すごいぞ!和歌山の底力
梅から広がる可能性
妊活や競走馬サプリも

リビング和歌山1月21日号「すごいぞ!和歌山の底力 梅から広がる可能性 妊活や競走馬サプリも」

 地域発の“ものづくり”を紹介する「すごいぞ!和歌山の底力」。シリーズ6回目は、梅干しなどの伝統食材の新しい使い道をつくる「紀州ほそ川」グループ。大学や病院と連携し、梅の効能研究と用途開発を続けています。研究熱心だった先代から引き継ぎ、梅から広がる可能性を追求して事業化する、細川兄弟に話を聞きました。

細川陽介さん、細川達矢さん

(右)
紀州ほそ川代表取締役CFO
紀州ほそ川飼料代表取締役社長
細川陽介さん
(左)
紀州ほそ川代表取締役社長
紀州ほそ川創薬代表取締役社長
細川達矢さん

梅抽出物で鶏の産卵率がアップ
妊活サポートにも応用

「南高梅の母樹があるみなべ町晩稲(おしね)で、明治時代から梅栽培を行っていたようです」とルーツを話すのは、兄の細川陽介さん(40歳)と、弟の細川達矢さん(37歳)。代々にわたり梅農家として梅干しを生産し、紀州備長炭の販売なども行ってきました。

兄弟の父である細川清さん(故人)は、三重大学で農学を学び、家業を継いだ後も和歌山県立医科大学などと共同で梅の効能や用途開発の研究を重ねます。「梅干しって健康にいいイメージがありますよね。じゃあなぜいいのか? 父は、その理由を科学的に証明したいと考える根っからの研究者でした」と達矢さん。

清さんは和歌山県養鶏研究所と連携し、梅干しの製造過程で排出される梅酢(塩分を含む酸味の強い梅果汁)を原料にした飼料「紀州梅そだち」を開発。それを食べて健康に育ったのが「紀州うめどり」で、栄養素たっぷりの「紀州うめたまご」を産みました。

鶏の産卵率と卵質が向上し、「人間にも応用できるのでは?」との着想を得た清さん。和医大の宇都宮洋才医学博士らと共同研究を行い、うつのみやレディースクリニック(和歌山市)の協力もあり、妊活サポート成分の開発に成功します。2014年3月、「日本受精着床学会雑誌」に論文を発表。製品名「ウムリン(umulin)」は、さまざまなメディアで紹介され、大きな反響がありました。

この前年に、他社から家業の紀州ほそ川に入社した達矢さんは、社内にあった研究室を分社化してワノミライカ(現・紀州ほそ川創薬)を設立し、社内にある長年の研究データをもとに製品開発を進めます。紀州ほそ川の社長業も継ぎ、さらに事業を拡大するため、東京で銀行勤めをしていた兄・陽介さんを2021年に招へい。兄は財務管理、弟は商品開発の両輪で、伝統食材の可能性の探究と、事業化に取り組んでいます。

愛着ある伝統食材の活用
製品化をして世に出す

競馬界が驚く梅のパワー
愛馬の強さで実証された

紀州ほそ川創薬が販売するサプリメント「ウムリン」は昨年、生理日・排卵日予測アプリ「ラルーン」でモニター募集を実施。スマホアプリで被験者を集めるアイデアの発想は、細川兄弟ならでは。これまで約20万個の出荷数を誇り、同社には1日2~3件、「懐妊しました」とのうれしい報告が送られてきます。

鶏から人間、そして次は馬へ…。「競走馬の不妊も、うちの製品なら解決できると自信満々で牧場に営業をかけたのですが、全く相手にされずで」と達矢さんは2017年当時の北海道での反応を述懐します。 「馬の不妊は問題ではなく、牧場の関心は、強い馬をいかに育てるかでした」

