最近の住宅をめぐる動きを解説⑤~新築編~ 健康にも関係する 高断熱高気密住宅に着目

交通事故より多いヒートショック死

前回は、これからの新築市場について、『長期優良住宅』と『ZEH(ゼッチ)』が重要なキーワードと、和歌山県宅地建物取引業協会広報啓発委員長の藪雅仁さんに解説してもらいましたが、「私たちの健康という側面からも、住宅の断熱性能、気密性が着目されています」と付け加えます。
 高断熱高気密住宅がなぜ健康と結びつくのか。「交通事故で亡くなる人より、お風呂場で溺死する人の方が4倍も多いということはご存じですか? その大半は、温度変化に伴う血圧の急激な変動などが引き起こす『ヒートショック』が原因とされ、住まいの環境も影響しているといわれています。高断熱高気密住宅は、部屋ごとの温度差が小さく、ヒートショックの予防につながります」と藪さんは説明します。
ヨーロッパ諸国が、建物の断熱改修を国策として取り組む一方、日本の断熱事情は先進国の中で最低レベルとされ、こうした問題に対応するため、建築業界、医療機関、行政、消費者団体で「健康・省エネ住宅を推進する国民会議」を組織。シンポジウムや勉強会を全国各地で開催して、健康を増進する住まいの環境を説いています。
 東京都健康長寿医療センター研究所が2014年に発表した「都道府県別にみた高齢者1万人あたりCPA(入浴中心肺停止状態)件数」によると、和歌山県のヒートショック発生率は全国でワースト5位。ワースト1位は香川県、逆に件数がもっとも少ないのは沖縄県、次いで北海道です。寒い北海道で件数が少ないのは、家全体の暖房、断熱環境が整い、住戸内の温度差が小さくなるように建てられているから。比較的温暖な和歌山県や香川県などでは、特に古い一戸建て住宅はその考え方で建てられていません」と藪さん。これから寒い季節がやってきます。脱衣室と浴室、トイレの寒冷対策は大事。省エネ改修(断熱リノベ)には、国から補助金も交付されます。

※次回は11月24日号掲載

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