予算に合わせて2階建てと比較するのも
近年、人気の平屋住宅。国土交通省の建築着工統計調査によると、平屋の着工棟数は、2013年は3万6551棟、23年は5万7848棟と、この10年で1・5倍以上増えています。シリーズ12回目は、「岡谷工務店」(和歌山市上黒谷)の代表・岡谷憲吉さんに、平屋が選ばれる理由や、そのメリットを聞きました。
「弊社でも2年前から平屋のオーダーが増えはじめ、昨年建設した住宅棟数の半数が、また、現在契約中の8割が平屋です」と話す岡谷さん。平屋に人気が集中する背景に、現代の住まい方の多様性を挙げます。「子育て世帯以外でも、子を持たない夫婦だったり、ペットと同居を望んだり、シニア層がついのすみかを求めたりと、多様なライフスタイルに合う住まいが求められています」
「無駄のない動線や間取りによるコンパクトな暮らしが実現できるのも、平屋が選ばれる理由」とも。しかし、2階建てと同じ坪数で建てる場合、基礎や屋根の面積が大きくなり、その分、土地代や建築費用が必要になることも。「2階建てに比べ、平屋は3割から4割の予算増。そのため依頼主との打ち合わせでは、資金や間取りの要望に応じて、平屋と2階建ての両プランを立て、比較検討することもあります」
一方で、平屋は初期費用はかかりますが、建てた後のメンテナンス費用を抑えられるメリットも。「工事に足場がいらず、外壁塗装も少ない面積で済みます」。また、ワンフロアで冷暖房効率が良いため、光熱費を節約できたり、建物が低いので安定性があり、耐震性を高めやすかったりと、さまざまな面でコストカバーができそう。
「各社の見学会やモデルハウスを訪ね、平屋ならではの空間の使い方や動線を体感するのもおすすめです」と岡谷さん。「屋根の形状を変えてロフトを作り、趣味部屋にするなど、個性的な間取りも参考にしてください」と話していました。
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