治療の最前線! 専門医に聞くvol.27
痛み止めを飲むときは腎臓に注意
「薬剤性腎障害」について

 腎臓には、体内の老廃物や余分な塩分、水分を尿として排せつする役割があります。体内に入った薬の多くも同じように、腎臓から排せつされます。そのため、腎臓は薬の影響を受けやすく、障害が起きやすい特徴があります。

が原因で、腎臓の働きが低下することを“薬剤性腎障害”といいます。薬剤性腎障害の報告が最も多い薬は、痛み止めや解熱剤として使われる「ロキソプロフェン」や「ジクロフェナク」などの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs、エヌセイズ)です。関節痛や筋肉痛、神経痛、頭痛、腰痛などになったとき、処方される機会が多い薬で、市販薬にもたくさんの種類のNSAIDsがあります。

NSAIDsには、炎症を抑える作用の他に、血管を収縮させる作用もあります。服用することで、腎臓に流れ込む血流が減少し、腎臓の働きを低下させることがあります。薬剤性腎障害を起こすと、尿の減少やむくみ、だるさなどの自覚症状が現れます。目立った症状がなくても、長期間内服していると、医療機関で腎障害が判明するケースもまれにあります。

薬剤性腎障害を予防するために、NSAIDsを必要以上に多く飲まないことや、漠然と長く使わないこと、水分を十分に補給して脱水に注意することが大切です。特に、高齢者や、糖尿病がある人、降圧薬や利尿剤を服用中の人は気をつけて。解熱鎮痛薬の「アセトアミノフェン」は腎血流を減少させないので、通常の量であれば、NSAIDsに比べて使用しやすいです。気になる人は、かかりつけ医に相談を。
(済生会和歌山病院腎センター部長・岡本昌典)

岡本昌典部長

みんなの健康

関連キーワード

 

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

おすすめ記事

  1. リビング和歌山2025年11月1日号「深まる秋 お出かけも夜長も カフェでわたし時間」
     ぐっと気温が下がり、秋が一気に深まりました。山々が色づき始め、そろそろ届く紅葉の便りにお出かけ気…
  2. リビング和歌山2025年10月25日号「話題を呼ぶNew Spot 県内初! 「ハンズ」オープン」
     10月15日、近鉄百貨店和歌山店に和歌山県初の「ハンズ」がオープン。さっそく話題を集めています。…
  3. リビング和歌山2025年10月18日号「ワークスタイル -これからの“働く”を考える- 今日も社会を動かす場所で」
     近年、警備の仕事で女性の活躍が目立つようになり、女性警備員が全体の7・3%を占めるまでに増えてい…
  4. リビング和歌山2025年10月11日号「勝手にリビングノーベル食文化賞」
     各分野で人類に対して多大な貢献をした人物に贈られる「ノーベル賞」。食欲の秋を迎えた今週は、食の道…
  5. リビング和歌山2025年10月4日号「伊太祈曽駅から四季の郷公園まで運行中 トゥクトゥクに乗ってお出かけ」
     ようやく暑さも和らぎ、出かけやすい季節になりました。伊太祈曽駅から四季の郷公園の間を“トゥクトゥ…
リビングカルチャー倶楽部
夢いっぱい保育園

お知らせ

  1. 2025/10/30

    2025年11月1日号
  2. 2025/10/23

    2025年10月25日号
  3. 2025/10/16

    2025年10月18日号
  4. 2025/10/9

    2025年10月11日号
  5. 2025/10/2

    2025年10月4日号
一覧

アーカイブ一覧

ページ上部へ戻る