たいせつな きみ

たいせつな きみ

「たいせつなきみ」を見守る
お母さんたちの愛

近ごろ、「一人一人を大切に」というフレーズを、よく見聞きするようになりました。保育の世界では当たり前に使われてきた言葉なのですが…。

『たいせつなきみ』(出版=いのちのことば社フォレストブックス、作・マックス・ルケード/絵・セルジオ・マルティネス、訳/ホーバード・豊子)は、「一人一人の存在そのものが大切なのだ」と気付かせてくれる絵本です。

ウイミックスという、木の小人たちは仲間うちで評価し合って暮らしていました。そして美しく優秀な小人にはお星さまシール、取り柄がない小人にはだめじるしがつけられました。失敗続きの主人公・パンチネロはだめじるしだらけ。「まただめじるしをつけられる」と外出さえおびえ…。

そんなパンチネロを、何のしるしもついていないルシアが、エリのところに連れて行ってくれました。エリはウイミックスを作った彫刻家です。

エリは言います、「みんながどう思うかなんてたいしたことではない。私はお前のことを、とても大切に思っている」と。

『園児のお母さん』という雑誌に先輩ママの子育て記事を連載していました。「お姉ちゃんは、きれいなまん丸の泥団子を手早く作るのに、妹の方は時間がかかって。ようやくできたと思っても、形がいびつなんです。それで妹の方は、プロセスをじっくり見守ってやろうと思ったんです」と話してくれたお母さん。

息子さんが東大生だというお母さんは、「野球の試合の前日には洗濯したパジャマを枕元に置いたり、試験当日は真っ白い靴下を用意したりしました」。取材のたびに、どのお母さんからも深い愛情と「たいせつなきみ」を、実感したことでした。

名前なりきよ ようこ
プロフィル絵本編集者として勤務後、渡欧。帰国後フリーに。
保育所や小学校で読み聞かせを25年以上続けている。絵本creation(編集プロダクション)代表

子育て・教育

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