ワークスタイル -これからの“働く”を考える-
暮らしの笑顔を運んでいます

リビング和歌山9月7日号「ワークスタイル -これからの“働く”を考える- 暮らしの笑顔を運んでいます」

男社会ともいわれていたトラック物流業界。法律の改正による労働時間の制限に加え、運転手不足などが社会問題となる中、増加しつつある女性ドライバーへの期待が高まっています。これからの“働く”を考える|。女性のトラックドライバーを取り上げます。

トラックドライバー歴10年 中本絵里奈さん(鳥羽運送勤務)

トラックドライバー歴10年
中本絵里奈さん(鳥羽運送勤務)

憧れのトラック運転手へ転職
自分が運んだ食材などが店頭に

トラックのドライバーになったきっかけは
―ダンプカーのドライバーをしていた父親の影響です。大きくて、運転席のシートがかっこよくて、子どもの頃からの憧れでした。

ドライバーの道に進んだのはいつですか
―私の場合、デスクワークの仕事を10年間していました。でも、ドライバーへの夢が諦めきれず、大きな案件の仕事が一段落してから退職し、運送会社に転職しました。

出発時、荷物を載せるキャスターをトラックに積み込みます

乗っている車種は
―最大積載量が4トンのトラックです。大型自動車免許は持っていますが、私が乗っているトラックは、普通自動車免許で乗れるんですよ。ただ、現在は準中型自動車免許が必要。2007年までに普通自動車免許を取得した人は、最大積載5トン未満に乗ることができます。

初めて乗ったときのことを覚えていますか
―夢がかなってうれしい反面、少し不安になったのを覚えています。

不安というのは
―私の担当は、食材や雑貨をスーパーの物流センタ―から各店舗に運ぶことです。開店前までに配送を終わらせるため、午前3時には出勤します。今までとは違う生活リズムなので、慣れるかどうかが心配でした。朝が早いので昼過ぎには帰宅。家の掃除をしたり、犬の散歩に行ったり、思っていたより、ゆっくりと過ごせています。

出勤時と帰社時の1日2回、欠かせないアルコールチェック

普段、長距離を走ることはありますか
―いいえ。和歌山県内が中心で、遠くても大阪府や奈良県など。物流センターと各店舗を1日4往復します。

自分の運んだものが店頭に並んでいると、うれしくなりますね
―そうなんです。母親と買い物に行ったとき、キャベツなどを指さし、“これ、私が運んだもの”などと言いますね。

こつをつかめば力仕事も楽に
配送を通し、人との交流楽しむ

配送は“力仕事が大変”というイメージが…
―私は体力に自信があるので。ただ、荷物はテールゲートリフターに載せての積み込み・降ろしです。重たい荷物でもこつさえつかめば、力をかけなくても楽にできますよ。

なるほど。最初から一人で配送したのですか
―慣れるまで、先輩が隣りに乗ってくれました。その点、安心して仕事を覚えられましたね。

仕事中、困ったことは
―通行止めなどの際、迂回(うかい)路を探すのに一苦労します。遅滞しないためにも、道に迷ったときは、運行管理者に連絡して道順を指示してもらいます。他は、渋滞時のトイレ探し。今は自分が走るルートでのトイレ場所は把握しています。自分なりに解決の糸口を見つけるのが大切かと。

やりがいを感じるのはどんなときですか
―お客さんに“ありがとう”と言ってもらったときです。“がんばろう”と元気になります。私は人と話をするのが好きなので、仕事を通して、さまざまな人と交流できるのも楽しさの一つです。

日頃の心掛けや今後の目標を教えてください
―安全運転で、誤配・遅配がないよう心掛けています。目標は、側面が開くウイング車など、さまざまなトラックに乗ること。そのためにも、技術を磨くなどスキルアップしていきたいです。

トラック業界に新たな息吹を吹き込む

トラックドライバー歴24年 狗巻志津香さん (鳥羽運送勤務)

トラックドライバー歴24年 狗巻志津香さん (鳥羽運送勤務)

「達成感を味わえるからこの仕事が好き」
トラックドライバー歴24年
狗巻志津香さん
(鳥羽運送勤務)

綿密な計画を立て現場へ
間接的に人の暮らしとつながる

ダンプカーに乗っている女性は少ないのでは
―私が勤める会社では、以前は1人だけでしたが、今は何人かいます。

主な仕事内容は
―土砂や砂利を建設現場や工場に運んだり、道路の舗装工事を行ったりしています。トンネルや高速道路、工業団地の工事などに関わり、直接ではありませんが、皆さんの暮らしとつながっています。

