生地卸商から始まり
多角化戦略で進化する
老舗100年企業

リビング和歌山4月6日号「生地卸商から始まり 多角化戦略で進化する 老舗100年企業」

地域経済をリードする地元企業の魅力に迫る「すごいぞ!和歌山の底力」シリーズ。今回は和歌山市に根付いて百余年の老舗企業、「マスメン」が登場します。総合繊維卸業をベースに、EC事業や直営店の運営など、時代のニーズに応えた新規事業に力を注ぐ経営スタイルについて、代表取締役の増田和則社長に聞きました。

老舗の生き残りをかけて 挑戦した新事業が好転

1917年、和歌山市南材木丁に創業した「マスメン」。「私の祖父・萬三郎が立ち上げた、ネルやメリヤス生地の卸商、『増田商店』が原点です」と話すのは、現・代表取締役の増田和則さんです。

23年に現住所に移転し、51年には「増田綿業」を株式会社として設立。増田さんの父である都司夫氏が代表となり、呉服や寝具、衣類、テキスタイルを扱う繊維卸問屋として、高度経済成長期を背景に、売り上げを伸ばします。

商売のセンスを肌で感じ取る環境で生まれ育った増田さん。進路を決める際に、「地方の問屋が今後生き残っていくのは難しい時代なのでは」との思いから、大学卒業後は県外の大手繊維商社に就職。約20年間、順風満帆の会社員人生を送っていましたが、95年に人生の転機が訪れます。

「平成不況から家業が危うくなり、両親から『帰ってきて欲しい』との声掛けが」。仕事が順調で、起業も考えていただけに悩みましたが、「今まで好きにさせてくれた両親への思いから、帰ることを決意しました。同じ年に『阪神・淡路大震災』や『地下鉄サリン事件』が起こり、人生観が変わったのも理由の一つです」と話します。

帰郷した年に社名を「マスメン」に変更。母・迪子(みちこ)氏が都司夫氏と共同で代表になり、増田さんは専務に就任。「当時は取引先の小売店が400軒ほどあり、従業員は社用車10台に商品を乗せ、営業に走り回っていました」。しかし後継者不足や高齢化で取引先が次々と廃業し、売り上げは減少する一方。

「問屋業だけでこの先やっていけないのは明らかでした。会社を存続させるために、何か新しいことをしないと」と、会社員時代の経験も生かしながら、多角的に新事業に乗り出します。

インターネット事業や直営店の経営、婦人服やコンビニのフランチャイズ経営、保険代理店の運営など、「とにかく矢を放とうと(笑)」と当時の危機的な状況を振り返る増田さん。「コンビニや保険代理店で利益を出すことはできませんでしたが、繊維の扱いにたけた弊社ならではのECサイトや直営店の事業が好転しました」

特にEC事業は、現在では会社全体の売り上げの半分を占めるほどに成長。2007年に4代目として代表取締役に就任してからも、ECサイトと実店舗を連携させたマーケティング戦略で顧客満足度も高めています。

17年に創業100周年を迎え、翌年には「和歌山県百年企業」として表彰。昨年は社屋をリノベーションし、1階に寝具のショールームをオープンするなど、「顧客とのつながりを大切にしながら、時代に沿ったビジネスを展開していきたい」と話す増田さん。

「繊維を基盤にしながらも、お客さまのお役に立つ多様な商品を提供できる、“小さな商社”を目指しています」と、老舗企業の飽くなき挑戦は続きます。

ネットなら便利に。ショップなら手に取る楽しさも

5つのネットショップと3つの直営店を運営。着物・婦人服・寝具から和歌山の特産品まで多岐にわたった品ぞろえ。

ECサイト
EC事業で県特産品をPR
銘酒の取り扱いもスタート

「マスメン」が現在開設しているネットショップはバラエティー豊か。03年に同社が初めてEC事業に取り組んだ寝装寝具専門の「快眠くらぶ」をはじめ、日常づかいの和装を楽しめる「はいから。」や、繊維関連だけでなく和歌山の特産品を取り扱う「和(わ)っふる」の3ジャンルの店舗を、オンラインショッピングモール数社で運営しています。

「和っふる」は17年に楽天市場の「ショップ・オブ・ザ・ウイーク インテリア・寝具・収納ジャンル賞」を受賞。また、「快眠くらぶ」は同じく17年に楽天市場で「月間優良ショップ」に選出されています。

昨年秋には酒類販売業免許を取得し、「和っふる」で酒類の販売を開始。県下の酒蔵で造られた銘酒の数々を取り扱うようになりました。「今は弊社で日本酒のプライベートブランドを開発中です。こちらもECサイトで扱えれば」と、増田さんは新たな事業を思案中です。

直営店「きものぎゃらりぃ和(やはらぎ)」と「esprit-A(エスプリア)」のオンラインショップも開設。ネットでも実店舗でもショッピングが楽しめるような取り組みで、顧客満足度の向上や売り上げの拡大を狙います。

和っふる和っふる

快眠くらぶ

快眠くらぶ

はいから。はいから。

きものぎゃらりぃ和(やはらぎ)オンラインショップきものぎゃらりぃ和(やはらぎ)オンラインショップ https://yawaragi-kimono.myshopify.com/

esprit-A(エスプリア)オンラインショップesprit-A(エスプリア)オンラインショップ (https://esprita.shopselect.net/) https://esprita.shopselect.net/

