“自分は大丈夫”という過信は禁物
その症状、もしかして熱中症かも
知っておきたい予防と対処法

 今月16日、和歌山県に熱中症警戒アラートが発令。昨年より2週間以上早い発表で、今年も厳しい暑さが予想されます。熱中症にならないためには、暑さに対する正しい知識と予防法を身に付け、日頃から気をつけることが大切です。和歌山県立医科大学で話を聞きました。

和歌山県立医科大学附属病院 高度救命救急センター・井上茂亮センター長

休息・水分・塩分の十分な確保が大切

 熱中症は、6月から増え始め、7月に入ると一気に多くなります。昨年5月~9月の熱中症による和歌山県内の救急搬送者は1139人(一昨年873人)。発生場所別でみると、住居が最も多く、道路、屋外、工事現場などの仕事場の順となっており、高齢者が約6割を占めるものの、働き盛りの成人や学生などの搬送も少なくありません(消防庁調べ)。

「熱中症という言葉を知っていても、他人事のように考え、“自分は大丈夫”という過信は禁物です」と話すのは、和歌山県立医科大学附属病院 高度救命救急センター・井上茂亮センター長(写真)。熱中症のメカニズムについて、「高温多湿な環境に加え、強い直射日光を浴びることで発症します。通常、外気温や湿度が上がると、体は発汗することで体温を調節しますが、発汗がうまくできなかったり、熱の放散が不十分だったりすると、体内に熱がこもり、熱中症を引き起こします」と説明します。

高齢者や持病のある人などは15~30分ほどの短時間で起こることも。熱中症になると、めまいや立ちくらみ、こむら返り、頭痛、吐き気、倦怠(けんたい)感などの症状が現れます。意識障害やけいれん発作といった症状が見られるときは、重症化している可能性があり、すぐに医療機関で治療する必要があります。

井上センター長は「熱中症かなと思ったら、まずは涼しい場所に移動し、衣服をゆるめ、扇風機の風を当てるなどして体内の熱を逃がしましょう。その際、体を水で濡らことで体温が下がりやすくなります。また、太い血管が通っている首や脇の下、足の付け根を冷やすのもおすすめです。冷やされた血液が全身を巡り、効率よく体温を下げることができます。ただし、高齢者や循環器系に疾患のある人などは冷やし方に注意してください」と伝えます。
熱中症を防ぐには、暑さを避ける、こまめな水分補給、体調管理といった対策が重要です。「外出時は、長袖をはおったり、帽子をかぶったり、日傘をさしたりして、肌が日光の熱を吸収するのを抑えましょう。普段強い塩味を感じるものでも、体が塩分を欲しているときはおいしく感じます。汗をかいたら水分と一緒に塩分も補給してください」とアドバイス。

熱中症特別警戒情報(熱中症警戒アラート)を活用して、危険性が極めて高くなると予想される日は、できるだけ外出を避けることも対策の一つです。“冷房の使用を控える”“外出・仕事の予定を無理にこなす”“喉が渇いても水分を取らない”、あてはまるものがあれば意識と行動をアップデート。井上センター長は、「近年は残暑が長引き、10月上旬頃まで暑さが続くことがあります。休息、睡眠、栄養をしっかり取るなどし、油断せずに対策を行ってください」と呼び掛けています。

熱中症予防のために

暑さを避ける・こまめな水分補給
・エアコンなどで温度をこまめに調節
・遮光カーテン・すだれ利用、打ち水をする
・外出時には帽子を着用、日傘を使用
・日陰を利用してこまめな休息
・吸湿・速乾・通気性のある衣服を着用
・保冷剤、氷、冷たいタオルなどで体を冷やす
・室内でも外出時でも、のどの渇きを感じていなくてもこまめに水分補給

熱中症の症状
めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗、筋肉痛・こむら返りなど。進行すると、頭痛、嘔吐(おうと)、倦怠感、判断力低下、集中力低下、虚脱感などが起こります

主な応急処置
・涼しい場所へ移動
・衣服をゆるめたり、体を冷やす(首の周り、脇の下、足の付け根など)
・経口補水液を補給。医師に水分摂取について指示されている場合は医師の指示に従うこと
※応急処置をしても症状が改善されないときは医療機関へ。自力で水が飲めない、応答がおかしいときは、ためらわずに救急車を呼びましょう
厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」より

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