被災地での体験、経験を生かして⑮

紀州梅の郷救助隊隊長 尾﨑 剛通さん

もしものときにリーダーシップをとって地域の力に

何もできなかった悔しさから結成

講演会で登壇する尾﨑剛通さん

講演会で登壇する尾﨑剛通さん

(上)2011年4月、宮城県気仙沼市での捜索活動(下)毎年、訪れている気仙沼市の浄念寺。今年も交流会が行われました

(上)2011年4月、宮城県気仙沼市での捜索活動(下)毎年、訪れている気仙沼市の浄念寺。今年も交流会が行われました

みなべ町を中心に近隣市町の住民らで組織する災害ボランティア団体「紀州梅の郷救助隊」。1995年に起こった阪神・淡路大震災のとき、地元の消防団員であった尾﨑剛通さんが、「召集がかかるかと思ったけれど、消防団は地域に密着した消防防災組織のため救助に向かうことはなく…。あのときは行政の対応もにぶかったですよね。何もできない自分に悔しくなって、それなら自分で」と立ち上げました。

現在、隊員は賛助隊員を含め150人ほど。年齢も職業も異なる人たちが有志で集まり、災害が起こるたびに被災地へと駆けつけています。

「隊員には勉強のために各地での復興・救助活動に参加してもらっています。ただし、“自主・自由・自己責任”で。もし、この辺りで大災害が起こったら、隊員一人一人がリーダーシップをとって、率先して地域の人たちを助けてほしいと思っています」と尾﨑さん。

東日本大震災のときは、和歌山県にも津波警報(大津波)が出ていたため、尾﨑さんは消防団員として町内のパトロールに奔走し、発生から2日後に隊員らと福島県へ。

「このときは原発のことや津波の二次災害の問題があって、思った活動ができず、じくじたる思いで帰ってきました」と。

そして1カ月後、宮城県気仙沼市へ。「浄念寺という臨時の避難所で、女性は炊き出し、男性は捜索活動をして、全焼した家屋から白骨化した遺体や位牌を見つけ出しました。7年経った今も気仙沼には毎年足を運び、交流が続いています」と言います。

防災関連の講演会に呼ばれることの多い尾﨑さん。講演会では、こうした活動報告とともに、「避難訓練はもちろん大事です。訓練に参加していないととっさの行動はなかなかできません。しかし、訓練によって“マニュアル通り”のことしかできなくなると災害時には命取りになります」と訴えています。

※次回6月16日号掲載

 

尾﨑 剛通さんが伝えたい災害時の備ええ

◆避難訓練は大事。しかし、マニュアル通りの訓練では、とっさの行動につながらない
◆一度、被災現場を見るとその意識が変わる

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