「ふまじめ通信」が全国ロードショー
和歌山市加太が映画の舞台に

リビング和歌山10月28日号「「ふまじめ通信」が全国ロードショー 和歌山市加太が映画の舞台に」

 撮影のほとんどを和歌山市の加太で行った映画「ふまじめ通信」が、全国で公開。前作「あつい胸さわぎ」を、和歌山市の雑賀崎で撮影した、まつむらしんご監督による作品。10月28日(土)と29日(日)にはジストシネマ和歌山で舞台あいさつが行われます。

ふまじめ通信メインビジュアル

クニちゃんは港で師匠と出会います

クニちゃんは港で師匠と出会います

店番のアルバイトをしている友人に染み入ることを言われ…

店番のアルバイトをしている友人に染み入ることを言われ…

移住のきっかけとなったヤッちゃんのミカン農家

移住のきっかけとなったヤッちゃんのミカン農家

港で石をつるす師匠と悩める中学生

港で石をつるす師匠と悩める中学生

心を病んだ主人公クニちゃんが
のどかな港町で出会う人たちの物語

和歌山市や日高町、御坊市などがロケ地となったサイコスリラー映画「Threads of Blue(スレッズ・オブ・ブルー)」が9月に全国上映。また、今月13日に公開された「月」(宮沢りえ主演)は、実際に起きた障害者殺傷事件をモチーフにしたセンセーショナルな作品で、一躍話題に。「月」も有田市を中心に撮影されたもので、この秋は、和歌山ロケの映画の上映が相次いでいます。

そんな中、和歌山市の加太などで撮影された映画「ふまじめ通信」が、今月20日から全国各地で順次公開されています。

この映画の監督を務めたのは、まつむらしんご。前作は、若年性乳がんをテーマとして、第35回東京国際映画祭で「ニッポン・シネマ・ナウ部門」に選出された「あつい胸さわぎ」。和歌山市がフィルムコミッション事業の一環として支援し、同市雑賀崎でロケが行われました。

続く今作「ふまじめ通信」を制作するにあたり、まつむら監督が加太を撮影の舞台として選んだのは、前作「あつい胸さわぎ」のロケ地の候補として、加太を訪れたことがきっかけでした。「ゆったりとした時間が流れるのを感じられる港町で、お店などの建物、そして海の風景がノスタルジック。町に漂う空気感というか、雰囲気が、この映画にぴったりだと思いました」と、まつむら監督は話します。

「ふまじめ通信」は、都会で教師をしていたクニちゃんが主人公。まじめな性格からストレスで心身を病んでしまい、教師を辞職。友人のヤッちゃんがきっかけとなり、和歌山の港町にIターンします。そこでクニちゃんは、医師から言われた「もっと、うまく、ふまじめに生きなさい」という言葉を思い出し、自身の性格とは真逆の「ふまじめ通信」という音声配信番組を始めることに。風情ある港町を舞台に、クニちゃんが出会ったちょぴり間の抜けた物哀しい“ふまじめ”な人たちのエピソードが、オムニバス形式で描かれます。

主役を務めるのは、宇乃うめの。ドラマ「神様のカルテ」や「ドクターX」などで、その存在感を現し、1000人を超える応募者の中から、オーディションで主役に抜てきされました。友人のヤッちゃん役には、CМや雑誌などでおなじみの植田紗々(さしゃ)、同じく友人役に、モデルやスタイリストとしても活躍する7A(ななえ)を起用。ほか、和歌山市出身のモデル・本谷紗己(ほんたにさき)や、幼少時代を和歌山市で過ごしたユーチューバー・そわんわんも映画に登場します。

一生懸命に生きている
すべての年代の人に向けて

スタッフ・俳優陣と一体になって
和歌山の人たちが撮影を支える

 映画「ふまじめ通信」の公開を前にした10月6日、まつむらしんご監督が、制作プロデューサーの前田和紀(かずとし)さんと来和。和歌山市の尾花正啓市長を表敬訪問し、映画の見どころを紹介しました。

尾花市長とまつむら監督(写真中)、前田プロデューサー(写真左)

尾花市長とまつむら監督(写真中)、前田プロデューサー(写真左)

作品で撮影現場となったのは、加太の町なかにある古民家カフェの「オジバ商店」、その近所の「松田美容室」「新町温泉」「小嶋一商店」や加太中学校、そして加太の海辺。「オジバ商店は主人公が暮らす家、そこを中心に、ほぼ自転車で5分から10分で移動できる距離の範囲で撮影しました」と話す、まつむら監督。ほか、主人公の友人はミカン農家という設定で紀の川市、フェリー乗り場がある和歌山港、また、本谷紗己さんが演じたタクシードライバーが登場するシーンは、和歌山市のアロチで撮影されました。

