治療の最前線! 専門医に聞くvol.28
症状があれば、早期受診
脳梗塞の合言葉は”ACT FAST”

 脳卒中は、突然発症する脳の疾患で、要介護・寝たきりになる原因の第1位です。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」、動脈瘤(りゅう)が破れる「クモ膜下出血」の3種類に分けられ、その中でも、脳梗塞が約7割を占めます。脳梗塞を起こすと、脳に酸素や栄養が行き渡らなくなり、組織がダメージを受けます。発症する場所により、手足のまひや言語障害などを起こし、後遺症が残ることもあります。発症後、4・5時間以内であれば、詰まった血栓を溶かす「静注血栓溶解療法」で治療できる他、大きな血管が詰まる脳梗塞の場合に限り、6~24時間以内であれば、カテーテルで血栓を取り除く「機械的血栓回収療法」を行うことができます。どちらにしても、治療開始が早ければ早いほど、良好な結果が期待できます(条件によりできない人も)。

“ACT FAST”という脳梗塞の初期症状を表す言葉があります。Fは“フェイス”で片方の口角が下がる顔のゆがみ、Aは“アーム”で腕に力が入りにくい脱力、Sは“スピーチ”でろれつが回らないなどの言語障害、Tは“タイム”で早く、ACT(行動する)ことを示します。これらの症状が出ても、しばらくすると治まる「一過性脳虚血発作」の場合もありますが、一過性脳虚血発作を起こすと、2日以内に脳梗塞が発症するという報告もあるので、早期に医療機関を受診してください。

高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙、多量飲酒などは、脳梗塞のリスクになります。生活習慣を見直し、予防しましょう。
(済生会和歌山病院脳神経外科・栗山衣美)

栗山衣美医師

みんなの健康

関連キーワード

 

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

おすすめ記事

  1. リビング和歌山2025年7月26日号「進化する「北ぶらくり丁」」
     レトロな雰囲気のなかに、遊び心と新しさが交錯する北ぶらくり丁が活気にあふれています。アーケードの…
  2. リビング和歌山2025年7月19日号「駅舎物語」
     和歌山県内にある約130の駅の中から、鉄道を利用して訪れてほしい駅をピックアップして紹介します。…
  3. リビング和歌山2025年7月12日号「参加者募集!リビング特別体験イベント夏休み! 親子で工場見学」
     もうすぐ夏休み。親子で工場見学に出かけませんか。地元和歌山にゆかりのある産業やものづくりを知り、…
  4. リビング和歌山2025年7月5日号「和歌山県の手仕事を訪ねて 民藝100年の今を生きる 暮らしの中の道具に宿る「美」 」
     1925(大正14)年、思想家・柳宗悦(むねよし)が、「民衆的工藝」を略し、「民藝」と主唱。暮ら…
  5. リビング和歌山2025年6月28日号「片男波に出現!関西最大級のビッグスライダー海上アスレチック AQua LooP 」
     夏休みまであとわずか。今年は片男波海水浴場に巨大な海上アスレチック「AQua LooP」が誕生し…
リビングカルチャー倶楽部
夢いっぱい保育園

お知らせ

  1. 2025/7/24

    2025年7月26日号
  2. 2025/7/17

    2025年7月19日号
  3. 2025/7/10

    2025年7月12日号
  4. 2025/7/3

    2025年7月5日号
  5. 2025/6/26

    2025年6月28日号
一覧

アーカイブ一覧

ページ上部へ戻る