目を背けないで 空き家問題

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両親が亡くなったり、介護施設などに入居したりで、主のいなくなった実家。いつかはどうにかしようと思いつつ、そのままにしていませんか?年々増加し、今、社会問題化している“空き家”。もしかしたら、あなたがその原因を引き起こしている一人かもしれません。真剣に考えてみて、空き家になったわが家のことを…。

和歌山県の空き家率は全国3位
〝特定空家〞になる前に手だてを

少子高齢化、人口減少などの影響で、深刻化している空き家問題。「平成25年住宅・土地統計調査」によると、和歌山県は空き家率18.1%で全国3位。ちなみに、全国の空き家は820万戸で、総住宅数に占める空き家の割合は13.5%です。

では、なぜ空き家が問題視されるのでしょうか。「空き家そのものが悪いのではなく、管理されず放置されているから問題なのです。放置しておくとどんどん傷み、倒壊の危険や衛生上有害、景観上支障など近隣住民に被害をもたらします」と、和歌山県建築住宅課の武内淳さんは説明します。

こうした背景を受け、政府は「空家等対策の推進に関する特別措置法」を制定、5月に全面施行されました。〝固定資産税6倍〞〝強制取り壊し〞という言葉が独り歩きしていますが、その対象となるのは管理不十分で保安上危険、衛生上有害などに該当し、「特定空家」と判断されて勧告された場合。また、放置しておくと行政が処分してくれるというものでもありません。

思い出が詰まった家を手放すのは忍びないですが、管理ができないなら売却、利活用の検討を。

空き家問題解決に向けて

上記では、直面している空き家問題の現状と、5月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」について触れましたが、「とはいっても、売っても二束三文だろうし、貸すには修繕が必要、壊すにも結構費用がかかりそうで…」と頭を抱えている人も少なくないはず。一方、資産価値を確かめたいけれど、いきなり不動産会社を訪ねるのはちょっと…と抵抗がある人もいるでしょう。

そんな人は、ここで紹介する行政や民間のサービスを利用してみてはいかがでしょうか。何らかの解決策が見つかるかもしれません。

「これだけ空き家が増えているのに、世帯数が減少する中、新築着工件数は減りません。このままだと空き家は増え続け、地域は荒廃してしまいます。若い人たちが住みたいと思えるような有効活用法を見いだして、空き家の増加を緩やかにするのが、当面の課題です」と武内さん。

家は人の手が加わってこそ価値のあるもの。放置せず除却、もしくは息吹きをもたらせてあげるのが所有者の責任です。

不良空き家の除却に補助金 和歌山市

建築指導課 073(435)1100

和歌山市では、3年以上居住していなくて、市が“不良空き家”と認定した空き家に対し、除去費用の3分の2(上限60万円)を補助する「不良空家の除却に係る補助金の交付事業」を、昨年度から実施しています。昨年度は10戸の募集に対して、13戸が不良空き家”に認定され、8戸が除却を実行しました。今年度の募集は15戸です(12月28日まで先着順)。“不良空き家”の認定基準については問い合わせを。

和歌山市は、「和歌山市空家等の適正管理に関する条例」を、平成25年4月に施行。それまで年間70件程度だった空き家に関する通報・相談が、条例施行以降、100件を超えるように。法律が全面施行された今年度は、7月末日時点ですでに100件を上回っています。

空き家バンク 海南市

都市整備課 073(483)8480

海南市は、和歌山県より一足早く、平成25年度から空き家・空き店舗を利活用する「空き家バンク」制度を導入。現在、登録物件は3件ですが、空き家利用希望者は12人(うち県外の人6人)が登録しています。「魅力的な物件の情報を提供してほしい」と担当者。詳細は市のホームページ(http://www.city.kainan.lg.jp/)参照。

あかり家 プロジェクト「いえぱと!」 民間

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空き家を定期的にパトロール
月1回2160円から

「われわれが展開しているのは、〝住宅介護者〞的なサービス。解体や改築といった〝手術〞ではなく、所有者の代わりに空き家を定期的に見回って報告する、〝管理〞の手助けをしています」

