被災地での体験、経験を生かして⑱

和歌山市建築指導課・辻本暢紀さん、土山隆史さん

大地震で被災した建築物の危険度を判定

受け入れる側の状況になったら…派遣されて感じた課題は山積み


大規模な地震が発生すると、人命だけでなく、住宅や建築物にも大きな被害が出ます。一見被害がないように見えても、その後の余震で、倒壊したり、ガラスの破片や崩れた部材が落ちてくるなど、危険な状態になっていることがあり、人命に関わる2次的災害を防止するために「応急危険度判定」が実施されます。

和歌山市建築指導課の土山隆史さんは、2016年4月に熊本県へ、辻本暢紀さんは、今年6月の大阪府北部地震で被害が出た大阪府高槻市に、「応急危険度判定士」として派遣されました。

「被害の状況はテレビなどで見ていましたが、実際に現地に行くと本当に衝撃的で…。調査するまでもなく一目見ただけで『危険(赤)』という住宅もありました」と土山さん。3日間で宇城市、美里町、嘉島町、益城町を回り、79件を調査。判定結果は、「危険(赤)」24件、「要注意(黄)」23件、「調査済(緑)」32件でした。

辻本さんは、「応急危険度判定は、地図を見ながらそのエリアにある家屋を順番に見ていくというのが一般的ですが、高槻市では、要望のあった家を見て回っていくという特異な方法で実施。建物の傾きや外壁のひび割れなど、3日間で32棟を調査しましたが、『危険(赤)』はなく、比較的被害は少なかった」と話します。

二人とも「すごくいい経験になった」と口にする一方で、「判定士を召集して、受け入れる側の大変さを見て感じた」とも。「ならないことを願ってはいるけれど、もしも和歌山市が“受け入れる側”の状況になったら…、と想像するとさまざまな課題が浮かんできます。その対策を一つ一つ考えていかなければ」と気を引き締めます。

※次回9月8日号掲載

 

応急危険度判定士が伝えたい災害時の備え

◆建物は一見被害がないように見えても、危険な状態になっている場合も
◆地震はいつどこで起こるかわかりません。合流場所や連絡方法は家族で共有を

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