改正動物愛護条例施行 猫が幸せになるために

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犬と猫の飼育頭数が逆転するのは今年か、来年か…、といわれるほど空前の猫ブーム。ですが、殺処分される数は犬よりも圧倒的に多く、野良猫への無責任な餌やり行為による〝ご近所トラブル〞が後を絶たないのも事実です。そうした中、「和歌山県動物の愛護及び管理に関する条例」(県動物愛護条例)が改正され、4月1日に施行。猫が幸せになるために私たちにできることを考えます。

和歌山県の猫の殺処分数は犬の10倍
無秩序な餌やり、ふん尿被害の苦情も

和歌山電鐵貴志駅の名誉永久駅長「たま」が、昨今の猫ブームの火付け役ともいわれ、猫がもたらす経済効果「ネコノミクス」は、国全体で年間2兆円を超えているとか。

ただ、一つ注意しておきたいのが、飼い猫数が飛躍的に増えているのかというとそうではなく、犬の飼育頭数が減少傾向にある中、猫の飼育頭数は横ばいで僅差になってきただけということ。ペットフード協会の2016年の犬猫飼育実態調査によると、犬が987万8000匹、猫が984万7000匹。たまが駅長に就任した07年は、犬が1252万2000匹、猫が1018万9000匹でしたので、その差は着実に縮まっていますが、急に猫の人気が出たというわけではありません(下記グラフ参照)

そして、決して目を背けてはいけないのが殺処分の問題。環境省の統計データによると、全国の15年度の犬の殺処分数は1万5811匹で、猫は6万7091匹。うち和歌山県は犬272匹、猫2478匹です。犬は飼い犬の登録と狂犬病予防の注射が義務付けられ、屋内飼養が定着した今、まちなかで野良犬を見かける機会は減りましたが、猫はどうでしょう。

散歩が不要、大きな声で鳴かないので近隣に迷惑がかかりにくいといった点で、犬より飼いやすいという声も多く、一定の飼い猫数が保たれる反面、猫は繁殖力が強く、飼い主の身勝手な理由で捨てられた猫などが次々と子どもを生み、保健所には相談・苦情が多数寄せられています。

こうした現状を受け止め、改善するために、県動物愛護条例は改正、施行されました。

ルールを決めて不幸な猫を増やさない

動物愛護と生活環境の保全
人と猫が共生できる殺処分ゼロ社会に

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皆さん、〝地域猫対策〞という言葉を聞いたことはありますか?全国各地で深刻化する野良猫問題に対し、国や自治体が進めている対策です。県動物愛護条例にもこの項目が盛り込まれました。

「地域猫対策は、野良猫を排除することなく、地域でルールを守ってお世話をすることで、猫による生活環境被害を減らしながら、不幸な猫を増やさない試みです」と話すのは、和歌山県環境生活部食品・生活衛生課の梶本量也さん。

15市町72地域で地域猫対策計画
403匹の不妊去勢手術を助成

和歌山城で猫に餌をあげる「城ねこの会」のメンバー

和歌山城で猫に餌をあげる「城ねこの会」のメンバー


飼い主のいない猫に継続的に餌をあげる際は、繁殖できない猫に限る、時間を決める、速やかに片付ける、トイレを用意してふん尿を処理する、周辺住民に説明するといったルールを設定。また、世話をする人の氏名や地域名、周辺住民に説明した内容などを提出し、その地域猫対策計画が妥当であれば知事が認定するという制度も創設されました。認定されると、捕獲のおりの貸し出し、地域猫の不妊去勢手術券などの支援が受けられます。梶本さんは、「昨年3月に改正条例案が可決され、一足先に4月から、地域猫対策を行ってくれている人に支援を始めました。これまで県内15市町72地域から申請があり、403匹分の無料で不妊去勢ができる手術券を交付しました」と説明します。

和歌山城で地域猫対策に取り組む「城ねこの会」の代表・松本智子さんは、「今までも活動していたのですが、地域猫対策計画が認定されたことで和歌山県や和歌山市と協力して堂々とできるのがうれしい。今、和歌山城に住んでいる猫は31匹。多いときは45匹いました。もちろん、計画が認定される前から自費で不妊去勢手術は受けさせて、新しい飼い主を探しています。絶えない捨て猫、迷い猫が問題です」と現状を訴えます。

