決して人ごとではありません!
それって認知症かも?

ちょっとした変化を見逃さない
周囲が気づいて早めの対応が大切

「認知症」とは、さまざまな原因で脳の神経細胞が壊れたり、機能しなくなったり、日常生活に支障が出る状態のこと。40代や50代での発症事例もありますが、年齢を重ねるとともに発症の可能性は高くなります。

国の推計によると、高齢化率の上昇に伴い認知症になる人が増え、2025年には認知症患者が730万人と、65歳以上の高齢者のうち5人に1人が発症するとされています(下記グラフ参照)。

誰にでも起こりうる身近な症状。新型コロナウイルスの感染防止で、高齢者が家の中にこもりがちになる状況が続き、生活リズムが崩れ、身体や認知機能の低下が懸念されています。“もしも、親が認知症になったら…”と、子ども世代の不安や心配は尽きません。

橋本市民病院脳神経外科部長で「もの忘れ外来」を行っている、大饗(おわい)義仁さんは、「認知症に気づいたとき、症状が進んでいることもあります。周囲の人が会話や行動など、ちょっとした変化に早く気づくことが大切。そして、歳のせいだと諦めず、医療機関を受診することをおすすめします」と話します。

今年は夏休みの短縮、県をまたぐ移動の自粛など、新型コロナウイルスの影響で思うように実家に帰省できないといった声も聞かれます。だからこそ、認知症に対する正しい知識や予防法について知っておくことが大事。大饗さんに話を聞きました。

認知症について「知る」から始めよう

「あれっ?」と思ったら医療機関を受診
日頃から脳を鍛える生活が予防に

頻度の違いはあれ、年齢とともに、もの覚えが悪くなったり、もの忘れが増えたり、記憶力の低下を感じることが増えてきます。高齢だからといって、記憶力の低下を「認知症」とすぐに結び付けていいものなのか見極めに迷ってしまうことも。

橋本市民病院脳神経外科部長・大饗(おわい)義仁さんは、「老化によるもの忘れと、認知症のもの忘れとは異なります。例えば、朝食に何を食べたのか忘れてしまうのが老化によるもの忘れで、食べたこと自体を忘れてしまうのが認知症のもの忘れです」と説明します。

「早めに気づくことが大事」と話す大饗さん

認知症にはいくつか種類があり、発症の原因によって症状や特徴などが変わってきます。中でも最も多いのが、脳の神経細胞が壊れ、少しずつ萎縮することで理解力や判断力が低下する「アルツハイマー型認知症」。他にも、「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」などがあり、これら4つは四大認知症と呼ばれています。

初期の症状として、①同じことを何度も言う ②物の置き忘れなどが増える③予定を忘れる④知っているものや人の名前を思い出せない⑤外出を嫌がるようになる⑥気力の低下、身なりに無頓着になる⑦常にいらいらして、ちょっとしたことで怒る⑧常にそわそわして、落ち着かない様子で不安が強い⑨段取りが悪くなる(料理に時間が掛かるなど)⑩見慣れたはずの道で迷うことがある、などがあります。

「あれっ?」と思っても、認知症と診断されることへの不安から本人はもちろん、家族も病院を受診するのをためらってしまうことも少なくありません。大饗さんは「現代医学で根本的な治療法はありませんが、薬や生活環境の調整で、進行を緩やかにしたり、症状を軽くしたりすることはできます。ちょっとした変化に気づいたら、早めに受診することが大切です」と力説。

認知症が進行すると、不安や混乱でストレスがかかり、精神的に不安定になります。普段通りに接することが大切で、「叱らず、否定せず、自尊心を傷つけないように心掛け、寄り添う心で」とアドバイス。その上で「家族だけでケアするには心身ともに限界になることも。介護疲れで体を壊すかもしれませんし、最悪、虐待につながるかもしれません。自分たちだけで抱え込まず、医療機関や各市町村にある地域包括支援センターに相談し、介護サービスなど社会的なサポートを受けましょう」と話します。

