家族で考える終活シリーズ③ トラブル急増! デジタル遺品

 故人の思い出が詰まった遺品の数々。整理する遺族の負担を減らすために生前の「断捨離(だんしゃり)」を進める人が増えてきていますが、ここ最近、問題になってきているのが、目には見えない情報・データの「デジタル遺品」。その扱い方について、「和歌山シニアサポート協会」で聞きました。

デジタル機器は生活必需品
情報やデータが“遺品”になる時代に

 総務省の「2018年版情報通信白書」によると、17年のスマートフォン(以下、スマホ)の世帯保有率は75.1%、パソコンは72.5%。また、内閣府の「消費動向調査」によると、19年の2人以上世帯のデジタルカメラの普及率は65.6%です。今やこうしたデジタル機器は、私たちの生活必需品。一方で、気になりませんか? もし、自分がこの世を去ったら、そこに残された情報やデータはどうなるのか…と。 そう、それが、今問題視されている「デジタル遺品」といわれるもの。「一昔前までは聞かなかった言葉ですが、デジタル遺品を巡るトラブルは年々増えてきています」と、「和歌山シニアサポート協会」の代表理事・辻本和也さんは話します。

◆和歌山シニアサポート協会(WASSA)
運動、食事、住まいでシニアの健康・生きがい・仲間づくりをサポートする一般社団法人(事務局=和歌山市小雑賀)。
「わかやま終活フェア」なども開催 (http://wassa.or.jp/)

家族・自分のためにデータも生前整理を

見られて困る情報は削除が鉄則
ID・パスワードはアナログで残す

「自分がこの世を去ったからといって、デジタルデータは勝手には消えてくれません。中には見られたくない写真や連絡先もあるでしょう。モノや身の回りの整理と同様、デジタルデータも生前に整理しておくことをおすすめします」と説明するのは、「和歌山シニアサポート協会」業務執行理事の木村嘉男さん。

百歩譲って、家族や親族に見られたくないものを見られたとしても、本人は天国で苦笑いするだけですが、「遺族にとっては、想像以上に大きな問題に発展するケースも」と代表理事の辻本さんは指摘します。例えば、月額制の会員サイトに登録していれば、退会手続きをするまで利用料の引き落としは継続されます。インターネットバンキングやネット証券口座があれば、金融資産として相続の対象に。さらに、株や仮想通貨で損失が出てしまうと遺族に被害が及ぶ可能性もあります。

亡くなったからといって勝手にスマホやパソコンのロックを解除して中身を見るのは、プライバシー権の侵害にならないのかと、天国から“怒りの声”が聞こえてきそうですが、デジタル端末もその内部に保存されたデータも「動産」。相続財産として相続人が所有権を取得します。「家族や相続人が見ることに関しては法的に問題はありません。しかし、諸々の解約・相続手続き以前に、大半の人は、故人のスマホやパソコンを開くためのパスワードが分からず、そこでお手上げに」と木村さん。「携帯電話会社に聞いても、個人で設定したパスワードは解読できませんし、電機メーカーに問い合わせてもログインパスワードは分かりません。といって私に相談されても…」とも。

そうした対策として、辻本さんと木村さんは、「情報を“アナログ”で残すこと」を終活セミナーなどで提唱しています。「家族の負担を減らす・迷惑をかけないということを前提に、ID・パスワードの一覧を作成して残しておきましょう。ネットを介した金融サービスについては必須。メモ書きでもいいですが、エンディングノートに記しておくと遺族も見つけやすいですよね」と辻本さん。

でも、それだと生前に中身を見られてしまうのでは?と不安なあなた、「どうしても見てほしくないデータは削除するのが一番ですが、できないものについては、ロック付きのUSBメモリなどに保存して、それを開くのは家族にあきらめてもらいましょう。そこは“お互いのマナー”」と木村さんは教えてくれました。

今年はちょっぴり長いお盆休み。今後ますます問題になりそうな「デジタル遺品」について家族で話してみては。具体的な整理方法は、「デジタル終活セミナー」で。

スマホ一つであっても相続財産。「負のデジタル遺産」を家族に残さないために、個人データやデジタル金融資産の「断・捨・離」と上手な相続方法を、「和歌山シニアサポート協会」業務執行理事・木村嘉男さんが解説。

