオコークス

植物から作られるバイオコークスは、CO2の排出量が実質ゼロ。澤井さんは「燃焼時に出るCO2は、植物が光合成を行うときに吸収され、成長した植物を使って、出たごみからバイオコークスが生まれる…というサイクルができあがります」と言います。石炭などの資源のように、枯渇する心配もありません。

今回建てられたフィルムハウスは、同大学が生み出したマンゴー・愛紅を栽培するための専用ハウスです。暖房に使われているバイオコークスの原料は、「菌床(きんしょう)」と呼ばれるきのこの苗床。きのこを収穫した後、通常は廃棄されるものを使います。今まで使用されてきた液体燃料とは供給方法が違うので、試行錯誤しながら栽培中です。

同ハウスで栽培中のマンゴーの苗

同ハウスで栽培中のマンゴーの苗

愛紅は、湯浅農場の長年の研究によって平成20年に生まれた日本初のマンゴーの新品種。同農場顧問の佐々木勝昭さんは、「繊維質が少なくなめらかで、まるでプリンのような舌ざわり」と絶賛。現在は生産量が少ないこともあり、一般のお店では手に入りにくいのですが、このハウスで栽培が成功すれば、生産量が今までの5倍になるといわれています。

「安定した栽培が可能になれば、今度は農業者たちに栽培技術を伝えていきたい。愛紅という品種を世の中に広めることが目標です」と助教の志水恒介さん。また、事務長の森章さんは「和歌山が、他県に負けないマンゴー産地になると期待しています」と話します。

ワカヤマ未来予想

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