第12回 おとう祭り 〜子どもが担う神事〜

約2メートルもの大幣を振って祈願

おとう役は鳥居からかごに乗って社務所へ向かいます

 「年に一度の祭りのために」と、須佐神社(御坊市塩屋町)の氏子5地区で、神様に供えるサカキの木枝を探しに山へ入る人の姿が――。まだ少し肌寒い3月10日、中世から伝わる例大祭「おとう祭り」が行われます。

幕を張り、むしろを敷いた上で行われます(長床の儀)

 地区の代表が月参りや神事を担う「当屋制」を残す祭りで、「おとう」と呼ばれる、くじで選ばれた各地区の15歳以下の長男が、4月~3月の一年間、役を務めます。

 残された記録によると、ヤマタノオロチを退治したスサノオノミコトの伝説に由来。この地域に悪蛇が住み、人や家畜、農作物に被害を及ぼしたため、出雲からスサノオノミコトの分霊を迎え、まつったところ、悪蛇が退去したとされており、スサノオノミコトに感謝し、地域の安全と健康を祈願します。

神前で大幣を振る、おとう役の子ども

 祭りの日、かみしも、はかま姿のおとうは、地に足をつけてはならないという習わしから一人ずつかごに乗って、サカキ持ち、太刀持ちを従えて社務所へ。修祓(しゅばつ)の儀、本殿下で長床の儀、本殿横で白洲の儀と、場所を移しながら儀式が行われます。同神社の小竹(しの)伸和宮司は「3カ所で、祭りを仕切る座頭、おとう、サカキ持ち、太刀持ちが交互にお神酒と黒豆をいただきます。静寂な中で行われる祭りは、各所でお神酒をいただきつつ神さまに近付くことで、心身ともに清まっていく、といった意味合いがあるのでは」と説明します。

 最後に拝殿で行われる奉幣の儀では、米と切麻(きりぬさ)が花びらのようにまかれる中、おとうが約2メートルにもなる大幣を、前後左右に3回ずつ振り、それを3回繰り返し、祈ります。おとう役の経験者・前出勇さんは「7歳の頃なのでずいぶん前のこと。でも、“自分が中心になってしなければ”という緊張感があったことは覚えています」と思い起こし、氏子総代の福原健さんは「“なくてはならない祭り”といった意識が、代々継がれています」と話します。

 祭りの後は、来年のおとう役がシイの木に挟んだ直径50cmの大鏡餅を持ち帰り、氏子の世帯数に分配。一年間の務めの始まりとともに、地域に春が訪れます(続)。

 

【祭り情報】

開催日 3月1日(金)
場所 須佐神社(御坊市塩屋町)
スケジュール 13:00 修祓の儀 /長床の儀/白洲の儀
14:00 奉幣の儀
14:30 餅まき

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