さらに、改正条例では、飼い猫への所有明示(首輪・名札・マイクロチップなどの装着)、ふんの適正処理義務、屋内飼養に務めるなど飼い主の責任強化も規定、罰則も追加されました。「しかし、この条例は違反者を取り締まるのが真の目的ではありません」と、梶本さんは強調します。

地域猫対策に熱心な人がいる一方で、無責任な飼い主や親切心だけで無秩序に餌をやる人もいて、庭を荒らしたり、繁殖して増え続ける野良猫被害に悩んでいる人も多く、「お互いがよりよく暮らしていくためには実効性のあるルールを定めることが必要でした。動物愛護と地域住民の生活環境の保全の双方を両立、そして殺処分数の削減につながることを期待しています」と梶本さん。

加えて、県では条例改正に伴い、「不幸な猫をなくすプロジェクト」事業を2016年度から推進。授乳期の子猫を預かって育てる「ミルクボランティア」、新たな飼い主が見つかるまで飼養する「譲渡ボランティア」、地域猫活動をサポートする「地域猫対策応援ボランティア」を募集中。また、保健所で収容された猫の譲渡会も定期的に開催しています。詳しくは県食品・生活衛生課073(441)2624まで。

飼い主への対策

●飼い主の責任を強化
【義務】所有明示(氏名・連絡先などを記した首輪や名札、マイクロチップなどの装着)、ふんの適正処理
【努力義務】屋内飼養

野良猫への対策

●地域猫対策計画の認定制度を創設
●餌やりをルール化(遵守事項)
【義務】生殖できない野良猫に時間を決めて行う、餌やり後は速やかに片付ける、猫のトイレを設置して適正にふん尿を処理する
【努力義務】周辺に住む人への説明に努める

地域猫対策の推進

地域猫対策の普及啓発及び支援(不妊去勢手術費用の助成など)

罰則の追加

●飼い主の遵守事項の違反
●野良猫への給餌者の遵守事項の違反
※勧告及び命令の対象となり、命令に違反した場合は5万円以下の過料が科せられます

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「譲渡講習会&譲渡会」を4月15日(土)午後2時から開催。動物を飼える環境か、家族の同意があるかなどの審査を実施後、動物を飼うに当たっての必要な知識、関連法規などについて講習を開始。その後、動物とお見合いをして、「家族」として迎えてもらえる人に譲渡(犬は登録手数料・狂犬病予防注射代が必要)。

住所 和歌山市保健所(和歌山市吹上)
電話 073(488)5114

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「犬・猫の飼い方講習会及び譲渡会」を4月23日(日)午前11時~正午に開催。適切な飼い方や関係する法律についての講習、家族の同意などを確認した後、譲渡できる犬・猫を紹介(犬は登録手数料、狂犬病予防注射代が必要、現在譲渡できるのは犬だけ)。譲渡後の飼養状況・不妊状況の報告なども条件です。

住所 和歌山県動物愛護センター(紀美野町国木原)
電話 073(489)6500

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昨年7月にぶらくり丁にオープンした保護ネコカフェ。同じくぶらくり丁にあるポポロビルで犬のシェアハウスを展開する「ワンダブル」が運営。1階は猫用品や雑貨を販売、2階は人懐っこい猫と自由に遊べるカフェスペースに。「ここにいる40匹近い猫は、路上や空き地で保護された猫たち。みんなかわいいでしょ?野良猫というと汚い、病気、懐かない、凶暴というイメージを持たれがちですが、きちんとした飼育環境で愛情を持って接すれば、ここまでになるんです」と訴求するのは、スタッフの杉本さつきさん。「気軽に猫ちゃんたちに癒やされに来てください」と。

カフェ利用料金
(90分1ドリンク付き)
中学生以上…1080円
小学生…540円
小学生未満…無料
(1ドリンク別途108円)
猫のおやつ…108円
問い合わせ 保護ネコカフェ
ハッピーキャット
電話 073(427)8228
住所 和歌山市本町2-45
営業時間 午前11時~午後7時
定休日 火曜

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ワンダブルのシェアハウスで暮らす犬、保護猫カフェで働く猫の譲渡会がポポロビル前で実施されます。譲渡を受けるには、飼育環境や家族の同意の確認、屋内飼養など決めごとがあります。また、年会費6480円(虐待や実験などに使われるのを防ぐため)と、不妊去勢手術費用、保護後の治療代などは自己負担となります。
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