分かりやすく伝えるための工夫

和歌山大学客員教授の後誠介さん
大水害が起こるしくみと、命を守るための行動を親子で学べる防災絵本「川がパンクしちゃった! もりのがっこうとどうぶつたち」(はる書房)が出版されました。
きっかけは2022年9月、新宮市丹鶴幼稚園で行われた減災学習。講師を務めた和歌山大学客員教授で、防災・災害科学が専門の後誠介さんは、「真剣なまなざしで話を聞く園児たちの姿に心を打たれました。防災は大人だけでなく、子どもたちの心にも届く伝え方が必要だ」と絵本制作を決意します。
後さんは、大水害の調査にかかわり、「紀伊半島大荒れ」(はる書房)を執筆。その経験をもとに今回の絵本を企画しました。「大水害(川の氾濫)は目の前だけで起こるのではなく、上流で起こった土砂災害が下流に広がり、地域全体に甚大な被害をもたらします」と話す後さん。
新宮市出身のライターの黒川なおさんは、希望を感じさせるストーリー展開で、吉田葉子さんのイラストは、難しい防災のテーマを子どもたちにも分かりやすく描いています。後さんの学術的見地と黒川さんの物語性、そして吉田さんの表現力。それぞれが融合し、心に残る一冊に仕上がりました。
絵本の主人公は「もりのがっこう」の動物たち。地域で起こる自然災害に対して、ふくろう校長やみんながどのように対処していくのでしょうか。大水害発生前と発生中の俯瞰図(ふかんず)も絵本の見どころ。
「親が知っていることを子どもに読むというのではなく、親も知らないことを子どもと気づきながら読み進めて欲しい」と後さん。読み聞かせグループや地域の防災クラブなどでも活用でき、家庭から地域全体の防災意識の向上につながる絵本です。全33ページ、1870円、全国各地及び和歌山県内主要書店で発売中。


サルがどうして川の水があふれたのか、ふくろう校長に尋ねます
| 問い合わせ | 03(3293)8549はる書房 |
|---|
関連キーワード










