治療の最前線! 専門医に聞くvol.29
睡眠時無呼吸症候群の症状に
夜間頻尿や緑内障の悪化も

「いびきがうるさいから、別の部屋で寝て!」。睡眠中に大きないびきをかいて、家族から文句を言われていませんか。いびきは、気道が狭くなっているサイン。鼻・喉の異常や肥満により気道が狭くなると“睡眠時無呼吸症候群(以下SAS、サス)”になるかもしれません。自覚がないので、家族からの“苦情”で気付くことが多く、一人暮らしの人は要注意。中には、夜間頻尿で泌尿器科を受診して、SASの疑いで専門医を紹介される人もいます。

SASになると、「眠ると息が止まる→苦しくなる→脳が起こされて息苦しさに気付く→慌てて息をして楽になる→また眠る」を繰り返し、昼間眠たいのに夜間熟眠できない状態が続きます。酸素不足で心臓や血管に負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞、高血圧などのリスクも。近年、免疫力が低下してがんが発症しやすくなる他、認知症や緑内障に影響することも分かってきています。

SASの放置で生存率が低下し、未治療のまま7、8年経つと、3人に1人が死亡するという報告もあります。

SASの検査には、自宅でできる簡易検査や、「ポリソムノグラフィー」と呼ばれる精密検査などがあります。いくつかの治療法がありますが、その一つがCPAP療法(シーパップ療法、持続陽圧呼吸療法)です。鼻にマスクを装着した状態で就寝し、専用の装置から空気を送り込んで、気道を押し広げます。即効性はありますが、継続的な治療が必要です。家族からの指摘や、気になる症状がある人は、医療機関で受診を。
(済生会和歌山病院 呼吸器内科・堀川禎夫)

堀川禎夫医師

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