直営店
直接触れて、体験して。専門スタッフがおもてなし

眠Lab
眠りの質を高める
寝装寝具を完全予約制で
心置きなく体感

眠Lab

落ち着いた空間が広がるショールーム。理想の寝具が見つかりそう

オンラインショップで「実物に触れたい」との問い合わせが多かったことから、昨年11月に体験型ショールームとしてオープン。高反発マットレスや枕など、新作や話題の寝装寝具が多数そろい、西川やロマンス小杉とコラボしたオリジナル寝具にも注目を。

1組完全予約制なので、人目を気にせず、寝心地を確認。「パラマウントベッドマイスター認定販売員などの専門スタッフが、寝具の選び方や眠りに関するアドバイスをいたします」と話す店長の松本尚之さん。体験は約2時間。電話またはホームページから予約してください。

電話番号 073(424)4466
住所 和歌山市新中通2-8マスメンビル1階
営業時間 午前10時~午後5時
定休日 日曜、祝日 ※その他はホームページで確認を
HP https://nemulab.com/
駐車場 あり

esprit-A
おしゃれに着飾りたくなる
大人かわいい
セレクトショップ

ハイセンスなコーディネートを楽しめるセレクトショップ。「エムズグレィシー」などのファッションブランドが並び、大人かわいいラインアップに目移りしそう。

本店のスーパーバイザー・山下香代さんは「リピーター率が高く、お客さまの好みを念頭に置いた買い付けを心掛けています」とコメント。秋葉山店の小山真知子マネージャーは、「ノンエイジの品ぞろえで、40~70代と幅広い年齢層の方がいらしていますよ」と話していました。置かれているアイテムは両店で異なるので、両方訪れてみるのもよさそう。

■ 本店

esprit-A本店

電話番号 073(433)3885
住所 和歌山市七番丁26-1
ダイワロイネットホテル和歌山2階
営業時間 午前11時~午後6時
定休日 無休
HP https://esprit-a.com/(両店共通)
駐車場 あり

■ 秋葉山店

esprit-A秋葉山店

電話番号 073(446)5508
住所 和歌山市和歌浦西1-1-9
営業時間 午前11時~午後6時
定休日 水・日曜
HP https://esprit-a.com/(両店共通)
駐車場 あり

きものぎゃらりぃ和
日常で着物を楽しめるように
着付け教室やイベントを随時開催

きものぎゃらりぃ和

フォーマルなシーンにふさわしい振り袖や訪問着から、カジュアルに着こなせる小紋まで、初心者から愛好家まで満足する品ぞろえが自慢。各種レンタルもそろい、キッズ用もあります。

「着物を晴れの日だけじゃなく、日常で楽しんでいただけるように、着付け教室や茶道教室を開催。着物を着てのランチ会やパーティーも主催しています」と話すのは、マネージャーの稲葉利恵さんです。「着物を通して、日本の文化を紹介できたら」とも。

お手入れ方法も丁寧に教えてくれ、丸洗いや染み抜きなどのクリーニングも受け付けています。

電話番号 073(433)3567
住所 和歌山市七番丁26-1
ダイワロイネットホテル和歌山2階
営業時間 午前11時~午後6時
定休日 無休
HP https://kg-yawaragi.com/
駐車場 あり
備考 着付け教室、茶道教室、生け花教室、書の教室あり

マスメン

マスメン

【代表者】代表取締役 増田和則
【創業】1917年
【本社】和歌山市新中通2-8
【電話番号】073(424)4466
【ホームページ】https://masumen1917.co.jp/

フロント特集

 

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

おすすめ記事

  1. 「めでたいでんしゃ かなた」しゅっぱ~つ!加太さかな線エリアに注目!
     和歌山市の夏のリゾート地といえば磯の浦、加太。市街地とこれらのエリアを結ぶ南海加太線(愛称:加太…
  2. リビング和歌山7月20日号「ドキドキ ワクワク!太地町に完成した国際鯨類施設ってどんなところ?見つけよう! クジラの不思議」
     「クジラの学術研究都市構想」を進める太地町に、「国際鯨類施設」が完成。今年4月、鯨類の生態の調査…
  3. リビング和歌山7月13日号「猛暑を乗り切る夏のスタミナ 鰻祭」
    今年の夏は、観測史上最も暑かった昨年に匹敵するほどの暑さになる可能性があるといわれています。 今…
  4. リビング和歌山7月6日号「リビング夏休み特別イベント 楽しく体験!和歌山の“さかな”」
     全国のリビング新聞ネットワークが取り組んでいる“さかなをたべよう!”キャンペーン。この夏、和歌山…
  5. リビング和歌山6月29日号「見た目鮮やか、フルーツたっぷり! 夏スイーツ」
    メロンやモモ、マンゴーなど、旬を迎えるフレッシュなフルーツをたっぷりと使った夏限定のスイーツ。ショ…
リビングカルチャー倶楽部
夢いっぱい保育園

お知らせ

  1. 2024/7/25

    2024年7月27日号
  2. 2024/7/18

    2024年7月20日号
  3. 2024/7/11

    2024年7月13日号
  4. 2024/7/4

    2024年7月6日号
  5. 2024/6/27

    2024年6月29日号
一覧

アーカイブ一覧

ページ上部へ戻る