考えよう 災害時の備え 被災地での体験、経験を生かして⑫

紀の川市社会福祉協議会桃山支所長 辻 佳秀さん

身近に起こった水害、地域で共有して防災意識を

昨日まで生活していた家が…
“廃棄”も“処分”もNGワード

昨年10月23日の井阪橋。紀の川が増水して河川敷のグラウンドも全部浸かりました。

昨年10月、台風21号の影響で土砂崩れ、床上・床下浸水の被害を受けた和歌山県紀の川市。特に、桃山町調月(つかつき)と貴志川町丸栖(まるす)の2地区は、大打撃を受けました。
紀の川市では、局地的な被害であったことなどから、全国からのボランティアを受け入れる「災害ボランティアセンター」は立ち上げず、地域住民らで結成し、日ごろから研修会や訓練を実施している「福祉防災ボランティア会」を中心に、活動に当たりました。その指揮を執ったのが紀の川市社会福祉協議会。
桃山支所長の辻佳秀さんは、「われわれ職員がこういった形でコーディネーターとなるのは初めてのことで、学ぶべきことがたくさんあると痛感しました。あれから約4カ月が過ぎますが、まだまだ復興したとは言い切れません。次また浸かったら…と、もう元の家には戻らないという方もいらっしゃいます」と話し
ます。
また、ボランティア活動に参加した男性は、「昨日まで普通に生活していたお宅に、土足で上がり込むのが本当に心苦しくて…。水に浸かった家財道具や衣類は思い出の品。廃棄や処分という言葉は決して使ってはいけないと思いました」と心の内を明かします。
紀の川市社会福祉協議会では、この身近に起こった水害を地域住民で共有し、備えの意識を高めてもらおうと、2月11日(日)に桃山保健福祉センター(桃山町最上)で開催する桃山「つどいの広場」のテーマを“防災”に設定。調月地区の被害状況や復旧・復興に関わったボランティアの活動報告、防災クイズなどを実施します。
「南海トラフ地震が起こり、山津波で紀の川が決壊したら、まち全体が飲み込まれてしまうかもしれません。地域の人たちと一緒にもっと地域のことを考えていきたい」と辻さんは言います。
※次回3月10号日掲載

浸水した家屋で、ボランティアの人たちが家財道具を運び出す様子

 

台風21号による紀の川市の被害状況

死者1人、軽症1人
全壊1棟、床上浸水148棟、床下浸水108棟

≪ボランティアの活動状況≫

活動日数4日間、ニーズ65件、活動者数144人

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