予防について大饗さんは「脳内は場所によって役割が分かれています。声を出しながら本を読むなど、“~をしながら~する”といった動作を生活の中に取り入れ、日頃から脳内の多くの場所をまんべんなく使い、鍛えることが大切。同時に、バランスの良い食事、適度な運動、人との交流などが、認知症のリスク軽減なります」と話し、認知症予防の9カ条(下記参照)を挙げます。

コロナ禍で移動に制限がある今、電話やビデオ通話などで定期的に連絡をとり、会話や表情などから変化がないかうかがうのも方法の一つ。同時に、近況を話したり、情報交換したりすることは、お互いに刺激となり、脳が活性化。日々の生活の楽しみが増えますよね!

 

こんなときどうする? ケアのヒント!

 

今まで好きだったことをしなくなった

意欲や活動量が低下し、今までしていたことをしなくなるのは初期に出やすい症状。意欲を出したり、物事に関心を示したりする「前頭葉」の働きの低下により現れてきたものと考えられます。デイサービスを利用するなど、人と話をしたり、体を動かしたり、前頭葉を活発に動かすことが大切です。うつ症状と間違われることがあるので注意が必要。

水を出しっぱなしなど、「~しっぱなし」

少し前の行動を全て忘れてしまうために起こります。一つ一つの動作はできても、いくつかの動作が組み合わさった動作が苦手に。家族が怒ると、本人は混乱します。怒らず、動作を区切って助言を。

通帳のしまい場所を忘れるなど、お金の管理が難しくなった

同じものをいくつも買ったり、詐欺に遭ったりしないためにも家族が管理することも考えてみては。一人暮らしの場合は、成年後見人制度も利用できます。介護保険を申請し、サポートを受けましょう。

一度ではなく、何度も同じことを尋ねてくる

記憶するのが苦手になっているために起こる症状で、本人に悪気はありません。記憶を失うことへの不安やもどかしさから、何度も繰り返してしまうのです。ここで怒ると、「怒られた」という感情だけが残ってしまいます。ケアのポイントは「怒らない、否定しない、無理強いしない」。介護保険などを利用し、相談できる相手を持つだけでも家族の心の負担が軽くなります。

「自分は大丈夫」と病院を受診したがらない

認知症の本人は「大丈夫」と、受診したがらないことも。無理強いすると、余計に反発するので、自尊心を傷つけないような言葉がけをするのが大切。受診が難しいときは、医療機関や各市町村の認知症相談窓口、地域包括支援センターなどに相談。認知症の専門チームが自宅を訪問して相談にのってくれ、医療・介護サービスにつないでくれます。

対応に迷ったり、限界を感じたりしたら

介護している人は、ケアマネジャーに相談したり、介護サービスを利用したりして、決して一人で抱え込まないように。各地域で、介護者が普段の介護の悩みを互いに話し合う交流の場や相談会も開かれています。

 

 

交流や相談の場

本人・家族の交流会

【日時】8月9日(日)午前10時半~正午
【場所】ほっと生活館しんぼり(和歌山市新堀東)
【費用】無料
医師・専門職による相談と介護家族交流会。午後は若年性認知症交流会

やすらぎカフェ

【日時】8月25日(火)午後1時~3時
【場所】内海中央地区集会所(海南市名高)
【費用】お茶代100円
本人・家族がお茶を飲みながら交流。音楽療法や体操など、日によってさまざま

問い合わせ 認知症の人と家族の会
電話 073(432)7660
住所 和歌山市新堀東2-2-2ほっと生活館しんぼり内
受付時間 午前10時~午後3時(電話相談)
定休日 日曜

ももカフェ

平日はカフェとして開放。気軽に来て、それぞれの悩みなどを話し合うことができます。また、毎週月曜は「モモちゃん食堂」が開かれる他、みんなで食事を作ったり、カラオケをしたり、レクリエーションが楽しめます。第3月曜は「当事者交流会」もあり

問い合わせ 和歌山県認知症支援協会
電話 073(460)1456
住所 和歌山市和歌浦東4-3-51
受付時間 午前10時~午後3時
定休日 土・日曜、祝日
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