わすれられないおくりもの

20150307kids01

続きの仕事を黙って
引き受けてくれた仕事仲間

「おばあちゃんのことがかいてある本を見つけたよ」と1年生の長男が差し出したのは、『わすれられない おくりもの』(出版=評論社、スーザン・バーレイ/作・絵、小川仁央/訳)。その日は小学校に入学して初めての図書の貸し出し日でした。

大好きなアナグマが亡くなり、友人たちは悲しみに包まれます。けれど、やがてみんなはアナグマの残してくれたものの豊かさに気付くのです。

「みんなだれにも、なにかしら、アナグマの思い出がありました」と、長男が大きな声で読んでくれました。

入学式を見ることなく、母は3月に亡くなりました。62歳でした。「余命1年です」という医師の言葉が魔法のように、みるみる体調が悪くなり、入院してからちょうど1年後のことでした。

自由業の私たち夫婦に有給休暇はありません。定収入は編集料と原稿料。「仕事を休んで看護」は夢のまた夢。2歳の下の子を連れて病院へ通い、私はそこで仕事をしました。

付き合いの長いデザイン会社のKさんが校正刷りを抱えて足しげく病院に通って来てくれました。2月に入り、医師が診察後に私を見て首を横に振ったのをきっかけに、抱えていたすべての仕事を手離しました。ライター仲間や先輩の編集者がギャラも聞かず、都合も言わず、黙って続きを引き受けてくれて、感謝で胸があふれ、泣きました。

3月11日、東日本大震災の日から4年を迎えます。震災以後、保育所や小学校で3月には必ず『ラーメンちゃん』(出版=絵本館、長谷川義史/作・絵)を読んでいます。長谷川さんが宮城県石巻の子どもたちを励まそうと描いた手作り絵本です。

名前なりきよ ようこ
プロフィル絵本編集者として勤務後、渡欧。帰国後フリーに。
保育所や小学校で読み聞かせを25年以上続けている。絵本creation(編集プロダクション)代表

子育て・教育

関連キーワード

 

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

おすすめ記事

  1. リビング和歌山2025年6月21日号「今さら聞けない 給与明細のミカタ!」
     給与明細を毎月しっかり確認していますか? 給与明細には多くの情報が詰まっていて、ポイントを押さえ…
  2. リビング和歌山2025年6月14日号「 和歌山市の魅力を伝える広告が新大阪駅に 市の職員が制作! 彼女の名は?」
     関西の玄関口となるJR新大阪駅の新幹線改札内で、和歌山市のPR広告が放映されています。広告画像の…
  3. リビング和歌山2025年6月7日号「 甘~い誘惑! ドーナツ店巡り」
     6月第1金曜日の「ドーナツの日」に合わせて今号はドーナツ特集。定番のシンプルドーナツ、クリームが…
  4. リビング和歌山2025年5月31日号「いざというとき、自分の身を守る “護身術”を学ぼう」
     夏は夜の外出やイベントが増える時期。不審者や痴漢、通り魔など犯罪も起こりやすくなります。いざとい…
  5. リビング和歌山2025年5月24日号「価格高騰!令和米騒動 今こそ考えたい、食と農の未来」
     政府が備蓄米を放出したものの、市場への影響は限定的で、米の高騰が続いています。こうした状況だから…
リビングカルチャー倶楽部
夢いっぱい保育園

お知らせ

  1. 2025/6/19

    2025年6月21日号
  2. 2025/6/12

    2025年6月14日号
  3. 2025/6/5

    2025年6月7日号
  4. 2025/5/29

    2025年5月31日号
  5. 2025/5/22

    2025年5月24日号
一覧

アーカイブ一覧

ページ上部へ戻る