治療の最前線! 専門医に聞くvol.32
肺がしぼんでしまう“気胸” 若い男性から中高年まで幅広く発症

 今年4月から、済生会和歌山病院に呼吸器外科が新設されました。当科でよく見られる疾患の一つに“気胸”があります。気胸とは、主に肺から空気が漏れ出して、肺が収まっている胸腔に空気がたまり、肺がしぼんでしまう病気です。大きくは〝自然気胸”と“外傷性気胸”に分けられます。外傷性気胸は交通事故など胸を強く打った時に起こります。自然気胸は2種類。 “特発性自然気胸” は高身長で痩せ型の10〜20代男性に多く、肺気腫や間質性肺炎といった病気を背景に起こる “続発性自然気胸”は中高年に多い特徴があります。

症状として多いのは 胸の痛みや息切れですが、中には背中や肩の痛み、せきの増加を訴えて来院する人もいます。健康診断で偶然見つかるケースもあり、自覚症状が乏しいことがあるので注意してください。

治療は症状や経過、肺のしぼみ具合などから総合的に判断します。軽ければ、安静にして経過観察で済みますが、胸腔内に細い管を入れて漏れた空気を吸い出す“胸腔ドレナージ”を行うこともあります。また、喫煙はリスクを高めるので禁煙も大切。空気漏れが続いたり再発を繰り返したりする場合は、手術を検討。当院ではできるだけ体の負担を少なくするために約2㌢の穴を1カ所、約1㌢の穴を2カ所開け、胸腔鏡を挿入する“胸腔鏡下手術”を取り入れています。傷が小さいので、痛みが軽く術後の回復も早いのが特徴です。

「呼吸をする時に胸が痛い」「深呼吸がしづらい」など、気になる症状がある人は放置せずに早めの受診を。
(済生会和歌山病院 呼吸器外科・房本安矢)

房本安矢医師

みんなの健康

関連キーワード

 

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

おすすめ記事

  1. リビング和歌山2025年年末年始号「2026年 幸運をつかみ 午く良い年に」
     2026年の干支(えと)「午」。力強く駆け抜けるその姿は、未来への希望を象徴する縁起の良い存在と…
  2. リビング和歌山2025年12月20日号「寒い日のお楽しみ せいろ蒸し日和」
     寒い季節にぴったりのせいろ蒸し料理。ベジフル料理研究家・井上宣子さんによる考案、和歌山の食材を取…
  3. リビング和歌山2025年12月13日号「進化した往年の玩具、コレクションの極み 大人が夢中!「キダルトトイ」の世界」
     ちまたのおもちゃ屋さんはクリスマス商戦でかき入れ時。しかし実は今、“玩具市場”をけん引しているの…
  4. リビング和歌山2025年12月6日号「和歌山市内の5つの社寺を参拝 御朱印にときめく小旅へ」
     和歌山市内の5社寺を訪れて御朱印を集める「紀州神仏霊場巡り」が来年4月末まで行われています。全て…
  5. リビング和歌山2025年11月29日号「新たな視点で魅力を発掘し、情報を発信 岩出市地域おこし協力隊着任」
     JR岩出駅前に観光案内所の整備を進めている岩出市。市が初めて募集した地域おこし協力隊も着任し、“…
リビングカルチャー倶楽部
夢いっぱい保育園

お知らせ

  1. 2025/12/25

    2025年年末年始号
  2. 2025/12/18

    2025年12月20日号
  3. 2025/12/11

    2025年12月13日号
  4. 2025/12/4

    2025年12月6日号
  5. 2025/11/27

    2025年11月29日号
一覧

アーカイブ一覧

ページ上部へ戻る