まつむら監督は、「和歌山の皆さんは本当に協力的で、映画の撮影を楽しんでくれました。“面白い”と思えることにとても積極的だと感じました」とも。撮影場所だけでなく、例えば、俳優陣のメイクは市内のIBW美容専門学校の講師が担当し、生徒たちが毎日交代でアシスタントを務めました。主人公たちがギョーザを包むシーンでは、地元ギョーザ店の店主が包み方を教えたり。「1週間ほどスタッフや俳優陣が加太にとどまり、寝食を共にして撮影に臨みました。地域の人たちの支えもあり、都心のロケでは味わえない一体感が芽生えたと思います」

また、今作は主人公が出会う人たちのオムニバスストーリー。それらには、まつむら監督が実際に見聞きしたエピソードがちりばめられています。「映画の中に、亡くなった夫の骨壺を抱えてアイドルの追っかけをする女性の話があるんですが、実は、それは私の知人がモデル。加太中学校の校長先生から切実な教員不足の話を聞いて、そのことをストーリーに盛り込んだり、IBW美容専門学校の先生からママチャリで旅に出る話を聞いて、自転車旅で大切なのは“財布と携帯とサドル”だと言っていたこととか…。わざわざ人に話すことではないけれど、実は自分の中で大切にしていること、そんな話を集めて一つの物語に仕上げました」。加太の海岸で、主人公が師匠とする人物が石を吊るしているシーン、これも実話で、それには訳があり…。

「ふまじめに見えても、実は人って、なかなかふまじめに生きられない。そんなことに主人公と一緒に気付いて、誰もが心の中の引き出しにしまっている“宝物”を開くきっかけになればうれしい」と語るまつむら監督。何気ない日常に、それぞれのドラマチックな物語があふれていると気付かせてくれる作品です。

まつむらしんご監督

まつむらしんご監督
【プロフィル】2013年「ロマンス・ロード」や2017年「恋とさよならとハワイ」などの受賞作品があり、前作「あつい胸さわぎ」(吉田美月喜・常盤貴子主演)を和歌山市雑賀崎で撮影

和歌山にゆかりのある人も出演

コメントをもらいました!

タクシー運転手・マナツ役 本谷紗己

タクシーに乗ることがあっても制服を着て運転席に座ることはできないので、貴重な経験をしました。今回はちょっと疲れてしまったタクシー運転手の役を演じました。モデルの仕事では、クールとかアンニュイ系の表情を作ることはあっても、疲れた表情というのが初めてだったので難しかったです。元々よく笑うので無意識にニヤニヤしてしまいました(笑)。

ロケ当日は、そわんわんちゃんが現場にいて驚きました! SNSでいつか一緒にお仕事したいですね〜ってやりとりしたことがあったので、それをサプライズで実現してくれたそうです。会話を楽しめてよかったです。ロケでは普段からよく利用する相互タクシー、お食事で何度も行ったことがある「四季の味ちひろ」でお世話になりました。普段よく見てきた風景が、映画ではどんな景色に見えるんだろうとわくわくしています。

本谷紗己さん

【プロフィル】「さっぴょん」の愛称でおなじみ、和歌山市出身のモデル。映画出演は3回目、和歌山県公式インスタグラムのイメージガール、和歌山市観光発信人。地元和歌山の魅力を多方面でPRしている

タクシーの乗客役 そわんわん

そわんわん

 映画に出演したのは初めての経験。私の人生の中で映画に出ることなんかないって思ってました(笑)。セリフがないと聞いていたので、緊張していなかったのですが、現場に着いた途端に、アドリブで話してほしいって言われて、“え! ムリムリ”ってなりました。テンパってる様子だったと思うのですが、どんな風に映画になるのかと、ドキドキしています。

和歌山市をロケで訪ねて、とても懐かしい気持ちでいっぱいになりました。町の様子を映画で見るのがすごく楽しみです。時代のせいにするわけではないですが、このご時世で生きていくことは、病まない方がおかしいってくらい大変だと思います。“私、無理してたんだな~”と気付かされる映画作品です。自分と重ねて、ぜひ見ていただきたいです。私はそんなに登場していませんが(笑)、探してみてください!

そわんわん

【プロフィル】東京都生まれ、幼少期に和歌山市に引っ越し、県立星林高等学校を卒業、その後上京し、若者に支持を集めるユーチューバーとして活躍中。フリーマガジンLiSMでコラムを執筆中

information

映画館情報
和歌山市では、10月27日(金)〜11月9日(木)「ジストシネマ和歌山」のサロンシネマで上映
https://www.o-entertainment.co.jp/xyst_cinema/

「ふまじめ通信」公式サイト
作品の情報や予告編が公開中です。ぜひチェックしてみて!
https://fumajime.jp/

まつむらしんご監督が和歌山に! 10月28日(土)・29日(日)の両日、12:10からの上映回終了後、まつむら監督の舞台あいさつがあります

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