治療の最前線! 専門医に聞くvol.31
喫煙していると血管がボロボロに
血流悪化による下肢の壊死に注意

 血管外科でよく見られる疾患の一つに“下肢閉塞(へいそく)性動脈硬化症”があります。この疾患は加齢や高血圧、高コレステロール血症などが原因とされ、特に糖尿病の人や喫煙者、透析患者は重症化しやすいのが特徴です。これらのリスクがあると、動脈が傷んで血流が悪化し、組織に十分な酸素や栄養が届かなくなります。また、血管がこぶのように膨らむ“瘤(りゅう)化”を起こす恐れも。重症化すると、心筋梗塞や脳梗塞を含む臓器障害を来し、それが足で起きれば壊死に至ることもあります。

足が壊死した時、和歌山県内では総合的に治療できる医療機関が限られているので、早期発見が大切。下肢閉塞性動脈硬化症の初期症状に、歩くとふくらはぎが張って痛くなり、休むとまた歩けるようになる“間欠性跛(は)行”がみられます。他にも、冬場に足の指先が冷えて痛むこともあります。

下肢閉塞性動脈硬化症を治療する時、たばこを吸っている人には、まず禁煙を指導。喫煙しているとカテーテルや手術で血管を広げても、また詰まる可能性があるからです。中には、手術をせずに禁煙だけで症状が改善する人もいます。血液を固まりにくくする薬を用いる他、高血圧など背景にある基礎疾患の治療も併せて行います。

足の痛みで整形外科を受診したり、足の色の悪さで皮膚科にかかる人もいて、血管外科を受診するまでに診断や治療が遅れてしまうケースも少なくありません。足の張りや指先の痛みなど、気になる症状がある人は血管外科に相談を。
(済生会和歌山病院 血管外科・藤本貴大)

済生会和歌山病院   血管外科・藤本貴大

藤本貴大医師

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