ビロードのうさぎ

20141129ehon2

雪降る町へゴリちゃんを求めて
パパサンタが東奔西走!

クリスマスが近づくと『ビロードのうさぎ』(出版=ブロンズ新社、マージェリィ・W・ビアンコ・原作/酒井駒子・絵・抄訳)が読みたくなります。

酒井駒子さんの絵が好きで、多分全部の絵本を持っていますが、とりわけ『ビロードのうさぎ』は、色、質感、構図ともにすばらしく、おまけにかわいくて、ずっと抱きしめていたいほどいとおしい作品です。

「こころからたいせつに、だいじににおもわれたおもちゃはほんとうのものになる」というテーマの奥深さ。そして子ども部屋の妖精がうさぎを「ほんとうのもの」にしてくれる場面は、何度読んでも魅了されます。

子どもたちが幼いころ、イブの夜には枕元にプレゼントを置いていました。クリスマスが近づくとサンタさんへ「〜がほしいです」と手紙を書いてもらい、それを亭主が用意するわけですが…。

わが家の次男も『ビロードのうさぎ』のぼうやと同じでぬいぐるみが好きな男の子。ある年のサンタさんへのお願いは「ゴリちゃん(等身大のゴリラの人形)をください」でした。

売っている店は分かっていましたが、あまりに大きすぎて隠す場所に困り、ぎりぎりまで買わずにいました。ところが、イブ前日にその店に行ってみると、ゴリちゃんは売れてなくなっていたのです。夫婦げんか勃発!

予約せずにいたことを日頃の計画性のなさとともにさんざん私になじられた後、亭主は雪の舞うイブの町にゴリちゃんを求めて東奔西走。「見つけた」と電話があったのは日も暮れかけたころ。かくして亭主はサンタさながらに大きな袋を背負って心斎橋を闊歩(かっぽ)して帰ってきました。そしてクリスマスの朝、目覚めて発した次男の「ウッギャー」という喜びの雄たけび。

あれから20年…。主の去った子ども部屋に残されたゴリちゃんと、それを相手にお酒を飲む亭主。その姿はせつなげです。

名前なりきよ ようこ
プロフィル絵本編集者として勤務後、渡欧。帰国後フリーに。
保育所や小学校で読み聞かせを25年以上続けている。絵本creation(編集プロダクション)代表

子育て・教育

関連キーワード

 

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

交通安全キャンペーン2024 贈呈式

おすすめ記事

  1. リビング和歌山2025年12月13日号「進化した往年の玩具、コレクションの極み 大人が夢中!「キダルトトイ」の世界」
     ちまたのおもちゃ屋さんはクリスマス商戦でかき入れ時。しかし実は今、“玩具市場”をけん引しているの…
  2. リビング和歌山2025年12月6日号「和歌山市内の5つの社寺を参拝 御朱印にときめく小旅へ」
     和歌山市内の5社寺を訪れて御朱印を集める「紀州神仏霊場巡り」が来年4月末まで行われています。全て…
  3. リビング和歌山2025年11月29日号「新たな視点で魅力を発掘し、情報を発信 岩出市地域おこし協力隊着任」
     JR岩出駅前に観光案内所の整備を進めている岩出市。市が初めて募集した地域おこし協力隊も着任し、“…
  4. リビング和歌山2025年11月22日号「昨年よりさらに進化!冬の街を彩る130万の光 KEYAKI Light Parade」
     今年も、けやき大通りがキラキラとした光と笑顔に包まれる季節がやってきます。今年で3年目となる冬の…
  5. リビング和歌山2025年11月15日号「和歌山県の手仕事を訪ねて丈夫で温かみのある風合い手すき和紙の伝統をつなぐ」
     書や工芸、日用品など、暮らしの中で、広く親しまれてきた「和紙」。植物・コウゾと、その繊維を均一に…
リビングカルチャー倶楽部
夢いっぱい保育園

お知らせ

  1. 2025/12/11

    2025年12月13日号
  2. 2025/12/4

    2025年12月6日号
  3. 2025/11/27

    2025年11月29日号
  4. 2025/11/20

    2025年11月22日号
  5. 2025/11/13

    2025年11月15日号
一覧

アーカイブ一覧

ページ上部へ戻る