第2回 椎出(しいで)鬼の舞 〜傘ほこの祭り〜

鬼と十人衆が繰り広げる勇壮な演技

県無形民俗文化財に指定されている「椎出鬼の舞」

四方を山々に囲まれ、近くを流れる不動谷川のせせらぎが聞こえる自然豊かな地区、九度山町椎出。高野山へ続く新高野街道の登り口にあり、高野山電気鉄道(現・南海高野線)が走る大正時代初期までは約2500人が暮らし、宿場町としてにぎわっていました。

この地区の厳島神社で毎年8月16日に行われる祭りが「椎出鬼の舞」です。五穀豊穣(ほうじょう)の願いや悪疫払い、雨乞いなどの神事で、傘ほこを中心に、おはやしと演技で構成する「笹ばやし」と呼ばれる中世の様式が残されています。祭りは、赤い髪と面を着けた“鬼”と“十人衆”と呼ばれる太鼓や笛、傘ほこの11人で構成。鬼は太鼓と笛に合わせ、手に持った竹の棒で空に円を描きながら、傘ほこを守るように先導。隣接する地蔵寺から神社までの数十㍍を約30分間かけて、勇壮に練り歩きます。

中でも見どころは、喜怒哀楽を表現する鬼のパフォーマンス。境内に到着すると上・中・下座の3カ所で、十人衆は太鼓に合わせて謡と笛、鬼は棒を振りかざして豪快な舞を奉納します。謡が終わると十人衆は傘ほこを壊し、ぼうぜんと立ち尽くす鬼を残して退出。鬼は泣いたり、悲しんだりした後、仁王立ちで呪文を唱え、神殿前で祈願します。

「鬼と十人衆は祭り当日、紀の川で身を清め、拾った白石を神社に奉納します」と話す河合会長

鬼と十人衆役になれるのは、椎出に籍を置く中学生以上の男性だけ。「椎出鬼の舞保存会」の河合達哉会長は「自分たちの頃は住民の数が多く、年齢順なのでなかなか役が回ってきませんでした。選ばれることは誇らしいことで、みんなの憧れでした」と振り返ります。

現在、住民は125世帯326人と減少しているものの、全員が保存会の会員となり、祭りを絶やさないように工夫を重ねています。河合会長は「地区を離れた人もこの日は帰省します。昔と同じかたちは取れなくても、守っていかなければ」と思いを話します。

当日、鬼は子どもたちを驚かせたり、追い回したりもします。鬼に泣かされた子どもは元気に育つといわれ、最近は遠方から訪れる人も多々。祭りに新たなにぎわいが生まれています。

次回の掲載は9月を予定しています(続く)。

【祭り情報】

傘鉾(ほこ)祭り 8月16日(水)午後0時半から、八坂神社(高野町細川)
傘鉾神事 8月16日(水)午後2時から、古澤厳島神社(九度山町上古澤)
椎出鬼の舞 8月16日(水)午後5時から、椎出厳島神社(九度山町椎出)

※不動谷川を基点に上流の村から下流の村へと、順に引き継がれるように行われています

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