南極の仕事 高層気象観測 ④

今回は、地球儀でいうと底の位置、日本から1万km以上離れた南極での私の仕事について話をします。

―観測隊の話ですね。
そうです! 観測隊は「オゾン」「地上気象」「日射放射」「高層気象」の専門家が集まっていて、私は高層気象観測を担当。メンテナンスやデータ管理などをしていました。

―高層気象観測って?
風船を大きくしたようなゴム気球に、気温、湿度、風向、風速などを測る機器やGPS(全地球測位システム)を付けて飛ばし、地上から30km上空までの大気の状態を観測します。南極をはじめ、和歌山県の潮岬など、世界約800カ所で決められた時間に合わせて1日2回実施。高層気象観測は、大気の立体的な構造を知るための需要なデータです。

―気球の飛ばし方は。
潮岬観測点のように自動で飛ばす地域もありますが、南極は手動。一定の速度で上がるように浮力を計算して重りを付けた気球を持ち、走って放球します。強風のときは走るのが大変(写真)。

―何に役立っているの?
世界中のデータは、気候変動の監視や天気予報の基礎資料などで生かされています。手つかずの自然が残る南極は、大気や氷、海など、地球規模で自然環境を観測できる貴重な場所なんですよ。

―気象庁は今、防災に力を入れていますよね。
はい。私も自分の専門分野を生かして社会に貢献したいと、高層気象台を志望し、南極へ。その後、地方気象台に赴任しました。災害の発生が予想されるときには、正確な防災気象情報を伝えるのが私の使命と考えて日々の観測や防災の業務を行っています!

ブリザードの中で暴れる気球を飛ばす田中さん(国立極地研究所提供)

回答者
田中省吾さん
和歌山地方気象台の技官で、日本南極地域観測隊の元隊員

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