被災地での体験、経験を生かして㉓

「THE ROASTERS」(ザロースターズ)コーヒー焙煎士・神谷仁子さん

福島県郡山市で東日本大震災を体験、和歌山へ

 

神谷仁子さん。震災後、コーヒー焙煎士となって和歌山市内で店舗をオープン。2児のママ

 「スマホの緊急地震速報が鳴ったのと同時に、聞いたことのない地鳴りがして、昼寝中だった1歳の息子を慌ててて抱きかかえて裸足で外に出ました」。「THE ROASTERS」(和歌山市大河内)のコーヒー焙煎士・神谷仁子さんは、福島県郡山市出身。東日本大震災のときは、4世代で実家で暮らしていました。

 幸いにも家族全員無事でしたが、「揺れが収まってから、家の中を見に行くと、息子が寝ていた場所は、食器棚から全部食器が飛び出していて。あのまま中にいたら命が危なかったでしょうね」と神谷さん。その後、天候が荒れて吹雪く中、車の中に避難してラジオで情報を収集。福島第一原子力発電所の事故を知り、「とにかくこの場所から離れて、子どもを守らなければ」と無我夢中で福島空港へ向かったそう。ところが、その日の羽田空港、関西国際空港行きは満席。新千歳空港を経由して関空に降り立ち、身寄りを頼って和歌山市にやってきました。

 とはいうものの、慣れない環境での生活で、子どもの体調に異変が。「1カ月ほどで新潟県へ移った後、結局は福島県に戻りました。でも、野菜を買うのは怖いし、息子にも土遊びや雪遊びなど、常に“ダメ”ばかり言っていたように思います。私もそうですが、子どもにとっても相当なストレスでした」

 そうして震災から3年、和歌山市内に移住。「身寄りがいたこともありますが、和歌山県には原発がないことも決め手になりました。今はストレスフレーな生活を送っています」とのこと。

 昨年9月、和歌山市内で台風21号による断水・停電の被害に遭った際は、東日本大震災の経験を生かして冷静に対処できたそうですが、「東日本大震災までは備えの意識は薄くて…。実家が農家だったので食べ物はありましたが、オムツに困りました。交通が遮断されてスーパーやコンビニには商品が入って来ないし、ガソリンスタンドは途方が暮れるほどの行列。そんな経験を経て、最低限の備えはしていますが、まだまだ不十分」と気を引き締めます。

 和歌山県は、近い将来起こるとされている東南海・南海地震で大な被害が予測されています。「備蓄はもちろん、地域の人とのつながりも大切にしていきたいですね」と。

 

神谷仁子さんが伝えたい災害時の備え

◆寝る場所は大事。倒れるものがないところで(子どものお昼寝も)
◆目線の高さ以上の家具は置かない。もしものときはトイレなど狭い場所へ逃げると部屋が崩れにくい
◆最低限の備蓄に加え、お風呂に水をためて生活用水を確保

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