ぼちぼちいこか

なりっちの虹色えほん

「きょうのぶん」「あしたのぶん」
「あさってのぶん」のハグと絵本

 「ぼちぼちいこか、ぼちいこか」とかわいい声がして、振り返ればピンクの自転車に乗った女の子が私を追いかけて来ます。スーパーの前を通って駐車場を過ぎても、まだまだ声は続きました。

 わが家にたどり着き、カギを開けながら「若い(幼い)のに、えらいコテコテの大阪弁を知ってるんやなあ」と思った瞬間、気付いたのです。

 女の子は私が毎月読み聞かせに伺うA保育園の園児さんで、彼女は私たちのグループ名、「ぼちぼちいこか」と呼んでくれていたことに。

 地域の小学校でも図書の時間に読み聞かせをさせていただいています。そのせいで、知らない親子に頭を下げられたり、下校途中の小学生に「ぼちぼちや〜」と指差しされたり…。自転車の後ろにリュックを背負ってちょこんと座っていた男の子が、すれ違い際に「ボ〜チ!」と興奮して叫んだこともありました。ともかく地元では(2歳から12歳限定で)ちょっとした有名人なのです。

 絵本の編集者でしたから、独身時代から好きな絵本に囲まれて暮らしておりました。子どもが生まれてからは子どもを〝ダシ〞に絵本を求め、寝る前の読み聞かせを一緒に楽しみました。仕事で遅くなった日も、叱って気まずくなった日も…。

 わが子を「大好き」と抱きしめてから、絵本を一冊取り出して読み始めるのですが、その至福のひとときは「きょうのぶん」「あしたのぶん」「あさってのぶん」とねだる子どもの声とともに、今も私の宝物です。

 「ぼちぼちいこか」の名は絵本『ぼちぼちいこか』(出版=偕成社、マイク・セイラー・作/ロバート・グロスマン・絵/今江祥智・訳)からいただきました。

名前なりきよ ようこ
プロフィル絵本編集者として勤務後、渡欧。帰国後フリーに。
保育所や小学校で読み聞かせを25年以上続けている。絵本creation(編集プロダクション)代表
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