400年目の節目に出合う
紀州東照宮の大祭「和歌祭」

 戦乱の世に終止符を打ち、江戸幕府を開いた徳川家康をまつる、紀州東照宮(和歌山市和歌浦西)の大祭「和歌祭」が、今年400年を迎えます。節目の年、舞台は和歌浦地区から和歌山城周辺へ。来週5月15日(日)、いよいよ開催です!

約1000人が演舞などを披露
和歌山城とその周辺を練り歩く

江戸時代、「和歌の浦には名所がござる、一に権現(紀州東照宮)、二に玉津島、三に下り松、四に塩竃(しおがま)よ」と歌われるなど、和歌浦地区は古くから風光明媚(めいび)な景勝地として知られていました。

この歌に登場する紀州東照宮は、1621(元和7)年、紀州藩初代藩主・徳川頼宣が、父・家康を「東照大権現」としてまつるために創建。「和歌祭」は、家康の命日に合わせて翌22(同8)年から始まりました。

和歌祭の渡御行列は、東照大権現を乗せた神輿(みこし)からなる「渡り物」と、山車(だし)や踊りなどの「練り物」で構成されています。和歌山大学紀州経済史文化史研究所の吉村旭輝准教授は「残された屏風(びょうぶ)や絵図などを見ると、華やかな衣装を着て踊ったり、笛を吹いたり、当時のにぎやかな様子がうかがえます」と説明。「藩主が臨席する中、城下の町民が練り物で参加し、一体となる祭りは、全国に数ある東照宮の祭礼を見ても古く、先進的な事例といえます。そういったことからも『風流の祭り』、また、『民衆の祭り』とされてきました」と続けます。

400年目の今年は「和歌祭四百年式年大祭」とし、5月15日(日)、和歌山城とその周辺で行われます(主催=同大祭実行委員会)。渡御行列は、正午にフォルテワジマ前(和歌山市本町)を出発。神官や巫女(みこ)に続き、「株」と呼ばれる芸技集団など約40種目、総勢約1000人が色とりどりの衣装に身を包み、演技を披露しながら和歌山城までを練り歩きます。 また今回、俳優・松平健さんがゲストとして登場。8代将軍・徳川吉宗に扮(ふん)した松平さんが、地元の人たちと一緒に祭りを盛り上げます。

今回復活した芸能や紀州東照宮について触れる他、当日の行程なども紹介します。

徳川家康の神号「東照大権現」を乗せた神輿が和歌山城周辺を練り歩きます 徳川家康の神号「東照大権現」を乗せた神輿が和歌山城周辺を練り歩きます 女性の参加が認められ、戦後に登場した芸能「舞姫」 女性の参加が認められ、戦後に登場した芸能「舞姫」

反物を積み上げ、連尺(物を背負う道具)で運ぶ様子を表現しています

反物を積み上げ、連尺(物を背負う道具)で運ぶ様子を表現しています

「雑賀踊」の一つ「笹羅(ささら)踊」。笹の先をこすり合わせて音を出します

「雑賀踊」の一つ「笹羅(ささら)踊」。笹の先をこすり合わせて音を出します

唐物様がモデルとなった山車「唐船(とうぶね)」。その後、「御(お)船歌」も復活 唐物様がモデルとなった山車「唐船(とうぶね)」。その後、「御(お)船歌」も復活  

 

行って見て!今年の和歌祭はいつもと違う

途絶えていた芸能3種目が復活

神輿を先導 道を清める役割

①頭巾をかぶり、房のついた棒をもった棒振りと、2頭の獅子 ②青獅子と赤獅子を先導する棒振りが描かれています

①頭巾をかぶり、房のついた棒をもった棒振りと、2頭の獅子 ②青獅子と赤獅子を先導する棒振りが描かれています

今年の和歌祭は、記念事業の一環として、途絶えていた芸能「棒振(ぼうふ)り」「獅子」「童子(どうじ)」が復活(写真①③)します。「これらは神輿を先導し、道を清める重要な役割を担っていましたが、江戸時代後期から徐々に失われました。復活は今後、歴史的・文化的価値としての大切なものとなるでしょう」と、和歌山大学紀州経済史文化史研究所の吉村旭輝准教授は話します。

獅子頭や衣装などは、「東照宮縁起絵巻(1646年、紀州東照宮蔵)」(写真②④)を参考に再現され、地元の企業や学校が「株」組織として新たに文化を引き継ぎます。吉村准教授は「担い手を広げることで“自分たちの祭り”という機運もより高まっています」と話しています。

③狩衣(かりぎぬ)とはかまを着けて、お披露目する子どもたち ④装束の色や模様で、体格の違いが表現されています

③狩衣(かりぎぬ)とはかまを着けて、お披露目する子どもたち
④装束の色や模様で、体格の違いが表現されています

紀州初代藩主・徳川頼宣ってどんな人?

