2020年7月10日に始まった法務局の自筆証書遺言書保管制度も、今年で5年がたちました。利用件数は増えてきていますが、もっと多くの人に遺言書を作成するメリットを知り、遺言書の保管制度を利用してもらえればと思います。
例えば、遺言を残さず、遺産の処分を決めておかなかった場合、遺産は法律で定められた割合に応じて、共同相続人の間で分割して取得することになります。しかし、どの財産を・誰に・どの程度分配するかを決めるとき、話し合いがこじれ、親族間でいがみ合うという悲劇が生じることも少なくありません。
遺言はこのような遺産をめぐる紛争などを避けるため、自分の財産の処分を生前にあらかじめ定めておく制度です。法律の規定に優先して遺言が適用され、遺産は遺言に定められた通りに分配されることになり、遺産分割協議といった面倒な手続きも不要です。ただし、相続人によっては遺留分(法律上取得することを保障されている相続分)が認められています。
遺言は、15歳以上で、遺言内容とその結果を理解できる能力があれば、誰でも利用できる制度です。特に、自筆証書遺言は、字の書ける人なら誰でも作成できる最も簡便な方式の遺言といえます。自身が亡くなった後、相続をめぐるさまざまなトラブルを未然に防ぐための一つの方策として、遺言を残すことを検討してみませんか。
和歌山地方法務局は、「遺言書作成体験会」を、8月31日(日)に開催。司法書士が遺言書の書き方についてアドバイスします。また、毎月1回、法務局職員による「自筆証書遺言保管制度に関する説明会」も実施。どちらも参加無料です。詳細は左記。(和歌山地方法務局供託課・新井さおり)

和歌山地方法務局供託課 遺言書保管官 新井さおりさん
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