進化し続けて180年すごいぞ!カメラって

世界初の実用的カメラが誕生して今年で180年。写真技術の進化には和歌山県の企業も深く関わっています。今回はカメラの歴史や楽しみ方について触れます。

1839年「ダゲレオタイプ」が誕生大勢の人が関わり、進化させた背景が

カメラをかばんなどに入れて持ち歩き、いつでも気軽に写真が撮れる現在。インスタグラムなどSNS(ソーシャル・ネット・ワーク)が普及したことで、カメラブームが起こっています。

一眼レフカメラ、ミラーレスカメラ、コンパクトカメラ、インスタントカメラなど、さまざまな製品が市場に出回り、用途に合わせて選べるように。しかし、その背景には、大勢の人が関わってカメラを開発し、進化させてきた歴史が―。

今につながる実用的なカメラが誕生したのは1839年。フランスのルイ・ダゲールが「ダゲレオタイプ」と呼ばれる、銀板を使った写真法を発明。当時使われた木製のカメラはその後“より使いやすいように”と、機能やデザインなど、改良が重ねられてきました。ここ和歌山県でも世界の歴史に刻まれる画期的な製品が生まれています。

カメラの西本(和歌山市西高松)のアドバイザー・田中公康さんに、歴史について話を聞くとともに、撮った写真を自分なりの方法で楽しんでいる人たちを紹介します。

記憶や思い出がよみがえる

“残したい”という人々の思い和歌山で歴史に残る技術開発

カメラの歴史をたどると、現在のように感光材料(光を感じて記録できる材料)による撮影が可能になったのは1826年。フランスのニエプスが、道路の舗装材料のアスファルトを感光材料として、1枚の写真を約8時間かけて撮影したのが始まりです。その後、1839年に仏のルイ・ダゲールが、銀メッキを施した金属板を感光材料として露出時間を20分前後に短縮。現在につながる実用的カメラ「ダゲレオタイプ」が誕生しました。

四つ切りの大きさの写真が撮れる木製カメラを手に、「大きな写真に仕上げるには、同じ大きさのカメラが必要でした」と話す田中さん

しかし、ダゲレオタイプはネガにあたる銀板そのものが写真になるので、複製(焼き増し)ができません。それを解消しようと、1841年、イギリスのウイリアム・タルボットが、紙のネガを使って複製ができる技法「ネガポジ法」を開発。

日本に伝わったのはちょうどそのころで、カメラの西本のアドバイザー・田中公康さんは「日本人で最初に撮られた写真が、薩摩藩主・島津斉彬の肖像といわれています。当時は1枚の写真を撮るのは大変なことでした。カメラの歴史を知り、現存する昔の写真を見ていると、“形として残しておきたい”、という人々の強い思いが伝わってきます」と話します。

その後も、折りたたみ式や金属製など改良が相次ぎ、1888年に巻いて収納できる「ロールフィルム」内蔵の箱型カメラがアメリカのイーストマン・コダック社から発売されると、一般大衆の間で人気に。1903年には日本でも小

西六(現コニカミノルタ)が日本製として初めてカメラを発売するなど、世界中のメーカーが自社の技術を駆使し、製造・販売を開始しました。

立体的に写る「ステレオカメラ」、撮影直後にプリントできる「インスタントカメラ」など、時代とともに技術がどんどん加速。その歴史をたどりながら、田中さんは「和歌山も写真技術の歴史に深く関わっているのですよ」と続けます。

画期的と評判を呼んだ「自動水洗機」

フィルム写真を現像する際、薬品に浸けたフィルムを水で洗います。しかし、何枚もの写真を手作業でするのは時間と労力がかかります。そこに着目したのが、カメラの西本の親会社・ノーリツ鋼機の創業者・西本貫一さん。1951年、水車の原理を応用し、停電時でも稼動できる「写真印画自動水洗機(右写真)」を発明。さらに、モノクロフィルム自動現像機を開発。店内で現像からプリントまで45分でできる「QSS(クイック・サービス・システム)」の発明につながりました。

田中さんは「西本社長の“撮ったときが見たいとき”の考えのもと、QSSは世界中に広まりました。今は表現方法が多様になり、楽しみ方もさまざまです。写真は過去の思い出がよみがえる記憶装置。多くのデータをどう整理して残していくかが課題にもなっている今だからこそ、気に入った写真をプリントし、紙で残して欲しいですね」と笑顔を見せていました。

 

クラシックカメラずらりと展示

カメラの西本車庫前本店の店内には西本貫一さんが収集したクラシックカメラをずらりと展示。貴重なカメラも多数並んでいるので、見応えあり。今後、解説のボードなどが置かれる予定。

①ベスト・ポケット・コダック 

一般大衆に普及した時代のカメラ。小さく折りたたんでポケットにイン。おしゃれなデザイン

 

②ローライフレックス 

ドイツ製、二眼レンズの元祖。上のレンズでピントを合わせ、下のレンズで撮影する仕組み

 

③コンタックス1型 

クラシックカメラの風貌。巻き上げとシャッターダイヤルが一体化。シャッター音に味わいあり

 

④コダック・パンダム・スペシャル 

艶のある黒と白銀のストライプ、柔らかな曲線。アール・デコ調でまさに美ボディー

店名 カメラの西本車庫前本店
問い合せ 073(424)5171
住所 和歌山市西高松1-3-1
営業時間 午前10時~午後7時
休日 木曜
駐車場 あり

 

 

撮った写真こんな楽しみ方しています!

お気に入りは持ち歩くバッグやキーホルダーで

木下みのりさん

携帯の内蔵カメラで、子どもや食べ物の写真を撮影。インスタグラムにアップしています。かわいらしい雰囲気になるようにと背景や角度を工夫。写真はある程度たまったらプリントしています。お気に入りの写真は、かばんやキーホルダーにするなど、親子で楽しむことも。私にとって写真は日常の記録。子どもの写真はアルバムにして残しておきたいですね。

 

日付順にきっちり整理ハードディスクとクラウドで二重保存

桐本駿さん

写真の楽しさを知ったのは高校生のころ。本格的に始めたのは大学生からで、風景や動物を主に撮っています。旅行時はミラーレス一眼カメラ、風景を撮るときは一眼レフカメラと使い分け。撮った写真は日付順に整理し、外付けのハードディスクとクラウド上で管理しています。結婚式の日もカメラを持参し、妻を撮影。残しておきたい大切な写真はプリントして自宅に飾っています。

 

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