連日の酷暑で、外出はもちろん、これまで習慣だったウオーキングなどを控えている人も少なくないのでは。そんなときこそ、涼しい室内で手軽にできる“宅トレ”を取り入れませんか。無理なく健康を保つためのポイントを、宝塚医療大学和歌山保健医療学部で聞きました。
室内でできる運動やストレッチ
外出や運動の機会が減り、冷房の効いた室内で過ごす時間が増えがち。こうした生活を続けると、一見標準的な体格でも、筋肉量が少なく体脂肪率が高い「隠れ運動不足」に陥ることがあります。放っておくと、冷房病や血行不良、けん怠感など、さまざまな体調不良を招くことも。
「室内でできる簡単な運動やストレッチ、歩行など(宅トレ)を生活に取り入れることが、不調予防につながります」と話すのは、宝塚医療大学和歌山保健医療学部リハビリテーション学科講師の宮原崇さん(写真)。
宅トレは、天候や気温の影響を受けにくく、自分のペースで取り組める利点があります。その一方、限られたスペースでの短時間運動は、ウオーミングアップやクールダウンを省きがちになり、思わぬ失敗やけがにつながることもあります。
宮原さんは、「ひと手間を省くことで、筋肉やけんの損傷、心拍数の急上昇による不調が起こることがあるため、注意が必要です。運動の前には、必ず体を伸ばすなどの軽いストレッチを行ってください。そして、正しいフォームを意識し、運動中のこまめな水分補給も忘れないようにしましょう」と伝えます。
1日5分でも体を動かす習慣を
宅トレを始めても、“がんばり過ぎ”“成果を急ぎ過ぎ”“義務感になり過ぎ”で、三日坊主で終わってしまうことがあります。運動するタイミングを固定化したり、カレンダーに記録を付けたり、自分なりの工夫が効果的です。宮原さんは、自宅や勤務先などで、いすに座ったまま、手軽に下半身の筋力と心肺機能をきたえるトレーニング方法を紹介(左下写真)。「焦らず、無理せず、楽しみながら続けていくことが、健康を育む第一歩です」と言います。
厚生労働省は、毎年9月を「健康増進普及月間」とし、運動、食事、禁煙など、生活習慣の見直しを呼び掛ける運動を展開しています。適度な運動とバランスの取れた食事は相乗効果で生活習慣病の予防にもつながるとされています。宮原さんは「年齢や体力に関係なく、今から始められる健康習慣はきっとあります。1日5分でも体を動かす時間をつくってください。日々の積み重ねが、明日の元気につながります」と話しています。
同大学で、毎月第4金曜午後1時半~2時半、宮原さんによる「体操教室」が開催。実際に体を動かしながら、自宅での体操のポイントが学べます(詳細下部参照)。
①背筋を伸ばし、いすに座ります。おなかに力が入ると、しっかり座れている合図
②③腕を振り、ももを上げ、1秒間に1回のペースで、20回足踏みをします。1クール3セット。しっかりとした呼吸を忘れずに
関連キーワード