パパ、覚えておいて 子育ちに成功も失敗もない

立派な「環境」がなくても
パパとママの生き方は示せる

 ご近所に住むA君は中学校の卒業式前日にプールに飛び込んだというエピソードの持ち主で、仲間とつるんだワルサがちょこちょこ耳に入ってきました。反面、バスケットボールの対外試合で大活躍したとか、エリア一のトップ校への進学を決めたという好感度アップの話題にも事欠かず、なんとなく気になる存在。そんなA君とバスで乗り合わせるという偶然が。小銭がなくて困っていたので立て替えてあげたら、降車後すぐにお店を探し回って両替し、端数をきちんとそろえて返してくれました。「ありがとうございました」と頭を下げる彼の姿はすがすがしく、ご両親の生き方が見えました。

 何か事件が起きるたびにマスコミの報道が加熱し、専門家によるコメントがインターネットや紙面にあふれます。そこではいつも、親子関係のあり方や生育環境が問われます。また、問題行動を起こしがちな子どもについて教育者が語るとき、真っ先に「環境の悪さ」を挙げます。

 環境が大事なことはもちろん分かっています。保育所における乳幼児期の子どもの育ちにおいても人的環境(保育者のかかわり)が最重要で、保育者の質の向上が優先されるべきとの考え方は納得できます。しかし、全ての親が素晴らしい環境を与えられるとは限らず、立派な親でもない場合、「私のような者が親で」と謝らなければならないのですか。

 反抗ばかりする息子に「私の子育ては失敗だ」と叫んだY子。息子は「人のことを失敗とはなんだ」と激しく怒り、それ以来会話がなくなったそうです。また、ある研究者は「幼児期の子育ての結果は20年後に分かる」と追跡調査をしているそうですが、どんな結果が出れば「良い子育てをした」になるのでしょうか。

 子育てに正解がないように、子育ちにも成功や失敗がないのでは。パパとママのすべきことは、「生き方を示すこと」。

 20年は驚くほどあっという間です。今夏も一緒に楽しみましょう。

名前なりきよ ようこ
なりっち
プロフィル絵本編集者として勤務後、渡欧。帰国後フリーに。保育所や小学校で読み聞かせを25年以上続けている。絵本creation(編集プロダクション)代表

子育て・教育

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