日時 9月19日(木)午後1時半~3時
場所 和歌山ビッグ愛9階C教室(和歌山市手平)
参加費 無料
定員 50人(先着順)
申し込み方法 和歌山シニアサポート協会のホームページ(http://wassa.or.jp)の申し込みフォームから
主催 和歌山シニアサポート協会、和歌山リビング新聞社
問い合せ先 和歌山シニアサポート協会
電話番号 073(494)3426
●パソコン、スマホ本体
故人がセキュリティー目的で設定したパスワードが分からず、開くことができなければ、整理の術(すべ)がない

●スマホ、パソコン、デジタルカメラに保存している画像や動画、記録媒体(USB、DVD、CD-ROMなど)に保存している各データ
特に画像や動画は、撮りっ放しで整理されていないと、必要な“思い出”なのかどうかの判断不可。 中には遺族に見られたくないデータも…

●ソーシャルメディア(SNS)やブログなどウェブサイト上のデータ
アカウントが乗っ取られて悪用されるケースも

●アプリケーション(ネットショップ、音楽の配信サービス、ゲームなど)
有料サービスを利用していた場合、毎月の利用料金が発生

●インターネットを介した金融取引(ネットバンキング、ネット証券、仮想通貨など)
相続の対象に。損失が出てしまえば遺族に損害が及ぶ可能性も

デジタル遺品に関するよくある質問について、辻本さんに答えてもらいました。

Q.亡くなった夫が愛用していたパソコン、スマホのパスワードが分かりません。どこに相談すればいいですか
パソコンのメーカーや携帯電話会社では、基本的にパスワード解除の依頼を受け付けていません。こうしたトラブルに対応する専門業者もありますが、「不正アクセス禁止法」の問題もあるため、まずは思い当たるパスワードでトライしてみてください。家族・相続人が故人のデータを見るのは法的にも問題はありません。

Q.家族なら故人の携帯電話は簡単に解約できますか
解約方法は各携帯電話会社によって異なりますが、死亡診断書などを持っていけば解約はできます。

Q.亡き母のフェイスブックを削除したいのですが…
SNSなどのログインは「不正アクセス禁止法」に抵触する恐れもあるため注意が必要です。死亡診断書のスキャンデータがあれば、削除申請は可能です。また、生前に「追悼アカウント管理人」を指定しておけば、その人が削除可能。最近は、SNSで訃報を告知する機能もあり、親族であれば一度だけアクセスできます。

Q.亡くなった妻の携帯電話に着信やラインで連絡が。電話に出たり、メッセージで死亡したことを知らせたりしても問題はないですか
訃報を知らせるためにという理由で、相続人や親族が対応すること自体には問題ないかと思います。個人的見解ですが、月額使用料はかかってしまいますが、四十九日くらまでは解約せずに置いておいてはと。

Q.亡くなった父のスマホを見ると、数社の新聞を電子版アプリで閲覧(有料)。それを解約したいのですが
SNSと同様、故人のIDやパスワードでログインするのは、「不正アクセス禁止法」に抵触する恐れもあるため注意が必要です。運営会社に連絡をして相談を。ただ、実際のところ、アプリの課金はほとんどがクレジットカード決済なので、クレジットカードを解約すれば、追加課金はなくなります。

Q.自分が死んだら、スマホは中身を見ずに処分してほしい。そんな遺言は可能
スマホも相続財産。公正証書遺言で処分方法を記しておけば、相続人はそれに従うしかありません。しかし、「何が保存されているのか?」という疑念を抱かせてしまう要因に。

Q.故人が管理していたネットバンキング、ネット証券口座の詳細が分からなくって…
今後のキャッシュレス化に伴い、大きな問題となってくる事項です。ネットバンキングは、死亡届が提出された時点で口座が凍結されますが、証券口座はその限りではありません。さらに仮想通貨だと、取引状況が本人にしか分からない場合が多く、危険です。証券会社や取引所に直接連絡をして相続、解約方法を聞きましょう。

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