すごいぞ!和歌山の底力
日本から世界へ、理美容師を
魅了するキクイシザース

リビング和歌山2月18日号「すごいぞ!和歌山の底力 日本から世界へ、理美容師を 魅了するキクイシザース」

 和歌山県のものづくり企業にスポットを当てたシリーズ、「すごいぞ!和歌山の底力」。7回目は、理美容師用はさみ(シザー)の専門メーカー、「菊井鋏(はさみ)製作所」が登場。同社が開発し、独自の優れた技術で生み出されるオリジナルのコバルト製シザーが、ヘアスタイリングのプロたちから注目を集めています。

菊井健一さん

菊井鋏製作所
代表取締役
菊井健一さん

メード・イン・和歌山の技術を
国内外の美容業界へPR

 1953年に和歌山市小雑賀に創業した「菊井鋏製作所」。新卒で入社した女性職人から40年のキャリアを誇る工場長まで、9人の職人たちが手作業ではさみづくりに励んでいます。

同社は理美容師が扱うプロ用シザーの専門メーカーとして、オリジナルブランドの製造販売、OEM生産、修理やメンテナンスのアフターサービス事業を展開しています。定番製品である「コバルトシザー」は創業者の菊井喜代次さんが開発したもので、「世界初のコバルト基合金製シザーとして世に送り出しました」と話すのは、代表取締役で3代目の菊井健一さんです。

祖父の代から続くはさみ製造業を引き継いだ健一さん。小学校の下校時に工房に立ち寄り、ものづくりの現場の雰囲気を肌で感じる幼少期を過ごしたそう。大学は京都大学工学部に進学。「学生時代を過ごした京都には、暮らしの中に伝統工芸品がありました。観光客や外国人にはそれが魅力的なアイテムに映り、商品として重宝されています。ものづくりが仕事につながる面白さを、和歌山を離れて改めて実感しました」

2代目の父に「家業を継ぎたい」と思いを伝え、大学を卒業した2010年に入社。技術を習得し、同業者の製品をリサーチするにつれ、自社の職人の持つ技術力や製品のクオリティーの高さを確信する健一さん。2016年に代表に就任すると、OEM生産以外に、ホームページを通して自社ブランドの紹介や販売を開始しました。

また、さらなる販路拡大として、海外進出にも挑戦します。

中小機構の海外ビジネス戦略推進支援事業で採用され、2016年11月に渡米。現地の美容師や日本人美容師、理美容関連用品の業者に会い、市場調査を行いました。また翌年には、同国のはさみ業者向けの展示会にゲスト講師として招かれ、刃の研ぎ方や扱い方を伝えます。

日本のはさみの技術力の高さをアピールしたことで、「高級サロンで働く、職人気質の美容師さんたちを中心に注文が入るようになりました」と健一さんは話します。その中にはハリウッドスター、ブラッド・ピットのヘアアーティストからのオーダーも。ブラピのヘアスタイルはメード・イン・和歌山のはさみで整えられていると思うと、なんだかうれしくなりますね。

「また、この海外挑戦が日本のメディアで紹介され、国内でも弊社の知名度が上がり、問い合わせが入るようになりました」とも。

年間5000丁のはさみを一つ一つ手仕事で製造する菊井鋏製作所。“髪”のプロに愛されるものづくりの魅力を次ページで伝えます。

「良い道具を長く使いたい」
理美容師が求めるシザーづくり

職人の技術と経験で製品化
さびにくいコバルトシザー

2015年度グッドデザイン賞を受賞し、デザイン性も評価された「コバルトシザー」。写真はCo60-Fコバルトカットシザー(9万3500円)

1973年に初期モデルを発売して以来、キクイシザースのはさみを代表する「コバルトシザー」。素材のコバルト基合金は、ステンレスに比べて耐摩耗性に優れ、さびにくいのが特徴です。10万円前後と高額ですが、パーマやシャンプーなど薬剤や水に触れる機会が多い環境下でも切れ味が持続するため、「良い道具を長く使いたい」と理美容師から支持を得ています。

一方で、コバルト基合金は削りにくくて折れやすい性質で、加工が難しい素材として知られます。 同社は半世紀にわたってコバルトを扱ってきたため、高い加工技術を持つ職人がそろうのが強み。中でも、工場長の辻内利勝さんは約40年のキャリアを持つ熟練のクラフトマンで、製造の要である刃の湾曲を加工する「タタキ」を担当。顧客一人一人の細かい要望を反映した、世界に一つだけのオリジナルシザーをつくり上げています。

ミリ単位の加工を要求されるクラフトマンたち。マニュアルはなくトライ&エラー。日々の仕事の積み重ねで技術を身に付けます

工場長による最後の工程「タタキ」。ハンマーでたたきながら、2本の刃がぴったり重なるように仕上げる職人技が光ります

(上)摩擦軽減効果が高いチタンコーティング加工のシザー
(中央)スリムなボディーが特徴のすきばさみ。Co530-M コバルトセニング(10万8900円)
(下)安定性の高いロングタイプ。Co63-Kコバルトカットシザー(9万3500円)

“ローカルが誇るものづくり”の
ブランディングを目指す

パイル、建具、皮革など、和歌山は昔からものづくり産業が盛んな地。健一さんは「当社を含む“和歌山のものづくり”のブランド力を高めたい」と話します。

菊井鋏製作所の外観

その取り組みの一つとして、昨年、和歌山オープンファクトリー推進委員会を発足。紀北エリア20社の若手経営者が集結し、職人による実演やワークショップを行う「和歌山ものづくり文化祭2022」を和歌山城ホールで開催しました。

「実行委員長として企画運営に携わり、和歌山では多様なものづくりが行われていることをアピールしました。県内には高い技術を持つ企業が多く、このようなイベントを通してその魅力を発信できれば」と語ります。

自社でも工房見学やワークショップを随時開催しています。「明日も東京の美容師さんが工房に見学に来ます。美容業界の方も一般の方も、匠(たくみ)の技を通してものづくりに関心を持ってもらえたら」と話す健一さん。先代から培ってきた技と伝統を大切に、ローカルが誇るものづくりを発信し続けます。

デビュー以来15年愛用
美容師が語るキクイシザースの魅力

畑(さこはた)大輔さん

和歌山市のヘアサロン「シキ」代表取締役
美容師、 畑(さこはた)大輔さん

キクイシザースは15年愛用しています。キャリアをスタートした東京のサロンのオリジナルシザーが菊井さんのものでした。シンプルな形ですが、実は細かく仕上げられていて、手になじむデザインも気に入っています。技術をより効果的に引き出し、僕はすきばさみを使わずに、カットシザーでスライドカットをして毛量を調節しています。他の会社のシザーを使っていた時期もありましたが、結局、菊井さんのシザーに落ち着いています。

菊井鋏製作所

代表者 菊井健一
設立

1953年

本社 和歌山市小雑賀2-2-31
電話番号

0120(959)833

ホームページ https://www.scissors.co.jp

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