治療の最前線! 専門医に聞くvol.9
予防と薬で治療を
慢性閉塞性肺疾患(COPD)

「慢性気管支炎」「肺気腫」と言われていた疾患が、現在の「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」で、予防と薬で治療できる“肺の生活習慣病”です。日本の40歳以上の8・6%、約530万人の患者がいるといわれ(2001年)、そのうち治療しているのは約22万人(2017年)。日本では毎年1万人以上がCOPDで死亡し、世界でも死因の第3位(2016年)。40歳以上で長引く咳(せき)やたんの症状があり、喫煙歴があれば、この病気である可能性が高いので、ただの風邪だと考えず、呼吸器専門医を受診しましょう。

COPDは、CTなどの画像検査と呼吸機能検査、問診結果などを総合的に判断して診断します。最大の原因は喫煙で、喫煙者の15~20%がCOPDを発症するといわれ、タバコ煙が慢性的に肺に炎症刺激を与えて気管支や肺胞を破壊し、肺の機能が低下します。COPDと診断されたら、まず禁煙です。症状に応じて気管支拡張薬の吸入を中心とした薬物療法、在宅酸素療法などを行います。COPDを治す薬はありませんが、進行を遅らせ、息苦しさを改善する治療はできます。

COPDになると酸素が不足し、体力消耗が激しく、体重が減る傾向があります。栄養管理(痩せ過ぎ・肥満の回避)、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症の予防(ワクチン接種など)、運動習慣(歩くこと)、呼吸トレーニング(口すぼめ呼吸)などを行い、生活習慣を見直すことで重症化を予防できます。うまく付き合っていくことで気持ちのいい呼吸を維持し、健やかな日常生活を取り戻しましょう。 (済生会和歌山病院呼吸器内科医長・髙木陽)

髙木陽医長

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