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夏満開! 真っ赤に熟したトマトと、
昆虫たちのオンパレード

「パパ、もうイヤや」「なにがイヤ?」「Yちゃんにお菓子ばっかり買うって、またママに怒られた」「わあ、そんなん言わんといて。お菓子買うてや〜」。通園途中の父と娘の会話です。お菓子を介した父娘の蜜月が、母親からの「お菓子禁止令」で危うくなりそうな予感。

イクメン、カジメンと叫ばれ、父親が子育てするのは当然との考えが根付いてきましたが、「(産んだ強みで?)しかられても大好きなママ」とは違い、「好かれたいパパ」は、あれこれ模索しています。

思わず、「絵本を読んであげるといいですよ」と声を掛けたくなりました。「大好きな絵本を読んでくれる大好きなパパ」になれるのです。大人になって、絵本のストーリーをきれいさっぱり忘れたとしても、父娘で過ごした楽しい時間の記憶は、父親の思い出として娘さんの心に残るでしょう。

そんなお父さんたちにこの夏おすすめの絵本は『トマトさん』(出版=福音館書店、作/田中清代)。表紙いっぱいに描かれたトマトの顔のインパクトの強さ。「熟女を思わせるセクシーさ」と評されるほどです。好き嫌いが大きく分かれる絵だと思うのに、不思議なくらい子どもはみんな大好きです。

ミニトマトたちのように、ころころ ぽっちゃんと小川に飛び込み、ぽっちゃん ぽよんと泳ぎたいトマトさん。でも体が重くて、自分で飛び込むことができません。

そこで仲間たちがやってきて、トマトさんを力いっぱい引っぱります。アリ、ミミズ、コガネムシ、オサムシ、テントウムシ、カナブン、バッタ、チョウ…。最後にトカゲが手伝って、ごろごろじゃっぷん―と、みごと小川の中へ。

オンパレードの昆虫は、お父さんの得意分野でしょう。保育園の読み聞かせ会でも、隣りの女の子にちょっかいを出していた男の子が動きを止め、目も口も大きく開いて見入っていました。

甘い匂いの涙を流して悲しみ、小川でうれしそうに泳ぐトマトさんの、人間臭い、迫力満点の表情が忘れられません。

名前なりきよ ようこ
プロフィル絵本編集者として勤務後、渡欧。帰国後フリーに。
保育所や小学校で読み聞かせを25年以上続けている。絵本creation(編集プロダクション)代表

子育て・教育

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