10月は乳がん月間。同月13日(祝)に、啓発イベント「第1回ピンクリボンプレゼント」が和歌山市で行われます。主催団体のメンバーで、乳がんの経験者でもある岡本知子さんと濵野葵さんに、病気で得た気づきや、イベントに込めた思いを聞きました。

岡本知子さん(右)と濵野葵さん。「会場ではアンケートで感想や要望を募り、今後の活動に反映していけたら」と話します
胸に異変を発見。「がんかも…」
「ピンクリボンプレゼント~未来のわたしのために今、できること~」は、岡本知子さん(49)、濵野葵さん(45)、山路裕子さん(46)の女性3人が運営する団体、「ピンクリボンプロジェクト」が運営(左記参照)。代表の岡本さんと濵野さんは乳がん、山路さんは卵巣がんと、それぞれ女性特有のがんを経験しています。
岡本さんは浸潤性小葉がんにり患。「タレントの梅宮アンナさんが公表して注目された希少がんです。2024年8月に、右の乳首が体内に引っ張られる感覚に不安を覚えて病院へ。10月に右乳房の全摘手術を受けました」
濵野さんは、23年1月ごろ、左胸にしこりを見つけました。「最初は病院に行くのが怖くて…」。3カ月後に意を決して受診し、乳がんと診断。「部分切除手術を5月に受け、病理検査でステージ2と分かりました。放射線治療、抗がん剤治療を経て、現在ホルモン治療を続けています」と話します。
過去を受け入れ、未来へ進む
「手術後に、共通の友人である山路さんを介して知り合った」と出会いについて話す濵野さん。その翌年に岡本さんが乳がんになり、闘病のつらさや不安を分かち合ってきた、と振り返ります。
3人ともイベントの運営や出店の経験があり、自身の闘病体験を踏まえ、「自己ケアの大切さを伝え、思いやりの連鎖が広がる場をつくりたい」と今回の啓発イベントを企画。岡本さんと濵野さんの主治医で、日本赤十字社和歌山医療センターの松谷泰男乳腺外科部長が賛同し、乳腺専門医4人が登壇するトークショーが実現しました。和歌山市の協力で、検診車による出張マンモグラフィー検査も実施。「医療機関や行政とともに、和歌山市の乳がん検診受診率の向上に貢献したい」と、岡本さん。
また、アーティストとして活動する岡本さんは、個展「アシンメトリー」を開催。「胸を失うこと、生きること、女性の美しさを、作品で表現しました。つらい出来事をアートに昇華して過去を受け入れ、未来への自分に贈り物を渡せたように思います」と、笑顔で話します。
「抗がん剤の副作用がきつく、髪の毛も抜けて。治療の日々を思い出すと、今でも感情が高ぶります」と、濵野さん。「乳がんで悩む人に寄り添うのはもちろん、『あのときの私を救ってあげたい』という思いも、このイベントに込めています」

岡本さんの個展の代表作「アシンメトリー」。作品横に2次元コードが用意されていて、読み込むと創作にまつわるストーリーが分かります
お問い合わせ | 070(2312)7797モコモコミュージアム |
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