道中、悪路や難路もあるのでは
―狭い道や急な坂道などが多いですね。

帰社後、1~2時間かけて洗車するという狗巻さん。 「ほっとするひとときです」とも

帰社後、1~2時間かけて洗車するという狗巻さん。
「ほっとするひとときです」とも

神経を使いますね
―毎日が緊張です。現場への搬入の経路や方法など、綿密に計画を立てます。運転中も、土砂が道にこぼれていないか、小石が飛んで後を走っている車に当たらないかなど、気が抜けません。

そうまでして続けてきた仕事の魅力とは?
―任された仕事が無事に終わったとき、達成感を味わえるからです。

無理をせずに、何度でも確認
他のドライバーとも情報を共有

仕事と家事の両立はどうしていますか
―夫も同じドライバー。結婚当初から“お互いができることをする”と決めていて、私は料理、夫は掃除・洗濯と分担しています。仕事では、午前8時に現場入り。余裕を持って到着したいので、午前3時半に起き、お弁当を作って早めに家を出ます。

毎日必ず持っていくものがあれば教えてください
―バナナ1本とメモ帳です。小腹が空いたらバナナを食べてエネルギーチャージします。メモ帳は、初めて会ったドライバーの名前と車のナンバーを書いて覚えるためです。

ちなみに、通勤はご主人と一緒に?
―はい。車中、自分が行った現場への入り方や動き方、土砂の降ろし方など情報を共有します。

他のドライバーと交流は
―もちろん、あります。仕事始め、昼食前、仕事終わりにきちんと無線であいさつしています。同じ目的地に向かって何十台も連なって走ることも多く、ドライバー同士、無線で連絡を取り合います。一人ではなく、皆で乗っている感覚かもしれませんね。

 情報共有する狗巻さん(左)と夫・収さん

情報共有する狗巻さん(左)と夫・収さん

苦労も多かったのでは
―最初の1年間は失敗ばかり。皆さん、女性に優しいのですが“女性だからできない”、と言われるのも嫌なので、泣きながら仕事をしました。どんなときも諦めなかったことが、がんばる力や楽しさにつながっているのだと思います。

その努力が24年間、無事故・無違反にも
―決して無理はしませんから。面倒がらず、気になったことは立ち止まり、何度でも確認します。

和歌山県トラック協会から、無事故・無違反で10年表彰を受けて笑顔に

和歌山県トラック協会から、無事故・無違反で10年表彰を受けて笑顔に

ドライバーの仕事を選んで良かったと
―はい。毎日、クリアすべき課題があるので、飽きることがありません。それに、運転していると、子どもたちが笑顔で手を振ってくれますしね。私がこの仕事に憧れたように、一人でも“ドライバーってかっこいい”と思う人が増えていけば、と思います。私は体が続く限り続けます。だって、この仕事が好きですから。

物流2024年問題って?

働き方改革関連法案により、今年4月から、トラックドライバーの年間の時間外労働時間の上限が設定されました。ドライバーの労働環境が改善される一方、輸送力の低下で今までと同じように荷物が運べなくなるのが「物流2024年問題」です。働き手が増えればいいのですが、どの業種も人手不足といわれているように、人口減少で人を増やすことは容易ではありません。

そんな中、トラック業界は、女性やシニア世代に着目し、機械化による力仕事の負担軽減、女性用トイレの設置など、環境整備を推進。和歌山県トラック協会でも、女性やシニアの活躍が増えてきています。
物流といえば、荷物を届ける最終段階の宅配を思い浮かべがちです。しかし、その背景には、手元に届くまでの距離を走ったり、道路の整備・工事に関わったりするドライバーたちがいます。少しでもドライバーの現状に目を向け、持続可能な物流に向けて、身近にできることから始めてもらえればうれしいです。

和歌山県トラック協会
2024年問題対策特別委員会委員長 鳥羽弘基さん

持続可能な物流に向け、私たちにできること

今日から始めよう! 配達をするときのアクション

□自分が1回で受け取れる日時・場所を指定

□配送状況の通知アプリを活用

□まとめ買いで配送回数を減らそう

□急ぎ便は状況に応じて使い分けて

□相手が1回で受け取れる日時・場所の指定を

□送り先の住所は正しく記載宅配ボックス・置き配を活用

□コンビニ受け取りを活用街中にある宅配ロッカーを活用

出典= 政府による「持続可能な物流の実現に向けた検討会」より

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