そんな状況を東京から見た陽介さんは、競馬関係者との信頼を築こうと、まずは一口馬主(小口に分割された持ち分を出資)になり、さらに銀行員時代に馬主登録要件を満たして、2021年に馬主資格を取得しました。和歌山に戻って紀州ほそ川飼料の社長となった陽介さんは、2022年4月に競走馬を1595万円で購入。「梅+結び=新しく馬主となってできたご縁を大切にしたい」の想いを込めて「ウメムスビ」と命名し、競走馬用に開発したサプリメントを、愛馬に与え始めます。

「強い馬になってくれる自信はありました。他の動物での治験で、持久力アップや疲労回復の成果が出ていましたから」と話す陽介さん。

大阪河﨑リハビリテーション大学研究チームの様子

大阪河﨑リハビリテーション大学内に、同社製品の研究チームがあります

ウメムスビは、製品名「バイタブ(Vitav)」を混ぜた飼料をぱくぱく食べて育ち、ハードトレーニングにも耐えて同年6月にデビュー。早くも2勝してG1レースにも出走するなど、自らの強さで製品の素晴らしさを実証します。競馬関係者から注目を浴び、協力先の複数の育成牧場で治験が実施され、今年1月から製品販売を開始しました。

出走したウメムスビと角田大河騎手

2022年12月、阪神競馬場で行われたG1レース「朝日杯フューチュリティステークス」に出走したウメムスビ(角田大河騎手)。
名前が決まった後、“梅おむすび”とも掛けて、騎手の勝負服を梅おにぎりデザインに。2023年、「バイタブ」でさらに活躍を期待! (細川陽介さん写真提供)

「濃い減塩」の梅干しや
L-ドーパを多く含むムクナ豆も

減塩の梅干しが人気の昨今、通常の減塩だと水に漬けて塩分を抜くので、梅の養分も流れ出します。先代の清さんは、海水から塩分を取り除いて真水に変える技術を転用し、この手法で塩分を抜いた梅果汁に漬け込んで養分を逃さない「濃い減塩製法」を独自開発しました。よって同社の梅干しは、減塩ながら梅本来の濃いうま味が楽しめると評判です。

濃い減塩梅干し「千年の知恵」

濃い減塩梅干し「千年の知恵」
県内では左上のみなべ町内のほか、同社のホームページで購入できます

また、同社が一番力を入れているのは、「ムクナ豆(別名・八升豆)」。加齢とともに減少していくドーパミンの前駆体であるL-ドーパを多く含んでいます。ただ、ムクナ豆は非常に硬く、食べやすいように砕いてしまうと養分も破壊。そこで同社と大阪河﨑リハビリテーション大学が共同研究した結果、L-ドーパが壊れていない商品開発に国内で初めて成功しました。それが「はたらくムクナ豆」です。

「ムクナ豆もそうですが、先人たちが築いた伝統食品の新たな使い道を今の時代に提案していければ」と2人。さらなるチャレンジに期待大!

ウムリン

ウムリン
同グループのホームページには、製品の詳しい説明と購入方法が明記

はたらくムクナ豆

はたらくムクナ豆
左は、きな粉状態で食品にかけて食べます。右は、お茶のティーバッグ状なので気軽に

みなべ町の本社

みなべ町の本社(写真)や、同町内の「うめ振興館」では、同社の梅干しなどを販売しています

紀州ほそ川グループ

紀州ほそ川

代表者 代表取締役社長 細川達矢
代表取締役CFO 細川陽介
設立 1985年
本社 日高郡みなべ町晩稲889
電話番号 0739(74)2739

紀紀州ほそ川創薬

代表者 代表取締役社長 細川達矢
代表取締役CFO 細川陽介
設立 2013年
本社 和歌山市板屋町22
和歌山中央通りビル7階
電話番号 073(488)6600

紀州ほそ川飼料

代表者 代表取締役社長 細川陽介
設立 2021年
本社 日高郡みなべ町晩稲889
電話番号 0739(74)2739

グループ ホームページ

代表者 https://kishu-u.me/
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