黒毛和牛の新ブランド 紀州和華牛

 松阪牛、近江牛、神戸牛…、これまで“高級肉”といえば、サシがたっぷり入った霜降り肉が主流でしたが、近年、健康志向の高まりなどから「赤身肉」がちょっとしたブーム。そうした中、和歌山県は、畜産試験場と近畿大学との共同で研究を重ね、脂肪交雑を抑えた新たな和牛ブランド「紀州和華牛(わかうし)」を開発しました。

“魔法のエコフィード”を食べて育つと 霜降り気質の黒毛和牛が脂肪控えめに

写真を見て、「今日の夕食はちょっと奮発してステーキにしよっかな!!」と思ったあなた、ぜひぜひ「紀州和華牛」をご賞味ください。

紀州和華牛は、約3年間の研究期間を経て、今年2月に誕生した和歌山県産黒毛和牛の新ブランド。なんといっても「脂肪控えめ」なのが特徴で、みかんジュースやしょう油の絞りかすなど、県の名産品が製造される過程で得られる副産物を食べて育っています。その飼料こそが、脂肪交雑(サシ)を抑える、つまり赤身肉になる“魔法のエコフィード”。「黒毛和牛は、遺伝的に筋肉繊維の間に脂肪細胞が入りやすいのですが、この飼料を与えることで、脂肪は約1割減、ビタミンEの含有量は1.7倍に。肉質は柔らかく、脂肪分が少ない分あっさり食べられます」と、和歌山県農林水産部畜産課の楠川翔悟さんは説明します。

高タンパク質、低カロリーといった観点から、赤身肉の需要が拡大している昨今、早くも県内外の飲食店から注目の的。県は「大事にブランドを育てていきたい」と、県内の畜産農家・卸売業者・飲食店5社で組織する「紀州和華牛協議会」を設立して、生産から供給まで管理しています。

紀州和華牛の誕生秘話と食べられるお店、買えるお店を紹介します。

こよいはステーキ?焼き肉?さぁどっち?

紀州和華牛誕生までの物語“せり”には出さず、協議会で一括管理

紀州和華牛は、湯浅町と御坊市にある環境総合サービス「エコマネジメント」(本社=和歌山市新留丁)の牧場で育てられています。同社は、廃棄物処理業を手掛けていて、大量に廃棄される食品残さをどうにか活用できないかと、2011年から「エコフィード」の生産に着手。17年に自社牧場を設けて、繁殖和牛の飼養をスタートさせました。

紀州和華牛が育てられているエコマネジメントの牧場

一方、和歌山県の「赤身が旨(うま)い黒毛和牛肉生産技術開発」の試験は15年に始動します。畜産試験場はもとより、県内の肥育農家に協力してもらって“赤身和牛”を育てようと試みるも、思ったような結果が得られず。「そりゃあ、多くの畜産農家は、A5ランクを目指して肥育しているわけですよ。最終的に当社が飼料作りから肥育まで請け負うことになりました」と話すのは、エコマネジメントの獣医師・中西一夫さん。17年6月からその挑戦は始まりました。

みかんジュースやしょう油、緑茶の絞りかすなど近畿大学の研究結果の配合通り飼料を作り、市販飼料の15~20%をその飼料に代替して黒毛和牛に与えること約12カ月、めでたく「紀州和華牛」が誕生。「霜降りが特徴の黒毛和牛の肥育は、脂肪交雑が入りやすい体質にするために、ビタミンの給与量を制限することがありますが、当牧場の牛は、ビタミンがたっぷり含まれた飼料を食べてすくすく育っています」と、牧場長の森田隆盛さんは言います。

獣医師・中西一夫さん(左)と牧場長・森田隆盛さん(右)