不動産賃貸・管理会社「ホームズ」(海南市船尾)は、他府県の不動産会社と連携して、地域の空き家に明かりを灯すことを目的に「あかり家プロジェクト」を発足。昨年9月から空き家をパトロールする「いえぱと!」を受託しています。

外回り巡回・目視、外付け郵便ポスト整理、報告書送付の基本コースは、戸建て住宅で月1回で2160円から。さらに、換気や通水が付くと3240円から。その他、オプションで庭木のせん定や掃除も依頼できます。対応エリアは県内(一部非対応地域もあり)。

同社の小切康至専務は、「地域に根ざす業者として皆さんのお役に立てればと思いますが、管理サービスは、〝売る〞か〝貸す〞までの中間措置。いつかは決断が必要」と指摘します。

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問い合わせ ホームズ海南本店/あかり家プロジェクト
電話 073(482)3739
FAX 073(482)9777
HP http://www.homes-homes.jp/

わかやま空き家バンク 和歌山県

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移住推進市町村の空き家を募集
今後は地域を拡大予定

「昨年度県外から移住してきたのは86世帯。毎年100世帯前後で推移していて、移住者の受け入れは過疎対策であり、そのためには空き家を活用する必要があります」

和歌山県では今年8月、県外からの定住を促進するために空き家を紹介する「わかやま空き家バンク」を開設。ウェブサイトで県内に17ある移住推進市町村・地域(下記参照※和歌山市、海南市、岩出市は含まれていません)の空き家情報(賃貸・売買)を公開し、登録物件を募集しています。

現住所は問わず、移住推進市町村に空き家があり、賃貸、売買を希望している人は、誰でも空き家バンクに登録することができます。「現在の登録件数は24件。今後、市町村の受け入れ体制が整い次第、移住推進市町村以外にも拡大してく予定です。皆さん、ぜひとも空き家の提供をお願いします」と、和歌山県過疎対策課の柏木忠寛さんは話しています。

【移住推進市町村・地域】

紀美野町、かつらぎ町(天野・新城・四郷地域)、九度山町、高野町、湯浅町、広川町(津木地域)、有田川町(安諦地域)、由良町、日高川町、田辺市(旧龍神、旧大塔、旧中辺路、旧本宮、旧田辺の秋津川、長野地域)、白浜町(日置川地域)、すさみ町、新宮市(熊野川地域)、那智勝浦町(色川地域)、古座川町、北山村、串本町

問い合わせ 和歌山県過疎対策課
電話 073(441)2930
HP http://www.wakayamagurashi.jp/
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空き家相談センターわかやま 民間

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9月1日(火)開設、相談無料
不動産、法律などの専門家が対応

「空き家をどうにかしたいけれど、どうすればいいかわからないということから、利活用法、相続にまつわる悩みまで気軽にご相談ください。解決へのお手伝いをします」

不動産業や建築業に携わる人や都市計画を専門とする大学教授など、空き家問題について危機感を持つ人たちで発足させた「ミチル空間プロジェクト」(和歌山市十二番丁)。今年5月、国土交通省の空き家管理基盤強化推進事業の実施機関に選ばれ、9月1日(火)から「空き家相談センターわかやま」を、本格始動させます。

空き家の所有者からどういうことで悩んでいるのかを具体的に聞き、場合によっては建物の簡易調査を行って、解体や売却、利活用方法をアドバイス。相談に乗ってくれるのは、不動産、建築、法律、金融に精通した専門家らで、状況に応じて司法書士や弁護士なども対応してくれます。

「ミチル空間プロジェクトの〝ミチル〞は、豊かになって〝満ちる〞という意味。空き家問題を少しでも解決できればという思いで一般社団法人を立ち上げました。個々の悩みが解消され、空き家が利活用されることで、エリアの価値を高めていくのが最終目標。自治体とも連携をとり、県外からの移住・定住を促したり、セミナーも開催していきたい」と南順子理事長。

相談は無料(弁護士、司法書士などは有料になる場合もあり)、電話、FAX、メールで受け付けています。

問い合わせ ミチル空間プロジェクト/空き家相談センターわかやま
電話 073(427)6070
FAX 073(488)7450
メール michiru.space@gmail.com



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