考えよう 災害時の備え 被災地での体験、経験を生かして⑧

和歌山災害救助犬協会理事長 榎本 義清さん

直下型地震は冷蔵庫が飛ぶ?! 自分の身を守って

災害救助犬を育てて、人命救助

〈プロフィル〉嘱託警察犬の指導主。災害救助犬・ハンドラーの育成やセラピードッグの育成も

新宮市を拠点とする「和歌山災害救助犬協会」。理事長の榎本義清さんは、嘱託警察犬の指導主で、2004年に同協会を発足。地震や土砂崩れなどの災害現場で、嗅覚で不明者を探し出す災害救助犬と、犬を操るハンドラーを育成し、被災地で捜索活動に当たっています。

1995年の阪神・淡路大震災のときは、国内に災害救助犬はほとんどいませんでした。その後、救助犬育成を目的とする団体がいくつかできましたが、近畿にあるのは、同協会と伊丹市の「日本レスキュー協会」だけ。

東日本大震災のときは福島県相馬市で、熊本地震のときは南阿蘇村で捜索活動に参加。震度6強を目安に自主判断で出動して、災害対策本部でニーズを確認。活動はすべてボランティア

「南海・東海・東南海地震の発生確率が年々高まり、和歌山県は、いつ地震が発生してもおかしくないといわれています。起こってはほしくないけれど、もし今発生したら、犬も人も足りません」と榎本さん。

警察犬と災害救助犬の違いは、警察犬は、特定の個人の臭いを追跡するのに対し、災害救助犬は不特定多数の臭いを探知しなければいけないこと。「基本的に意欲があればどんな犬でも災害救助犬になれます。訓練も昔のように厳しいものではなく、『人を探す喜び』を教えながら、楽しくトレーニングしていきます。しかし、われわれが実災害で感じたのは、小型犬は不向きだということ。それと、国内にはまだ災害救助犬の明確な統一基準がありません。現場で活動できるレベルに達していない犬がいるのも事実です」と指摘します。

数々の被災現場で、人の救助の手助けをしてきた榎本さんが考える〝災害時の備え〞とは、「とにかく自分の身を守ること」。「熊本県で、頭から血を流していた被災者が『冷蔵庫が飛んできた』と言っていました。大げさな話でも笑い話でもなく、直下型の地震だったらそういう事態があり得るんだということを思い知らされました」と。

 

榎本義清さんが伝えたい災害時の備え

  • まずは自分の身を守る(頭を守れば命は守れます)
  • そして逃げる(ケガをしないように注意して)
  • 想定できない事態が起こるので、家具は固定を

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