ところが、近ごろの黒毛和牛は個体能力が高く、ビタミンを摂取してもサシが入るのだそう。「でも、脂の質は全く違います。部位によっては霜降り牛肉のように見えるかもしれませんが、食べてみるとその違いは一目瞭然。ただね、紀州和華牛を名乗ることができるのは、認定基準(下記参照)をクリアした牛だけ。悲しきかな最高等級のA5に格付けされると、紀州和華牛とは認められません」と中西さん。

紀州和華牛の認定基準

和歌山県内で肥育された黒毛和牛 (出荷月齢24カ月以上)
県産副産物を1割以上利用した飼料 で飼育(肥育開始から10カ月以上)
ビタミン制限を行わず飼育
肉質等級2、3、4に限る

現在、紀州和華牛は、品質を維持するため、紀州和華牛協議会に加盟している小売店・飲食店が、エコマネジメントに肥育牛を預ける形で飼養。適齢を迎えた紀州和華牛を食肉卸の「ミートファクトリー」が買い取り、小売店・飲食店にそれぞれ必要な部位を卸すという仕組みをとっています。

「今はまだ、2カ月に一度、2頭ずつという出荷ペースですが、来年は8頭に。当面は100頭の肥育を目標に、大切に育てていきます」と森田さんは話していました。

食べる

カルビ一丁

 熊野牛をはじめ、厳選された国産牛を提供する焼き肉店。紀州和華牛は、上赤身1100円、上カルビ1210円、特選ミスジ1958円を提供。※食べられる部位は入荷状況によって異なります

電話番号 073(421)7355
住所 和歌山市友田町4-21
営業時間 月~金曜午後5時~深夜1時(OS0時、土・日曜、祝日は午前11時から)
定休日 年末年始
駐車場 あり

京橋デュッセル

 最上級にこだわった食材を目の前で焼き上げる鉄板焼き店。紀州和華牛のステーキコースは、フィレ(80g)、サーロイン(100g)が7700円から(サービス料別)。ランチはサービス料不要。

電話番号 073(433)1700
住所 和歌山市駿河町48-1
営業時間 ランチ午前11時半~午後3時(OS1時半、金・土・日曜)、ディナー午後5時半~11時(OS9時半)
定休日 月曜

Meat Dining きた川牛侍

 食肉卸売店「MEAT FACTORY」が展開する焼き肉店。より良い肉がリーズナブルにいただけます。紀州和華牛は、さまざまな部位を盛り合わせたセットを6600円で提供(現在、単品なし)。

電話番号 073(477)0029
住所 和歌山市和佐関戸25-2
営業時間 午後5時半~10時(OS9時半、土・日曜、祝日は午後5時から)
定休日 水曜
駐車場 あり

和歌山麦酒醸造所 三代目

店内にクラフトビールの醸造施設があり、日本酒のラインアップも豊富な居酒屋。ほどよい焼き加減の紀州和華牛ステーキ(内モモ)は1320円。ビールとステーキは最強の組み合わせ。

電話番号 073(414)1231
住所 和歌山市十一番丁54
営業時間 午後5時半~11時(OS10時半)
定休日 年末年始

買う

IWADE MARCHE

 精肉店「牛王」から野菜や鮮魚も扱うマルシェに業態転換して、9月14日にリニューアルオープン。精肉コーナーに並ぶ紀州和華牛は、肩バラスライス100g486円、ハンバーグ518円など。

電話番号 0736(63)3000
住所 岩出市水栖31-1
営業時間 午前9時半~午後7時
定休日 火曜
駐車場 あり
備考 ※紀州和華牛は、入荷状況により品薄の場合あり

Meat Garden

食肉卸売店「MEAT FACTORY」が運営する小売店。主に熊野牛と紀州和華牛を販売。紀州和華牛はロース100g1080円、モモスライス100g594円など、種類が豊富。

電話番号 080(3031)3473
住所 和歌山市和佐関戸25-2
営業時間 午前10時~午後7時
定休日 火曜
駐車場 あり

※松源和歌山インター店(和歌山市田屋)でも数量限定で試験的に販売しています

 

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