家庭によってさまざまなカレーライスの音がある

 深夜のテレビ番組でレトルトカレーとママの手作りカレーが味対決をするコーナーがあります。試食して判定するのはわが子です。「もちろん大好きなママのカレーの勝ち」となるはずなのに、レトルトが勝ち続けているのです。

 その日登場したママのカレーには子どもが好きだというナスが入っていたので、「これは見ただけでうちのママのカレーだとわかるわ。今回はママのカレーが勝つ」と、次男の園児時代、栽培したナスが入ったカレー給食をみんなが残していたことを思い出しつつ確信したのに、その日もレトルトが勝ったのです。「別に手作りでなくてもいいんですね」と、思わず漏らしたタレントのひと言が妙にリアルでした。

 ある日の保育室。絵本を読んだ続きで、「カレーライスはどんな音」というやり取りに発展したそうです。「グツグツ(煮込む音)」「トントン(野菜を切る音)」「くるくる(お鍋をかき混ぜる音)」などの音が口々に出た中で、「チン」と言った子どもがいて、保育者は「?」。その後、「チン」と言った子どものママにそのことを伝えたそうで、「忙しくて近ごろは手作りのものを食べさせていませんでした」とママが泣き出して…。

 この話が切なくて、仕事関係の幼児教育者に話したら、「なぜ、ママを泣かせる。そんなことぐらいで」とお怒りモード。「子どもと育ち総合研究所」の故・辻井正氏の講演ではいつも「今はおふくろの味はありません、あるのはふくろの味」と笑いをとっておられました。笑いはいい、でも泣かせてはいけない。

 仕事を持つママたちは睡眠不足と戦い、時間のなさを嘆きながらも、精一杯の子育てをしています。反面、子どもに対してずっとそばにいてやれないとか、手をかけてやれないという負い目を抱えがち。そんな時こそパパの出番、レトルトだって何だって「おいしいな」と笑顔を見せ、「今日はパパのカレーだぞ」と腕を振るうぐらいの、心強い味方でいてください。

名前なりきよ ようこ
なりっち
プロフィル絵本編集者として勤務後、渡欧。帰国後フリーに。保育所や小学校で読み聞かせを25年以上続けている。絵本creation(編集プロダクション)代表

子育て・教育

関連キーワード

 

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

おすすめ記事

  1. リビング和歌山2025年7月26日号「進化する「北ぶらくり丁」」
     レトロな雰囲気のなかに、遊び心と新しさが交錯する北ぶらくり丁が活気にあふれています。アーケードの…
  2. リビング和歌山2025年7月19日号「駅舎物語」
     和歌山県内にある約130の駅の中から、鉄道を利用して訪れてほしい駅をピックアップして紹介します。…
  3. リビング和歌山2025年7月12日号「参加者募集!リビング特別体験イベント夏休み! 親子で工場見学」
     もうすぐ夏休み。親子で工場見学に出かけませんか。地元和歌山にゆかりのある産業やものづくりを知り、…
  4. リビング和歌山2025年7月5日号「和歌山県の手仕事を訪ねて 民藝100年の今を生きる 暮らしの中の道具に宿る「美」 」
     1925(大正14)年、思想家・柳宗悦(むねよし)が、「民衆的工藝」を略し、「民藝」と主唱。暮ら…
  5. リビング和歌山2025年6月28日号「片男波に出現!関西最大級のビッグスライダー海上アスレチック AQua LooP 」
     夏休みまであとわずか。今年は片男波海水浴場に巨大な海上アスレチック「AQua LooP」が誕生し…
リビングカルチャー倶楽部
夢いっぱい保育園

お知らせ

  1. 2025/7/24

    2025年7月26日号
  2. 2025/7/17

    2025年7月19日号
  3. 2025/7/10

    2025年7月12日号
  4. 2025/7/3

    2025年7月5日号
  5. 2025/6/26

    2025年6月28日号
一覧

アーカイブ一覧

ページ上部へ戻る