暮らしを守る 地震に強い家③
耐震性が備わった
広々リビングのつくり方

デザイン性の高い構造材で空間を演出

9月は防災月間です。自然災害に備えた家づくりを、建築のプロが教えるシリーズ3回目は、前回(7月19日号)に引き続き、和歌山県建築士会の耐震診断・判定委員で、1級建築士の田中梨穂さんが登場。「リビングの間取りと耐震性」について解説します。

住まいの中心であり、家族だんらんの場となるリビング。最近は廊下スペースをなくして、玄関とLDKを直結させた、オープンリビングが人気を集めています。

しかし、開放的なリビングは、柱や壁など家を支える要素が少ない造りに。「そのため、耐震性を考慮したプランニングが必要です」と、田中さんは、プロの視点で注意を促します。

「日本の住宅に多い木造を例に出すと、柱と柱の間隔が離れすぎると、梁(はり)や柱の負担が大きくなり、床が下がる原因にも。通常なら、畳の長辺方向約2枚分の長さである3640ミリごとに、柱を入れるのがベストとされます」と、田中さんは説明します。また、「地震など水平方向にかかる圧力に抵抗するために、耐力壁の壁量や配置に気を付ける必要があります」とも。

つまり、見渡しの良いリビングレイアウトを望んでも、建築の構造上、必要な箇所に柱や壁を備えなければ、家の耐震性能が下がってしまいます。そこで、「化粧柱や透け感のある間仕切りなど、デザイン性の高い構造材を採用すれば、耐震も兼ねた魅力的な空間を演出できますよ」と、田中さんはアドバイスします。

1階に個室を数室設け、2階をリビングにする間取りなら、上階を支える壁や柱が階下に増えて建物の強度が高まり、広々としたリビングがかないます。

また、構造を鉄骨造やRC造にするのも手。「リビングのある1階を鉄骨造やRC造に、2階を木造にする『混構造』なら、費用は上がりますが、広い空間が取れます」とも話していました。

格子デザインの間仕切りなら圧迫感がなく、耐震性を備えながらスタイリッシュな空間に


ハウジング

関連キーワード

 

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

おすすめ記事

  1. リビング和歌山2025年11月15日号「和歌山県の手仕事を訪ねて丈夫で温かみのある風合い手すき和紙の伝統をつなぐ」
     書や工芸、日用品など、暮らしの中で、広く親しまれてきた「和紙」。植物・コウゾと、その繊維を均一に…
  2. リビング和歌山2025年11月8日号「「もしもノート」を活用して 始めてみよう“人生会議”」
     11月30日は、「人生会議の日」。厚生労働省により定められたものですが、“人生会議”って何? 今…
  3. リビング和歌山2025年11月1日号「深まる秋 お出かけも夜長も カフェでわたし時間」
     ぐっと気温が下がり、秋が一気に深まりました。山々が色づき始め、そろそろ届く紅葉の便りにお出かけ気…
  4. リビング和歌山2025年10月25日号「話題を呼ぶNew Spot 県内初! 「ハンズ」オープン」
     10月15日、近鉄百貨店和歌山店に和歌山県初の「ハンズ」がオープン。さっそく話題を集めています。…
  5. リビング和歌山2025年10月18日号「ワークスタイル -これからの“働く”を考える- 今日も社会を動かす場所で」
     近年、警備の仕事で女性の活躍が目立つようになり、女性警備員が全体の7・3%を占めるまでに増えてい…
リビングカルチャー倶楽部
夢いっぱい保育園

お知らせ

  1. 2025/11/13

    2025年11月15日号
  2. 2025/11/6

    2025年11月8日号
  3. 2025/10/30

    2025年11月1日号
  4. 2025/10/23

    2025年10月25日号
  5. 2025/10/16

    2025年10月18日号
一覧

アーカイブ一覧

ページ上部へ戻る