手や首、足などに小さなポツポツ、「もしかしてイボ?」。人目につきやすいところにあるなら、気になりますよね。和歌山県皮膚科医会で、イボの対処法について聞きました。
種類は大きく分け、ウイルス性と非ウイルス性
手や首、足などに現れるイボ。暑くなり、肌の露出が増えると、見た目も気になりますよね。そもそもイボとは何なのでしょう。
「一般的に皮膚の表面が凹凸に盛り上がってできた小さな腫瘍(しゅよう)のことです。医学的には『疣贅(ゆうぜい)』と呼ばれ、大きく分けてウイルス性と非ウイルス性のものがあります」と話すのは、和歌山県皮膚科医会の上出康二会長(上出皮フ科クリニック院長・写真)。
イボで同院を受診する人で最も多いのが、ウイルス性のもの。大きさは数ミリ~1センチほどで、かゆみや痛みなどの症状は出ません。ウイルスは、指先のささくれや、足の裏にできた小さな傷口などから、皮膚内部に侵入。ウイルスに感染した細胞が増殖し、隆起してイボとなります。子どもや20代・30代の若い世代に多いとされています。
ウイルス性と聞くと、人に移るのかどうかが気になるところ。
上出会長は「触れただけでは移ることはありません。でも、ウイルスは傷口から侵入するので、触れた部分に傷があると移る可能性があります」と説明。続けて、「ひっかいたり、自分で取ろうとすると広がり、逆に増えて悪化することがあるので注意が必要です」と話します。
病院での治療法は、液体窒素を患部に当て凍結し、表皮の細胞を壊す方法と、化学薬品を付けて表皮の細胞を腐食させる方法などがあります。凍結させる方法は、チクチクとした痛みを伴うので、子どもの場合は化学薬品の治療法を選ぶことも。1回の治療で治ることはほとんどなく、どちらも2週間に1回の通院で、小さいイボは1~2カ月、大きいイボだと半年ほどかかるので、根気よく治療を続けることが求められます。
アトピー性皮膚炎や湿疹の出やすい人、肌のカサカサした人は、イボが出やすい傾向があるともいわれています。上出会長は、「予防には、日頃からスキンクリームなどでの保湿を心掛けましょう。もし、イボを見つけたら、大きくなるまで放っておくと、なかなか取れないことがあるので、小さく、そして広がらないうちに病院でしっかり治療することをおすすめします」とアドバイス。
一方、中高年の人に多いのが、非ウイルス性の老人性イボ(脂漏性角化症)や糸状線維腫。皮膚の老化が原因で現れます。
老人性イボは、顔や首、背中など、加齢や紫外線によってできた褐色や黒色のシミ部分が盛り上がって出現。糸状線維腫は、首や胸元、わきの下など皮膚の薄い場所に、褐色で小さなポツポツがいくつも現れます。
治療は、レーザーで焼き取るのが一般的。「放っておいても問題ありませんが、気になるようなら病院へ。基本、1回の治療で取ることができます。予防には、外出時に日焼け止めを塗るなどして紫外線対策を」と話します。
イボは、放っておいて問題のない場合もありますが、市販薬でケアしてもなかなか治りません。イボが大きくなってきたり、数が増えたりしたときは、医療機関で的確な診断を受け、治療することが大切です。自己診断せず、気になる症状があれば早めに皮膚科で相談しましょう。
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