1602(慶長7)年、徳川家康の10男として伏見城(京都市)で誕生。母は「お万の方」で知られる家康の側室「養珠院」といわれています。
家康から期待を寄せられた頼宣は、8歳にして駿府(静岡市)の城主として迎えられます。家康が亡くなって3年後の、18歳で紀伊国和歌山(和歌山市)へ。55万5000石が与えられ、紀州藩の初代藩主となりました。和歌山城

徳川幕府を安定させるためにも、和歌山城の改築や城下町の整備などを行い、紀州藩の基礎を構築。漆器「黒江塗」やミカンの栽培を奨励したり、藩内の治安維持に注力したり、多くの政策を実行し、優秀な政治家でもあったと伝えられています。

 

家康をまつる 「紀州東照宮」

紀州東照宮徳川頼宣が、南海道(現在の和歌山、淡路島、四国)の平和を守る神社として創建。和歌浦湾を望む雑賀山に鎮座し、「関西の日光」とも呼ばれるなど、古くから「権現さん」の愛称で親しまれてきました。本殿には、江戸幕府初代将軍・徳川家康を神格化した「東照大権現」、頼宣を神格化した「南龍大神」がまつられています。

宮司・西川秀大さん

宮司・西川秀大さん

社殿は、江戸時代に流行した「権現造り」で、組み物や彫刻が多く、漆塗りであでやかな彩色が施されているのが特徴。当時活躍したとされる彫刻師・左甚五郎の「鷹(たか)狩り」や、狩野派の絵師・狩野探幽の壁画などを見ることができます。社殿を含む、境内の7棟が、国の重要文化財に指定されています。

見応えあり!社殿に施された彫刻

家康がタカ狩りを好んだことから、タカがキジを捕えている彫刻が施されています家康がタカ狩りを好んだことから、タカがキジを捕えている彫刻が施されています

武器が使われない平和な世の中を願い、夢ではなく、鉄を食べる動物としてバクを彫刻武器が使われない平和な世の中を願い、夢ではなく、鉄を食べる動物としてバクを彫刻
お問い合わせ先 紀州東照宮
電話番号 073(444)0808
電話番号 和歌山市和歌浦西2-1-20
拝観時間 午前9時~午後4時
備考 社殿の拝観は大人300円、小・中・高校生100円

見つけて!かわいい石畳

鳥居をくぐってから続く石畳の参道。その中に、リンゴやハートの形をした石があります。参拝の際、見つけてくださいね!

松平健さんが来和

 和歌祭の当日、時代劇で8代将軍・徳川吉宗を演じた俳優・松平健さんが来和。殿さまの衣装で白馬に乗った松平さんを先頭に、侍など約40人が、和歌山城周辺を練り歩きます。

出掛けよう
和歌祭・その他関連イベントスケジュール

和歌祭四百年式年大祭と前夜祭

和歌祭四百年式年大祭記念ブラクリナイトマーケット

5月14日(土)
場所:ぶらくり丁
時間:午後5時から

和歌祭四百年式年大祭

5月15日(日)
場所:和歌山城とその周辺
時間:正午▷渡御始め式(フォルテワジマ前)
午後0時15分▷渡御行列(フォルテワジマ前~市役所前)
〈演舞ポイント〉
・京橋プロムナード前
・公園前交差点周辺~ダイワロイネットホテル和歌山前
・和歌山市役所前
午後2時半▷渡御納め式(和歌山城西の丸広場)

お問い合わせ先 和歌祭四百年式年大祭実行委員会(東照宮会館)
電話番号 073(444)0808
HP http://wakamatsuri.com/400th

食のイベント「頼宣公Food Hunter Tourism(フード・ハンターツーリズム)」

和歌祭四百年式年大祭記念ブラクリナイトマーケット

時間:午前10時~午後4時
場所:和歌山城西の丸広場

お問い合わせ先 紀州夢まつり、和歌山まちなかシルクロード構想実行委員会 
メール 0kinaconews@gmail.com(KINACO地方創生通信社)

和歌山大学

和歌祭四百年式年大祭で図録配布

5月15日(日)
和歌山城周辺の和歌山大学「紀州研」ブースで

特別展「和歌祭四百年式年大祭・御神忌と大祭」

6月3日(金)まで
時間:午前10時半~午後4時
場所:和歌山大学紀州経済史文化史研究所展示室(和歌山市栄谷)

お問い合わせ先 和歌山大学紀州経済史文化史研究所
電話番号 073(457)7891

 

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